イラストレーター・福田利之さんが
すべての製品のデザインを手がけている、
テキスタイルや布プロダクトのブランドが
「十布」です。「テンプ」と読みます。

「十の布」とあるように、
発表されるプロダクトには数字がふられています。


tenp01からはじまって
tenp02、tenp03‥‥とつづき
このたびTOBICHI2で開催する「つつむ展」では
新作のtenp06が発表されます。

福田さんとディレクターの滝口さんに
「十布」のこれまでを
ゼロから教えてください、とお願いしたのが
今回のインタビューです。

デザインも、かたちも、国もさまざまな
6つのシリーズの布たち。

そこに共通する思いは「生活」でした。

全7回の連載です。

おふたりのプロフィール

リネン

ほぼ日
tenp04です。
滝口
「あたらしいリネンを」
という気持ちでつくりました。

これは「エアメール」と名付けたキッチンクロスです。

ほぼ日
あまり見たことないかたちです。
滝口
三角とひし形です。

フックに下げた時に
きれいに見えるように、
このかたちでつくりました。
ほぼ日
これは、ここまでのプロダクトと比べると
02の刺子織に近いような印象を受けます。

福田さんカラーというよりも
商品として認められて広がっていくイメージでしょうか。
福田
そうですね。

ほぼ日
この丸いクロスには花瓶を置いたりするんでしょうか。
福田
そうですね、そんな使い方もいいと思います。

植物の刺繍が入っているので
「フラワーベース」という名前にしたんですが、
「丸いリネンをつくりたかった」
というのが実はいちばんの動機でした。

用途については、限定的に考えていませんでした。
ほぼ日
かたちが先行してできたんですね。
福田
丸をやってみたかったから、やってみました。

やりたいことをやれる、というところも
やっぱりたのしいなあと思います。

それは「十布」でしか出来ませんから。

でも、つくってみたら
おっしゃたとおりに花瓶でもいいですし、
お菓子とかコーヒーとかを置いて
ランチョンマットのようにも使えますね。
滝口
そして、このリネンシリーズのtenp04で
今回あたらしく発表するのが、
「つつむ袋」です。

ほぼ日
大小ふたつ。

ちょうどほぼ日手帳の
オリジナルとカズンがそれぞれ入るサイズでしたね。

滝口
メイドインジャパンのちゃんとしたリネンで、
本当にただの袋をつくろうと。

巾着のように紐も通ってないですし、
留め具もなくてただスッとものを入れる袋です。

福田さんのイラストも、
シンプルな線で描かれています。
ほぼ日
できあがったサンプルをいただいて
だいぶ長く持ち歩いてますけど、便利です。
福田
(商品のイラスト部分じっと見ている)‥‥んん?
滝口
‥‥どうしました?
福田
これは‥‥。
ほぼ日
なんでしょう。
福田
プリントのときに、ゴミが入っちゃったかな。

黒い点々で、ちょっと汚れてますね。

これは調整しないとだめですね。
ほぼ日
ゴミ? どこでしょう?
滝口
ゴミですか‥‥どこに‥‥
ああ、いや、これはゴミじゃないですよ。

イラストのなかに書いてある
1、2、3、4のちいさな数字です。
ほぼ日
たしかに、ゴミじゃないです、数字です。

なにか意味があるのでしょうか?

福田
え? なんだろう?
滝口
描いた本人がわからなくなっちゃってる(笑)。
福田
なんだったけかなあ‥‥。
ほぼ日
‥‥ああ! これは、「TENP」だ!
「T」の下に「1」、
「E」の下に「2」って、
順番に読むと「T・E・N・P」。
福田
そういうことか!!

一同
(笑)
ほぼ日
そんなにたいせつなポイントを、
よく忘れていましたね(笑)。
福田
気づけてよかった。
ほぼ日
思いがけず、暗号解読がありましたが、
それはそれとしまして、
tenp04の「リネン」には、
こちらの「つつむ袋」が新作として加わると。
滝口
はい。
ほぼ日
繰り返しになりますが、
わたしは今日のお話をうかがうまで、
「十布」というブランドのことを
ちゃんとわかっていませんでした。

フィックスだと思ってたんです、1回1回が。

そうじゃなくて、これまでのシリーズが
これからも深まっていくような感じなんですね。
滝口
そうです。

だから十布のカタログは
こういうつくり方をしてるんです。

シリーズごとに新作を足せますし、
廃盤になったら交換もできます。

お店にあたらしいカードを送って、
足したり抜いたりしていただいているんです。

(つづきます)

2017-12-24 SUN