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		野球の人・田口壮の新章 はじめての二軍監督
番外編 神戸で二軍の練習を見学してきました。 田口壮×糸井重里対談

こんにちは。
ほぼ日刊イトイ新聞の永田です。
今回も、前回に引き続き、
「はじめての二軍監督」番外編です。

前回を読んでない方は
「番外編 田口壮×糸井重里対談 その1」
からお読みくださいね。

観に行った神戸サブ球場での
ウェスタンリーグの試合が
残念ながら雨で中止となり、
室内練習施設での二軍の練習を
たっぷり見学させてもらった糸井重里。

練習のあと、田口さんのお時間をいただいて
対談させていただきました。
おもに、「練習」についての話。
練習風景の写真とともに、
どうぞ、じっくりお読みください。

短期決戦と毎日の試合
糸井
しかし、いまここにいる選手たちって、
いってみれば野球の世界では
エリート中のエリートなわけで、
アマチュアではトップの選手ばかりなんですよね。
それでも、スイングスピードとか、
身体の使い方とか、根本的なところで
まったくできてないところがある。
プロとアマの差って、ほんとにすごいんですね。
田口
はい。でも、短期決戦になるとわからないです。
つまり、プロとアマが一試合だけ戦うとなったら、
誰かの調子がピタッとはまったら、
アマチュアがプロに勝つことはあり得るんです。
糸井
ああーー。
実際、壮行試合とか強化試合とかで、
プロが苦戦することがありますけど、
あれは「1試合だけ」だから。
田口
はい。プロアマのトーナメントなんかでも
社会人チームが勝ったりしますからね。
ただ、プロの野球チームっていうのは、
高いレベルの状態で、6ヵ月とか7ヵ月、
力を発揮しなくてはならない。それがプロなんです。
その点、アマチュアの野球というのは、
大事な1試合に向かってピークを持って行く。
糸井
いや、ほんと、そうですね。
言われてみると、春先に絶好調だった新人選手が、
夏になると必ず調子を落としたり。
田口
そういうことです。
糸井
夏バテするんですよねぇ。
あれ、不思議なのは、若くて体力も十分あって、
毎日泥だらけで練習しているような
若い選手が夏バテして、
ちょっとお腹が出てきてるようなベテラン選手が
夏になると調子を上げたりする。
田口
毎日練習するよりも、
毎日試合するほうが疲れるんですよ。
糸井
あーーー!
田口
体力もそうですけど、
試合が続くと精神的にも疲弊していきますから。
しかも、成績が毎日弾き出されて、
それがお給料に直結したりする。
そういうプレッシャーと戦うことは
アマチュアには経験がないですから。
糸井
田口さんも新人のころには
その壁にぶち当たったりしたんですか?
田口
あ、ぼく、夏に強かったんです!
糸井
ああ(笑)。
田口
だから、仮にいまぼくがルーキーだったとしたら、
大した選手じゃないと思いますよ。
っていうのは、いまはドーム球場が増えてるので
夏の野球がずいぶんラクになってるんですよ。
糸井
そうか、そうか。
じゃあ、新人のころの田口選手は
それほど夏の暑さを味方にしてた。
田口
はい。夏は大好きで、春先に少々ダメでも、
暑くなったらかならず調子を上げていける、
というのを心の拠り所にしていましたから。
糸井
それは新人のころから自覚してたんですか。
田口
やっぱり、プロに入って、周りを見たとき、
これはえらい世界に入ったなって思いましたから。
そのなかでどうやって生き残るか、
自分の何を活かそうかと思ったら、
やっぱり自分の特徴、長所を活かさないとダメで、
暑さにめっぽう強いというのは
自分の武器だと思ってましたから。
糸井
そういうことって、自覚するものなんですねぇ。
田口
わかりやすくいうと、夏になると、
ピッチャーの調子が落ちてくるんですよ。
球も遅くなったりする。
そういうところをきちんととらえていく。
糸井
じゃあ、アメリカに渡って
地方で戦っているようなときも‥‥。
田口
暑さに強いっていうのは
ものすごい武器になりました。
アメリカはドーム球場も少ないですし、
日曜日のデーゲームとか、
「出たくない」っていう選手も
けっこういるんですよ。
糸井
メジャーリーグって、日本と違って、
主力選手を休ませますし。
田口
ベンチも選手を休ませますし、
選手も自分で「休みたい」って言いますし。
糸井
そういうときに「俺が行きます!」と。
田口
もう、監督にずっと言ってました(笑)。
休みたそうな選手をいつも見てて、
あ、あいつ、そろそろ休むなっていうときに
監督室に乗り込んで行って、
「ぼく、いつでも行けますよ?」って。
糸井
そのアピールは効果があるわけですね。
田口
あるんです。もう、しつこいくらい言うんで。
「わかったわかった」とか言われるまで
アピールしていると、3日後くらいに
ラインナップに自分の名前が入るんですよ。
糸井
まあ、たしかに、仕事って、
印象の薄い人よりも、
しょっちゅう顔を出しているような人に
渡したくなりますよね。
田口
「あいつ、しつこいし」みたいな(笑)。
『田口壮の練習論(仮題)』
糸井
思うんですけど、
田口さんが『練習論』っていう
本を書いたら、読みたいなあ。
田口
いやいやいや、論なんてないですよ。
糸井
いや、今日、うかがった話はぜんぶ
その本に入ってておかしくないですよ。
たとえば、さっき、ブルペンで観てるときに、
「いい球を投げたあとに、
 『よっしゃ、決まった!』って感じで
 ぴたっと止まる選手は実戦向きじゃない」
っていう話をしてたじゃないですか。
田口
ああ、そうですね、無駄なんですよ。
もっとポンポン投げてほしいし、
ゲームでの投球を考えたら、
決めポーズつくってないで守備の体勢に入らないと、
ピッチャーライナー来たら捕れないです。
糸井
それはだから、
「なんで投球練習してるんだっけ?」
という原点がブレてるからですよね。
つまり、ピッチャーとして
うまくなりたくて練習をしているはずなのに、
「決めポーズ」は上手にならない方向に
向かってるじゃないか、っていうことですよね。
田口
そうですね。
糸井
そんな話が、山ほどあると思うんですよ。
田口
山ほど‥‥あるんですかね?
糸井
ありますよ。だから、
『田口壮の練習論 ~なんで練習してるんだっけ?~』
っていう本がつくれますよ。
田口
そんな本出したら、
「おまえ、できてなかったやろ」って言われそう。
糸井
そこはいったん棚に上げなきゃダメです。
ぼくだって、いつもそうしてます。
田口
あははははは。
糸井
シーズンが終わったら、また話しましょう。
もっと話したいです、このテーマ。
田口
ぜひ、ぜひ。
今日はどうもありがとうございました。
糸井
ありがとうございました!
(番外編はこれで終了です。
 次回からは通常更新となります。
 どうぞ、おたのしみに)
2016-09-25-SUN


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