Hobonichi Striped-T Institute

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今回は、料理でいうと「隠し味」にあたる部分、
「袖をまくったときにある、うれしさ」について
考えます。


井伊さん、まず、ご報告ですが、
座談会のときに出た、
袖をまくるとイニシャルテープが出てくるというアイデア、
残念ながらちょっと難しいことがわかりました。
というのも、購入していただいた方に
まずご希望のイニシャルをうかがい、
それに合ったイニシャルテープをボーダーシャツに
縫い付けてから発送、という流れになるので、
ご購入いただいてからお手元に届くまで
かなりお時間がかかってしまいそうなんです。


「なるほど‥‥。
 それだけのために時間がかかるのは、
 うれしくないですね。」


そうなんです。
できれば、「共通したなにか」にできると
ご購入してくださった方をお待たせずに済むのですが。


「ぜんぶに共通していて、うれしいもの‥‥。」


はい。
そういうものがあればいいんですが、
むずかしいですよね‥‥。


「‥‥あの、ハンコはどうでしょう?」


えっ、ハンコ?


「はい、印鑑です。
 『昇文堂』さんの印鑑って、ご存知ですか?
 わたしも自分でつくったんですけれど、
 とってもすてきなんです。
 ボーダーの袖の裏がわにハンコが押されていて、
 まくると出てきたら、かわいい気がします。」


ボーダーシャツにハンコを押すって、
なんだかおもしろそう!
「昇文堂」の印鑑は、座談会メンバーのひとり、
江藤公昭さんがディレクターをしているお店
『PAPIER LABO.』で取り扱っているそうなので、
さっそく拝見させてもらうことにしました。



江藤さん、こんにちはー。


「お久しぶりです。
 まさかボーダシャツに、昇文堂のハンコが
 役立つとは思いませんでした(笑)」



そう言いながら江藤さんが出してくれたのは
木の枝がたくさん入った木箱。
これは‥‥??


「この枝が印鑑になるんです。」


こんないろんなかたちの枝が、印鑑に?


「はい、好みに合わせて自分でえらべます。
 ふつうは枝の部分は印鑑につかいませんが、
 『昇文堂』さんでは、あえて
 その木の枝の形を活かした印鑑をつくってくれるんです。
 だから、印面の形がゆがんでいたり、
 節があってデコボコしていたり、
 ひとつずつ違うんですよ。」


へえ、個性的!



「文字のデザインも個性的で、おもしろいんですよ。
 ほら、これ。」
と、井伊さんが印影のサンプルを見せてくれます。



わぁ、味がありますね。
なんか、かわいらしい!


江藤さん
「『篆書体(てんしょたい)』という
 昔の文字をベースに、
 神田昇さんという職人さんが
 アレンジを加えてデザインしてくれるんです。
 これはカタカナですが、
 漢字、ひらがなはもちろん、
 カタカナやアルファベット、数字もできます。」


カタカナやアルフェベットまで?
なんだか自由でいいなあ。


それにうなずきながら、江藤さん、
「この印鑑、神田さんがひとつひとつ、
 手で彫ってるんですよ。」


えっ、手彫りなんですか!?


「そう、すべて手彫りです。
 そういうわけで、完成までには
 すこし時間をいただいています。」


ああ、いいですね。
なんか、すごくオリジナリティにあふれています。
袖をまくったところに、
『昇文堂』さんのハンコ、やりましょう!


井伊さん、ハンコに入れる文字は、何にしましょうか?


井伊 百合子(いい・ゆりこ)

スタイリスト。
東京生まれ。
2004年文化服装学院アパレルデザイン科
メンズデザインコース卒業。
在学中よりスタイリスト ソニア パーク氏に師事。
2008年独立。
現在、「GINZA」や「装苑」などの雑誌や広告等、
幅広い媒体で活躍する人気スタイリスト。
「実際に使える」ことが、しっかりと考えられている、
ナチュラルで上品なスタイリングを得意としている。

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