「ほぼ日」の睡眠論・トップバッターは、
味の素で
 アミノ酸研究をなさっている
味の素株式会社顧問・高橋迪雄先生に
ご登場いただきます。
「眠り」って、どういうことなのか、
 前提となるような基本の話から、お聞きしました。
でも、なんでアミノ酸が関係あるのかって?
じつは「満足のいく眠り」にとって、
あるアミノ酸がけっこう重要な働きをするってことが
 わかってきたみたいなんです。



第1回 満足のいく眠りは、ある? 2007-11-02-FRI
  第2回 人間の眠り、ネズミの眠り。 2007-11-05-MON
  第3回 レム睡眠と、ノンレム睡眠。 2007-11-06-TUE
  第4回 脳よ、もっと自由にやりたまえよ。
2007-11-07-WED
  第5回 あなた、いびきをかかなくなったわねぇ。 2007-11-08-THU
  第6回 グリシン。
2007-11-09-FRI
  第7回 脳にも「遊び場」が必要だ。 2007-11-12-MON
  第8回 アミノスタローン。 2007-11-13-TUE
  最終回 満足のいく眠りは、ある 2007-11-14-WED







糸井 今回の「睡眠特集」をはじめるにあたって、
まずは、高橋先生に
お話をうかがってみたいと思ったんです。
高橋 ああ、それは、なんだか恐縮です(笑)。
でも、わたしがトップバッターなんですね。

糸井 このあと、池谷裕二先生
脳研究の立場から「睡眠と記憶」についてお聞きし、
そのあと、井上昌次郎先生からも
お話をおうかがいしようと思っています。
高橋 ああ、それはいい。
とくに井上先生は、睡眠研究の第一人者ですから。

睡眠とはなにかについて、
総論的なお話が聞けるんじゃないでしょうか。
糸井 はい。で、なぜ高橋先生にトップバッターを
お願いしたのかと申しますと‥‥。

ずっと思ってたんですが、「睡眠」のことで
みんな、あんまりいい思いをしてませんよね?
高橋 はい、そうでしょうね。
糸井 つまり「わたし、睡眠に満足しています!」と
言いきれる人って、なかなかいないと思うんです。
高橋 ええ、そうでしょう。
糸井 そこでみんな、「睡眠のせい」にしたがる。

昨日は何時間しか眠れなかったから‥‥と
いいわけのようにして、
仕事の失敗とか、ストレスとか、
わが身の不幸そのものを
睡眠に押し付けちゃうってところ、ありますよね?
高橋 ええ、ええ(笑)。

糸井 だから、今回の「睡眠論」をつうじて
ちょっとでも眠りのしくみを知ることができたら、
じつは、いろんなことを
睡眠のせいにしてたことなんかが、わかるはず。

そして、それは同時に、
睡眠の質を向上させることにも
つながってくるんじゃないかと思ったんです。
高橋 なるほど。
糸井 先生はいま、味の素の研究施設で
アミノ酸について研究されていますよね。

で、そのアミノ酸研究というのが、
同時に「眠り」の研究にも重なってくるんですよね。
高橋 はい、おっしゃるとおりです。

非必須アミノ酸のひとつである
「グリシン」を就寝前に摂取することで、
寝入りばなに深い睡眠があらわれやすくなる、
ということについて、研究をしているんです。
糸井 深い睡眠があらわれる、というのは、
よく眠れるってことですよね。

で、それは「睡眠の質が改善される」、
つまり「満足のいく眠り」であると
言っていいんじゃないかと思ったんです。
高橋 ええ、けっこうでしょう。

深い眠りをつくりだしてくれる
「睡眠物質」のひとつとして、
グリシンには可能性があるのではないかと
考えていますから。
糸井 ですから、
先生の「睡眠とアミノ酸」というお話をつうじて、
「満足のいく眠り」ってなんなんだ、
そもそも、そういう眠りがあるのかということを、
この「睡眠特集」の最初に、
まずは、おうかがいできたらと思いまして。
高橋 なるほど‥‥なるほど。

わかりました。

じゃ、「満足のいく眠り」について、
ちょっと、ご説明していきましょうか。

糸井 よろしくお願いします。

<つづきます>

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2007-11-02-FRI



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