第6回 グリシン。

糸井 グリシンを飲んだ夜には、いびきをかかなかった。
グリシンを飲まなかった夜には、きちんとかいた。

いびきをかくか、かかないかなんて、
主観とか意思とか、関係ないですもんね。
高橋 これだけ、ちがいが明確に出てくるなら
生理学者の威信にかけて、
原因を追究しなくちゃならない、と思ったわけです。

そこでさらに、社内で
睡眠制限をかける試験をやったんです。

糸井 睡眠制限、というと?
高橋 寝不足の状態を強制的につくるんです。
本来、12時には寝る人が
夜中の2時まで、会社のために起きている。
糸井 おもしろいなぁ(笑)。

高橋 ある研究員が、グリシンを飲んだ夜に
いびきをかかなくなったのは、たしか。

でも、「眠りの質」についての満足度は、
やっぱり、主観的な自己評価じゃないですか。

偽薬のほうを飲んだ場合でも、
「ああ、満足した!」って言う人も、
やっぱり出てくるでしょうし。
糸井 ああ、効いたと思い込んでしまう。
高橋 ええ、いわゆる「プラセボ効果」ですね。

そこで、もっとたくさんの人に協力してもらって、
彼らに75%の睡眠制限をかけ、
グリシンと偽薬のどちらかを飲んでもらい、
自分が飲んだのが、
グリシンだったかどうかを当ててもらったんです。
糸井 つまり‥‥ダウトですね。

よく眠れたかどうかの感じから、
自分が飲んでいる薬がどっちなのか、当ててみた。
高橋 ええ、その結果、ほとんどの人が正解しました。

同時に、眠いと正解率が落ちるようなテストも
やってもらったんです。1日に何回か。
これは、疲労の度合いや
作業効率なんかを見るためのものなんですね。
糸井 みんな同じように寝不足なんだけど‥‥。
高橋 ある人は、グリシンを飲んで寝ている。
ある人は、グリシンじゃないものを飲んでいる。

そのテストでも、グリシンを飲んでいる人のほうが、
正解率が高かったんですよ。
糸井 それってようするに、
グリシンを飲んだときのほうがよく眠れている、
つまり、睡眠の質が向上したから、
作業効率が高まったということなんですか?
高橋 はい、そうですね。
もちろん、人によって効果のていどは
ちがいますけれど。
糸井 なるほど‥‥。

で、そのグリシンを商品化したのが、
「グリナ」という‥‥「健康基盤食品」、ですか。

これ、じつは僕も買って飲んでみたんですが、
たしかに、よかったんですよね。

高橋 ああ、そうですか。
糸井 もちろん、個人差はあるんでしょうけど、
僕の場合は、実感としてよく眠れたんですよ。
ふーん、なるほどなぁ‥‥。
高橋 それはよかった(笑)。
糸井 ちなみに、「満足のいく眠り」を
すぐに測定できる機械というのはあるんですか?
高橋 脳波を測定したりすれば
それなりにわかる範囲もあるんですが、
眠りの質を調べるのには、
一般的には「問診」になりますね。
糸井 睡眠アンケート。うちでもやりましたが(笑)。
高橋 わたしたちが用いているのは
医学的にオーソライズされたアンケートなんです。

まぁ、それをつかえば
あるていどはわかる、というものです。
糸井 マウスをつかった実験なんかも、
やったりしたんですか?
高橋 ええ、もちろん、やりましたよ。

結論的にいうと、
人間とちがい、スプリットして眠るマウスにも
やっぱり効いたんですよね、グリシン。

とびとびの睡眠時間を
足しあわせた場合に、差が出てきたんです。

つまり、グリシンを与えたマウスのほうが、
よけいに、眠った。



<つづきます>


2007-11-09-FRI


(C)HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN