04 想像が膨らむ柄も楽しい。TEMBEAさんのお話

編み針ケースやニッターのためのバッグを
一緒につくってくださっているTEMBEAさんと、
今年もオリジナルグッズをつくりました。
スキーヤーとイエティが遭遇する雪の中の景色や、
リスが駆け回る森など、
想像が膨らむ柄はとってもチャーミングです。
プリント柄について、
TEMBEA代表、デザイナーの早崎篤史さんと
デザイナーの白石美久さんにお話をうかがいました。

──

昨年、イエティや羊の柄をプリントしたオリジナルグッズが、
とっても好評でうれしかったですね。

白石

私もすごく安心しました。
あっという間になくなってしまったと聞いて、
うれしいです。

早崎

僕らのブランドはヒットすることよりも、
あまり届かない時期の方が長かったんで、
こうやって反響があったり展示会でオーダーがついたりすると
「奇跡だな」と思います。
バゲットトートがあたったときは、
もうほんとに、宝くじくらいの奇跡だと思いました。

──

今ではTEMBEAを象徴する形ですもんね。

早崎

ヒットするものって、
狙って作れるかというとまた別の話で、
一生懸命いくつもつくった中で、
偶然的にあたることがほとんどだと思います。
でも、ほんとうにいいものは、わかることもあって。

──

これはいけるぞ、ってわかるんですか。

早崎

そうですね。
つくっているときからアドレナリンがブワーって出て、
ものすごく全部がうまくいくことがあります。
それって仕事の醍醐味だな、と思いますね。

白石

原動力になりますよね。

──

イエティの柄が生まれたときも、
「これはいけるぞ」という感覚があったのですか?

白石

私は全然なかったです。
あまり、プリントの柄を描いているときに
「これはいけるぞ」と思ったことが今までなくて、
展示会に出して、オーダーがつくまで緊張しますね。

──

今年もMiknitsらしく寒い季節を感じられる柄で
グッズをつくりたいという話になり、
TEMBEAさんにご相談させていただきました。
そこで、選んだのが「スキー」柄です。
どこかヴィンテージ感のあるおしゃれな柄で、
バゲットトートと編み針ケースになりました。

白石

プリント柄を発表するようになって、
3年目くらいだったと思います。
それまでずっと写実的な絵を描いていたんですが、
密度が高くて、重ためになるので、
ちょっと軽い感じにしたいと思い画風を変えました。

早崎

画風が変わった、きっかけのプリント柄だよね。

白石

そうですね。
写実的な絵の場合は、
図鑑を見ながら模写するような感じなのですが、
線画の場合は想像しながら描くので、
思ったよりも時間がかかってしまって。
でも、お客さまには新鮮に見えたのかもしれません。
冬限定の柄としては反響があり、
おかげで次にやれることが増えました。

──

新境地だったんですね。

白石

そうですね。
柄の中にTEMBEAのロゴを入れたり、
遊び心をしのばせるようになったのもここからです。
自分でも仕掛けるのが楽しいです。

──

この柄が生まれたのは、どんなきっかけが?

白石

冬といえば何だろうと考えるなかで、
スキーが思いついたんです。
早崎からも「わかりやすいテーマがいいよ」
というのはずっと言われていたんで、
私の中の冬の王道といえばスキーだなって。

バッグの生地が帆布で懐かしい感じがあるので、
古本屋でスキーの本を探して、
参考にさせてもらいました。

──

レトロな雰囲気は、そこから来ているんですね。

白石

スキーの本を見ていたときに、
昔の本のインクにある、
懐かしい感じの赤色がいいなと思って。

早崎

朱色を帯びた赤色みたいな。

白石

それで、赤色を差し色にしました。
柄は早崎に見せたときに、
滑ってコケているようなヘタクソくんがいいって
言ってもらったんです。
シュッとしたカッコいい感じにはしない方がいい、
ヘタクソくんをフックにしたほうがいい、
というアドバイスでした。

──

たしかに、そういうムードのほうが合いそうです。
よく見るとブランドのロゴがあったり転んでいたり、
チャーミングな柄ですね。

白石

鉛筆で描いたものをデータにして取り込んでいるんですが、
よく見ると迷っている線があって、
そういうのもいいなと思います。

──

今回は特別に、スキー柄にイエティを描いていただきました。
既存の柄を組み合わせるのは初めてなんですよね?

白石

せっかくご一緒できるなら特別なことをしたいですし、
スキーとイエティなら合うんじゃないかと思って
ご提案させてもらいました。

ただ、そのままイエティを入れると
スキー柄となじまないので、
しっくりくるようにバランスを考えました。
大きさもイエティよりスキーヤーが
少し小さいくらいのバランスが良かったので、
その辺りも調整しています。

──

TEMBEAさんのキャップやロゴ入りスキー板、
イエティに驚いているスキーヤーも。

白石

そうなんです!
元々は転んでいるスキーヤーを
イエティに遭遇して驚いて見えるようにいれました。
プリントはチャーミングですけど、
ハンドルや底のカラーが定番のブラックなので、
持ちやすさがあると思います。

──

もう一つは、今年のリスのあみぐるみに合わせて、
森の中でリスが駆け回っている
とても愛らしいプリント柄で、
ポシェットと輪針ケースになりました。
こちらは、スキー柄と違うタッチですよね?

