美味しさと、すこやかさと、美しさの関係。

毎日食べ続けられる、のひみつ

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HOBONICHI

草場妙子さんがキッチンに常備しているという、 Tamitu(タミツ)の「Herbal Honey」。 明治神宮前にあるカフェを訪れて、 代表の水谷優里さんに、 ブランドやアイテムの成り立ちについて 草場さんがインタビューしました。

はちみつの種類やハーブに違いのある、 それぞれの「Herbal Honey」の特徴や選び方。 そして、はちみつがもたらしてくれる、 すこやかさと美しさの関係について、 たっぷりお話が聞けました。

冷たい水にも溶けるという「Herbal Honey」は、 ドリンクはもちろん、 お料理やドレッシングにも手軽に使えるんです。 水谷さんおすすめの、 おしゃれで美味しいたのしみ方にも ご注目ください。

タイトル写真川村恵理

水谷優里(みずたに・ゆり)

大阪府出身。 水谷養蜂園の長女として生まれる。 幼い頃よりバレエダンサーとして国内外で活躍したのち、日本ではまだまだはちみつの魅力が知られていないことを改めて自覚し、水谷養蜂園に参画。 現代にフィットするはちみつの姿を構想し、 2021 年「Tamitu」を立ち上げる。

Tamitu /タミツ

1912年創業の水谷養蜂園を母体にした はちみつのブランド。 1世紀以上、ミツバチと純粋はちみつに 向き合ってきた経験から、 現代の私たちの多様なライフスタイルにふさわしい 「Herbal Honey」が作られました。 厳選したはちみつに数種類のハーブと スパイスを調合し、 「固まらない」「溶けやすい」 といった特徴を実現。 冷たいドリンクにも使用できるなど、 はちみつの新しいたのしみ方が広がります。

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01 祖母が残してくれたもの

草場 水谷さん、今日はお忙しいところ、 お時間をいただいてありがとうございます。

水谷 こちらこそありがとうございます。 生活のたのしみ展につづき、 「草場妙子化粧品店」のラインナップに入れていただいて、 ほんとうにうれしいです。

草場 「化粧品店」と言っているのに 最初の品揃えからはちみつというのも どうかなとは思ったのですが、 私の中ではちみつは、 美容の一部として欠かせないという意識があるんです。 今日はそんなことも伺えたらと思います。

水谷 もう早速ですけれど、 美容と食はつながっていると言ってくださるのが、 すごくうれしいです。 美容というと、 外側からのケアを重視される方も多いですから。

草場 ええ、そうですよね。

水谷 もちろん、それも大切なんですけど、 ベースとなる内側からすこやかになって、 それが美しさにつながるというのが、 私と Tamitu が信じていることなんです。

草場 はちみつを通して「すこやかに、そして美しく」 というのがTamituのブランドコンセプトですよね。 はちみつというと、 喉にいいとか、殺菌効果があるという、 健康面のメリットがよく知られていると思うんですが、 「美しく」という言葉も入っているところが ユニークだなと思ったんです。 これは、どんな経緯から生まれたんでしょうか。

水谷 「すこやかに、美しく」 という言葉はもともと、 ブランド名の由来にもなっている私の祖母、 太美(たみ)が書き残した言葉なんです。

草場 お祖母さまの言葉だったんですね!

水谷 私が中学生くらいのときに、 祖母が知人に宛てたハガキに、 その言葉が書かれているのを見つけたんです。 もう、目が離せなくなってしまいました。

水谷 祖母の文字の、 凛としてるんだけれど柔らかくて、 踊ってるような印象に、 目が釘付けになったんです。

草場 素敵な筆致ですね。

水谷 この「すこやかに、そして美しく」の中には、 心と身体のバランスだったり、 太美さんの生き方‥‥ 凛として芯が通っていて、 でも柔軟性があって女性らしいという、 すべてが詰まっている気がして。 このことを、 私も水谷養蜂園の事業を引き継いで 人生で表現できたらいいなと思いますし、 この言葉の想いが、 ブランド全体に受け継がれてきていると感じます。

草場 水谷養蜂園は、 お祖母様がはじめられたんですか?

