03 魔法の一工程。三國万里子さんのお話

編みながら思わずほほえんでしまう、
茶目っ気たっぷりで編むのが楽しい
作品もそろいました。
「横方向から大きなヨークを編むとしたら‥‥」
「魔法の一工程を加えたら‥‥」
三國さんの中にある物語を辿るような気持ちになります。

技法や形のアイデアからはじまった。
「pierrotのプルオーバー」

その名前の通り、
ピエロの襟のような柄が特徴的なヨークセーター。
「横方向から大きなヨークを編むとしたら‥‥」
という、三國さんの想像から、
旋回するような動きのある柄行きが生まれました。
アラン糸とキッドモヘアという
異素材の組み合わせも新鮮です。

一番最初にあったのは
「ピエロのイメージ」ではなかったかもしれません。
どちらかというと
「横方向から大きなヨークを編むとしたら…」という、
技法とか、形のアイディアだったと思います。
実際に編む順番もヨークが先で、
そこからゆったりした身頃と袖を編み下げてゆき
(この時点で「ピエロ」決定)、
さらに画竜点睛ともいうべき、
大きなポンポンのモティーフをつけました。

マットなアラン糸のベースに、
ホワホワなモヘア糸の組み合わせが、
ピエロや、いにしえのパントマイム役者
(わたしの中では『天井桟敷の人々』のジャン=ルイ・バロー!)
の醸し出す浮遊感、そして夢の中みたいな気分を出すのに
一役買ってくれています。

“きっと何か、いいことがあるよ”
リスのあみぐるみ「squirrel」

Miknitsの定番、あみぐるみシリーズ。
今年は「リス」がモチーフです。
手のひらにすっぽりおさまるサイズ感ですが、
身体を支える大きな尻尾が特徴的。
目や口元、手足など刺繍で仕上げる部分も、
とてもチャーミングです。

ちょっと上を向いてるんですよ、この子たち。
で、「きっと何かいいことあるよ」と思っている。
おいしい木の実が落っこちてくるぞ、とか、
なにやらいい匂いがする、とか、
友達がやってくる予感がする……とか。
そんな顔、しているでしょう?

さて、楽天的、かつ健やかなリスに
なってもらうためのコツが、いくつかあります。
わたの入れ加減(胴体、尻尾とも)、
毛並みを意識しながら手足を刺繍すること、
そしてすっくと直立するように、
最後に「魔法の一工程」を加えること。

編む作業自体は難しくありませんが、
なにしろ小さい子たちなので、
「今どこを編んでいるか」を見失わないように、
どうぞお気をつけて。
必要に応じて編み図に印をつけながら、
着実に編み進めてくださいね。

また、前シーズンで好評だった、
「poisson」と「corridor」の新色もご用意しました。
どちらもカシミヤの糸で編む、
肌ざわりの気持ちいい小物。
色が変わるだけで雰囲気もガラリと変わり、
また、新鮮な気持ちで編んでいただけると思います。

「あらためて見ても、カッコいい」
TEMBEAさんと作ったニッターのためのグッズ。

今年もTEMBEAさんと、
ニッターのためのグッズを作りました。
使い勝手の良さとおしゃれさを叶えた
定番の編み針ケースに、新しい柄が仲間入り。
ふだん使いにも、編みもののおともとしても
活躍するトートバッグとポーチは、
どこでも編みものができる丈夫な素材です。

今回も一段とかわいくて、ハンサムですね。
ニッター的な観点からいうと、
「POCHETTE FOR KNITTERS (SQUIRREL FOREST)」
は小物のモバイル編み(というらしい)に
重宝しそうですし、
「BAGUETTE TOTE FOR KNITTERS(WHITE MOUNTAIN)」は、
編みかけの編み地を針にくるくる巻いて、
縦に突っ込むのにちょうどいい。

編み針ケースは初代から、TEMBEAさんが
完成度高く作ってくださっていますが、
新しい柄と色を得て、
まだこういう可能性があったんだ、という
新鮮な驚きを感じています。
それにしても紺色ベースに赤のパイピングって、
いかにもMiknitsな色使いという気もするけれど、
今までなかったんですものね。
改めて、かっこいい道具だなと見直しました。

(つづきます。)
2026-10-14-WED

撮影|清水奈緒(イメージ写真)、
スタイリング|岡尾美代子
ヘアメイク|茅根裕己(Cirque)
モデル|Karoline(STAGE)