白石

描き込むタイプの絵柄ですね。
私は図鑑を見るのが好きなんですが、
お店のディスプレイに洋書の植物図鑑があったんです。
描かれている植物のタッチが素敵で、
そこに動物がまぎれ込んでいるのがかわいくて。
そのアイデアを柄に活用させてもらいました。

──

この濃密な線をプリントする技術もすごいですよね。

白石

当時は別の人が間に立ってくださっていたので
職人さんの反応はわからないのですが、
あまりにも線が細かくて怒っていたと思います(笑)。
しかも、いろいろな色が入っていればごまかせるけれど、
1色刷りだとごまかせない、という話を聞きました。

──

しかも、私たちのわがままで、
森にいる小さなリスが増えていて、
さらに細かい絵になっていますし。

早崎

今、やっていただいている職人さんしか、
できないことだと思います。

白石

そうですね。

──

リスを描くために、
動物園にも行ってくださったんですよね。

白石

実物を見たほうが「かわいい」という記憶が残るから、
いい線が描けるような気がするんです。
なので、できるときは可能なかぎり、
実物を見に行くようにしています。
リスは想像以上にかわいらしくて、
あみぐるみもそうなんですが、
尻尾が重そうなくらいボリューミーなんですよね。

──

身体全体とアンバランスなくらい
尻尾が大きいんですよね。

白石

そうなんですよね。
ふさふさで、とっても印象的でした。
木の柄と馴染ませないといけないので、
リスが飛び移ってたりとか、
ちょっとアクティブな感じを出しました。
あとは、リスだけだとおもしろくないので、
毛糸玉やどんぐりなど
遊びもまぎれ込ませています。

──

白石さんのお楽しみポイントですね。
毛糸玉、というのもいいですね。

白石

妄想ですけど、
冬眠の時期になって、
毛糸玉を間違えて巣穴に持って帰ってきて、
暖を取っていたら‥‥と
想像が膨らむ柄も楽しいなと思ったんです。
あと、実はフクロウもいます。

──

ほんとですね。
届いたときに「ここにいた!」と
見つけ出すのも楽しいですね。

白石

プリントが潰れてしまっているように見えるのですが、
闇の中に溶け込んでいる感じが
リスとの対比になったらいいなと思って、
こういうプリントになっています。

──

ポシェットもTEMBEAさんでは定番の形ですが、
ほかではなかなか見ないですよね?

早崎

最初はふつうの巾着だったんですが、
ぜんぜん反響がなかったんです。
それで、ずーっとポシェットを見て。
考えるときに僕がよくやることなんですけど、
そのときに、パッとひらめいたのが、
ポシェットから出ている紐が結ばれているのではなくて、
くっついて輪っか状になっていたら
使いやすいんじゃないかと思ったんです。

──

巾着の結び目が見えない仕様になっていますもんね。

早崎

あまり、ほかにはないんですよ。
電線のつくりと一緒で、
工業製品ではやることなんですけど
いわゆる雑貨でやらないので、
工場の方からも嫌がられてしまって。
でも、結び目がない方が持ちやすいじゃないですか。
なので、どうにかお願いしてやってもらっています。

──

それに、プリント柄ですけど絵柄が細かいので、
デイリーに持ちやすいポシェットですよね。

白石

それこそ、リスのあみぐりみを編むときに、
毛糸をこのバッグに入れて
編んでもらうのにぴったりだと思います。
編み終わったリスをチャームにして、
ポシェットにつけてもかわいいですしね。

──

新色の編み針ケースは、
いくつものパターンを検討しまして、
オリジナルでつくっていただきました。

早崎

茶色×赤はロングセラーになりましたね。

──

ずっと人気が高くて、
これを越えられるものはないのではないか、
と思っていました。
ただ、ひさびさに新色を出したいと思い、
悩みに悩み抜いたカラーがネイビー×エンジです。

白石

すごくいい色ですよね、
白のステッチも映えますし、
新たな定番になる気がします。

早崎

カッコいいし、持ちやすそうですよね。
昔、このカラーリングでバッグを発表したので、
懐かしい気持ちになりました。
何十年も前ですけど、未だに覚えています。

バゲットトートとポシェットの中身

──

どんなものを入れて持ち歩きたいか、
白石さんのバッグの中身を見せていただきます。

白石

BAGUETTE TOTEにはカギとポーチ、水筒など
私がふだんから持ち歩いている
定番のアイテムを入れました。
あたたかいTEMBEAの手袋は冬の必需品です。
グレーxホワイトの配色のミトンは
アルパカ混の糸を使ったBIG MITTENというアイテム。
フワッとした肌触りがとても気持ち良いのでお気に入りです。

友人が編んでくれた手編みのアイテムも一緒に入れました。
これだけ入れても余裕なので、
BAGUETTE TOTEは思っている以上に入ります。

白石

冬のお出かけがテーマです。
ポシェットも小さく見えますが意外とモノが入ります。
小ぶりなお財布はTEMBEAのもので、
DOUBLE GAMAといいます。
コンパクトながら、3部屋に分かれているので
カードと小銭、お札を仕分けられます。
寒いとき用にグンテも入れて、
カラビナでキャップやポーチをくっつけました。
ポシェットと同じくらい存在感があるチャームは、
イエティです!ふわふわな触り心地なんです。
今年の新作としてTEMBEAから発売します。

(おわります。)
2026-10-15-THU

撮影|清水奈緒(イメージ写真)、
スタイリング|岡尾美代子
ヘアメイク|茅根裕己(Cirque)
モデル|Karoline(STAGE)