Hobonichi Striped-T Institute

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スタイリスト井伊百合子さんが
主任研究員としてすすめる「E project」。
本日より「つくる」ことがスタートします。

これより前にお伝えした座談会では、
冒頭に井伊さんが、あまりボーダーを着ないことを
告白したことで、かえっておもしろい展開になりました。
どんなボーダーシャツだったら井伊さんは着たくなるのか、
興味津々だったかたも、多いのではないでしょうか。

その答えは、自称ボーダーマニアの尾崎雄飛さんが
持ってきてくださったコレクションのなかに、ありました。

ボーダーシャツの老舗「オーシバル」の初期モデル。


直線的に裁断された布を「T」字型に縫い合わせただけの、
まさに「T」シャツといえる、ごくシンプルなかたち。
いわば、ボーダーシャツの原点です。

現在の洋服は、着たときにシルエットがきれいになるよう
デザインされていますが、
このT字型のボーダーは、それが全くありません。

スタイリストとして、たくさんの洋服を見てきている
井伊さんにとって、それはとても新鮮なかたちでした。

「このT字型のざっくりとした形って、
着る人の体のシルエットしだいで
いろんな表情になると思うんです。
ボーダーシャツが、着た人なりの形になるというか。」

「きっと着ていておもしろいと思うんです。
たとえば、ドレープ(服のしわ)1つでも
人によって表れ方がちがう。」

この井伊さんの発言を引きのばしていくと、
「いちばんいい着かたを、
自分で見つけるたのしみがあるボーダーシャツ」
が、できそうな予感。
それって、すごく着たい気がします。

座談会がすすむなかで見えてきた、
井伊さんがつくりたいボーダーシャツのポイントは、
かたちのこともふくめ、4つ。
ちょっとおさらいしておきましょう。

1 「T」字型のシンプルなかたち。 2 ほんとうの「フレンチブルー」。

尾崎さんが所有するヴィンテージボーダーで
つかわれている、すこし紫がかった紺色。
いまではあまり見かけないものの、
これがほんとうの「フレンチブルー」なんだそうです。
ボーダーの原点に魅力を感じる井伊さんとしては、
ぜひ取り入れたいカラーです。

3 オーバーサイズで、袖をまくって着る。

「オーバーサイズで着ることで、
型にはまらない、チャーミングな感じが
生まれる気がします。」
と、井伊さん。
そう、『なまいきシャルロット』のときの
シャルロット・ゲンズブールみたいな感じですね。

photo: Interfoto / AFLO
さらに井伊さんは、スタイルとして、
袖をまくって着ることを提案したいと考えています。
つまり、袖をまくることが前提のボーダーなのです。
そんなボーダーシャツ、はじめてじゃないでしょうか?

4 袖をまくった先に「うれしさ」がある。

「袖をまくったときになにか『うれしさ』があると、
よりいいものになる気がしますね。」
パピエラボ江藤さんのご提案により、
袖をまくったときにわかる何かをプラスすることに。
それがどんなものになるのか、たのしみです。

井伊さんがつくりたいのは、
ボーダーの原点を、いまによみがえらせるもの。
だから、「原点のボーダーシャツ」と名づけました。

いよいよこれから、つくっていきます。
行く末を、いっしょに見守っていきましょう。

井伊 百合子(いい・ゆりこ)

スタイリスト。
東京生まれ。
2004年文化服装学院アパレルデザイン科
メンズデザインコース卒業。
在学中よりスタイリスト ソニア パーク氏に師事。
2008年独立。
現在、「GINZA」や「装苑」などの雑誌や広告等、
幅広い媒体で活躍する人気スタイリスト。
「実際に使える」ことが、しっかりと考えられている、
ナチュラルで上品なスタイリングを得意としている。

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