バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「幼稚園から
通知表?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「幼稚園から通知表?!」

バブー

ボクの弟、プチモンスター3歳が、
幼稚園から初めての「通知表」をもらってきたよ。
2月のスキーバカンス(という名の冬休み2週間)
が終わって、何の前ぶれもなく。

毎回、バカンスに入る前、
(バカンス大国フランス、
1年間幼稚園にいく間に、
年度末となる夏休みをのぞいて
合計4回の2週間バカンスが挟まるよ。)
日々やっている課題や先生の評価が書かれた
分厚いファイルを持って帰ってくるんだけど、
それとは別にさらにちゃんとした
「通知表」があった!

とのまりこ
フランスの幼稚園、
「エコール」(=学校)という名前が
ついているだけに、
あくまでも日本でいう「幼稚園」ではなく、
「学校」。
小学生になるための準備期間という感じ。

もちろん3歳になる年に入園スタートなので、
日本より幼稚園スタートがちょっと早く、
年少さんは「2歳児と3歳児のクラス」。

まだまだ赤ちゃんを脱したくらいの年齢なので、
「お友達と仲良く遊ぶ」
「トイレにいったら手を洗う」
「お友達や先生とおしゃべりができる」
「一人でなんでもできるようになる」
など、幼稚園生らしいことはもちろんなのですが、
意外にもとても「学校」っぽい
「お勉強」的なことをたくさんしていることに、
入ってから驚いています。
そしてなんと、突然持って帰ってきた通知表。


▲なんと幼稚園と小学校の校長先生自らが教室に来て
1人1人の子供たちと話して通知表を渡すのだそう!
通知表には担任の先生だけではなく校長先生のサインもありました。

バブー
ボクたち全然知らなかったけど、
フランスでは普通、年に2回、
幼稚園の時から
通知表(成長記録)を渡されるんだって。
年少さんから年長まで3年間を通しての記録。
同じファイルにどんどん加えられていくんだよ。


▲「自分のことを自分でできるか」「言語」「身体能力」
「クラスでの態度」「芸術的なこと」「数字や大きさ」など
70項目近くの出来具合が細かく書かれている。

とのまりこ
息子がもらってきたのは、
なんと11ページに渡ってビッシリ書かれたもの。
(私は辞書を引き引き大変‥‥汗)

まずは幼稚園の3年間で習得して欲しいことに関して
「話す」「書く」「身体能力」「芸術的なこと」
「思考」「生活全般」
と項目ごとに細かく書かれています。
例えばほんの一部ですが‥‥

「話す」
他の大人や子供とコミュニケーションが取れる。
構文的にも正しく言葉で説明できる。
話す、説明する、描写する、思い出して話す、
質問する、提案する、議論する、意見を言う。
たくさんのお話や詩を思い出しながら言える。

「書く」
書いてある文字を理解する。
話し言葉と書き言葉が違うことを理解する。
フランス語の音(母音、子音、音節など)を識別できる。
筆記体、活字体、大文字、小文字など
違う種類の書き方があることを理解し、
書けるようになる。
筆記体で名前が書けるようになる。

「身体能力」
走る、飛ぶ、投げるなど目的別に行動できる。
ダンスをしたり歌ったりする。

「芸術的なこと」
適切な道具を選んだり使ったりできる。
架空のものでも現実のものでも絵が描ける。
1人またはグループで組み立ててものを作る。
楽器を使ったりリズムで表現したりする。
体や言葉や音楽を使って表現できる。
様々なものを使って問題を解決したり提案できる。

「思考」
量を比べる、数を数える、数字を知っている。
大きさの違い、形の違い、色の違い。
上下、左右、前後などの違い。
10にするにはいくつ足すか、
いくつ引くかがわかる。
30まで言える。
形、大きさなどで仲間わけをしたり
並べたりできる。


▲「大きい」「中くらい」「小さい」の勉強。

「生活全般」
曜日、月、週、季節などを理解する。
自分が今すべきこと、
いるべきところを理解してする。
そして、だから、その後などの言葉を使って
説明したり話したりできるようになる。
動物や植物など自然のことをしる。
折る、切る、貼るなど
必要なことを正しい道具を使ってできる。
カメラ、コンピューターなどを使える。
危険なものやことを理解する。

などなどもう論文並みにビッシリ‥‥。


▲一人で自分のことができるようになるという課題。
「コートを着る」「ボタンやジッパーを閉める」「靴を履く」「帽子をかぶる」など
できるようになったら丸がつけられていくみたい。

バブー
これは幼稚園3年間で
達成して欲しいことだから、
その子の成長に合わせて、
3年間を通してできるようになればいいんだ。


▲形の違い、色の違い、大きさの違いなどの勉強。

周りに聞いてみたら、
幼稚園3年を通しての通知表システムは
公立も私立も一緒。
学校によってもちろん表記の仕方などに
違いはあるけれど、内容も大体一緒だよ。


▲自分の名前が書いてあるのをどれかわかるようになる、
単語の通りにアルファベットを並べるなど文字の勉強。
これは1月のガレットの時期だったので「ガレット」という文字で勉強したよう。

とのまりこ
これら項目に関して、
息子の通知表は約80項目にわたって、
今現在何がどこまでできているかが
書かれていました。
そして最後には先生の言葉での総括。
さらにさらに、学校のホームページの
個人ページにアクセスすると、
20点満点評価での点数まで書いてありました。
(フランスは100点満点じゃなくて、20点満点。)
他人と比べての評価ではないけれど、
幼稚園から点数でも評価。
びっくり!


▲イラストをお話の順番に並べて、それを順序立てて説明するという課題。
フランス語がまだまだ文章では話せない息子は
こういう課題で話す部分は苦労している模様。

バブー
今は圧倒的に日本語に強く、
フランス語に関しては
おそらく1、2歳遅れをとっている
ボクの弟分プチモンスター。
語学的問題はまだまだあるけれど、
彼なりにどんどん成長し話そうと努力してて、
課題などをこなす理解力として
は全く問題になっていないって
褒められていたよ。

すでにボクの飼い主まりこちゃんは、
毎日何度もフランス語の発音を
直されているよ‥‥汗。
クラスメイトの名前すら、
何度言っても何度言っても、
「ちがう! ○○でしょ!!」って‥‥。
子供の吸収力って本当にすごいね。


▲飛ぶ、這う、跳ねる、投げるなど身体能力に関する課題も日々やっている。

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

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2021-03-16-TUE

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illustration:Jérôme Cointre