水谷 いえ、太美さんで3代目です。 水谷養蜂園のある松阪(三重県)では、 ちょっとした名物おばあちゃんで、 「女王蜂」と呼ばれることもしばしば(笑)。

草場 わぁ。カッコいいですね。

水谷 はちみつって、 当時は「雑蜜(ざつみつ)」と呼ばれるものが多く、 現在のようにれんげやアカシアの「単花蜜」 (1種類の花から採れた蜂蜜)ではなく、 いろんな種類のはちみつが一緒になったものを 一升瓶などに入れてあるのが一般的な形だったそうです。

草場 いわゆる「百花蜜」というものですか。

水谷 そうです、百花蜜。 しかも、一般家庭にはなくて、 問屋さんやお料理屋さんに卸すのが メインだったみたいです。

草場 当時のはちみつは、 特別な存在だったんですね。

水谷 そうですね。 そこで祖母が、 「こんなにおいしいはちみつを、 もっと世の中の人たちに届けたい」 という強い想いから、 小瓶に詰めて一般家庭用に売りはじめたんですが、 このときにお花の種類別に分けた 「単花蜜」として届けたんです。 はちみつは、お花ごとに色や香り、風味が異なるので、 この繊細な自然の恵みを、 より深く楽しんでもらいたいと考えたそうで、 単花蜜にして販売したのは、 祖母が日本で初めてだったと聞いています。

草場 そうだったんですね! すごい。

水谷 そういう新しいことを、 あの時代に仕事としてやっていくというのは、 女性にとって簡単ではなかったと思うんです。 それでも祖母は自分の信念を貫いてやったことで、 10年後、20年後には当たり前のように 単花蜜が家庭に届くようになったんです。

草場 お祖母様は、先駆者ですね。

水谷 その祖母のスピリットを Tamitu は受け継いでいて、 これまでの歴史や伝統は大切にしながらも、 次の新しいスタンダードを切り開いていけたら、 という想いが、 「すこやかに、美しく」という言葉に詰まっていると 私は思っているんです。

草場 言葉一つに、そんな背景があったんですね。

水谷 はちみつ自体には、 みなさんもよくご存知のように、 喉やお肌にいいというのは当然のベースとしてありながら、 Tamitu の精神みたいなものも伝えていけたらと思って、 香りや飲み方も楽しんでいただけるものを作っています。

草場 もともと、私が Tamitu と出会ったきっかけは、 「Herbal Honey」のお披露目会に伺ったことでした。 そこで、普通のはちみつは 温かい飲みものでも底に沈殿してしまうのに、 「氷を入れたお水やソーダにも溶けます」 と聞いて、ものすごく驚いたのを覚えています。 太美さんがテーブルハニーを作られたように、 水谷さんも新しいことをされているんですね。

水谷 養蜂の家庭で育った私自身、 はちみつって水に溶けないものだと思い込んでいたんです。 だから、画期的なものができたなと思ったんですが、 実はこれ、失敗から生まれたんですよ。

草場 ええっ?

水谷 私が本格的に家業に専念しはじめて、 はちみつの買い付けのために世界を回っていたとき、 ヨーロッパでハーブ薬局(利用者の体調に合わせて ハーブを調合する)に出会いました。 そこでは、たとえば夜眠れない人には、 リラックス効果のあるラベンダーを入れたハーブを 処方してくれたりするんです。

草場 なるほど、そんな出会いがあったんですね。

水谷 私もそんなふうに、 使う人に寄り添った、 その人のためのはちみつを作りたいと思って、 Herbal Honeyの開発にとりかかりました。 けれど、いざ自分で調合をはじめてみると、 はちみつではハーブエキスの抽出がうまくいかなくて。

草場 はちみつに漬け込んだだけでは、 ハーブエキスが出てこないんですか。

水谷 そうなんです。 かといって、 別の方法で抽出したハーブをはちみつに「添加」するのは 嫌だったんですよね。 一度試してみたら、 香りだけカレーで、味は普通のはちみつ、 という変なはちみつができてしまって。

草場 あらあら(笑)。

水谷 どうしようかなぁと思いながら、 いろいろな方法を試していたら、たまたま、 サラサラしたはちみつができたことがあったんです。 試飲しようとしたら、なんと水に溶けたんですよね。 「まさかはちみつが水に溶けるなんて」 と、びっくりしました。 その試作品は発酵してしまって、 製品としては売れるものではなかったたんですけど、 「水に溶けるってすごく便利じゃない?」 と思って、 そこから本格的に製品化をめざしたんです。

草場 試行錯誤を繰り返す中で偶然生まれたものが、 今では Tamituの代名詞のような 商品になったんですね。

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