Miknits JOURNEY 三國万里子さんの編みもののお店、はじまります。

2021年のMiknitsも、まだまだ旅の途中。
ヨーロッパで出会ったニットから学んだ編みものキットや、
身軽に繰り出せる編み地柄のサコッシュ、
foodmoodのなかしましほさんや
mitosayaさんと一緒に作ったMiknits缶。
外の空気をたっぷり吸い込んだ、
編みもの時間が楽しくなるMiknits 2021を
ひと足お先にお見せします。

02

古着屋で見つけたいカーディガン。
編みものキットbirdie, uneune, lady catのお話

テクスチャーの豊かさとウエアの立体感を作る醍醐味を
味わえるカーディガンのキット「birdie」、
猫がモチーフのミトン「lady cat」が編みものキットに登場です。
ヴィンテージの手編みニットをヒントに作られた「uneune」には
ピンクのグラデーションがおしゃれな、新色「アネモネ」が仲間入りします。

初めてbirdieの完成品を見せてくださったとき、
三國さんが「古着屋で見つけたいカーディガン」
と表現されていたのが印象的です。

古着屋で見つけたら「かわいい」と、
うれしくなるカーディガンをイメージしました。
以前、40年前のエストニアの手芸雑誌を見ていて、
こういう雰囲気のニットを着ているお姉さんが
写っていたんです。
いろんなテクスチャーを活かした
ユニークなカーディガンで、
そこからヒントをもらいました。

テクスチャーが豊かですよね。

袖や脇はレース編みで、
前身頃や背中にデザインされた
縦に連なる木のモチーフは、
交差模様にボブルを加えた技法で表しています。
裾はトリニティステッチです。
賑やかで豊かなテクスチャーですが、
テクニックとしてはそれほど難しくありません。
複雑な模様もあれば、ベーシックなレース編みで
ホッとできるポイントもあるので、
テクスチャーものが好きな人は
編むごとに満足できると思います。

シルエットは、
身幅はゆったり、裾は腰にそわせた
ジャケットのようなカーディガンです。

ニットで、背中にタックが入っているのが
これまでにはない特徴ですよね。
形がきれいに見えます。

「背中のタック」は、
いつか実らせたいと思っていたアイデアなんです。
以前、海外の買い付けで、
レースのテクスチャーでタックを入れた
ジャケット
を見つけたんです。
タックとレースというディテイルから
考えを膨らませて、何か作りたいと思っていて、
ようやく実現しました。

ジャケット風に羽織って主役にしてもいいですし、
前を閉めてVネックセーター風に
着るのもおすすめです。

Vネックの深さにも気を配りました。
全体的にコロンとした丸いシルエットが
小鳥のようだと思ったので、このキットを
「birdie」と名づけました。

女の子の愛称のような、
思わず声をかけたくなる名前ですよね。
編んだら、いろんなところに連れて行ってもらいたいです。

飽きのこないカーディガンだと思うので、
楽しく編んで、長く着てもらえたらうれしいです。

uneuneは昨年発表したリブカーディガンで、
三國さんがフランスのクリニャンクール蚤の市で見つけた
ヴィンテージの手編みカーディガンをヒントに
デザインされたものです。
ゴム編みのテクスチャーが身体に馴染んで、
着やすくておしゃれ。
昨年もとっても人気でした。

今年は、新色のフューシャピンク、ライトピンク、えんじを
組み合わせたおしゃれなニットができました。

糸の新色ができたときに、
真っ先に「この色でuneuneを作りたい」と思いました。
以前、ほぼ日手帳のカバーのために
いろんなピンクを使った編み地を作ったことがありまして、
その時にピンクは色の濃淡で組み合わせると
良さが際立つことを学んだんです。
今回の糸も、どれも絶妙ないい色で、
グラデーションでこそピンクの良さが際立つことが
再確認できました。

uneuneは肩の切り替え位置が落ちていて、
袖丈がすこし短いデザイン。
すっきりした印象で着られるためか、
ピンクだけど甘すぎないと思いました。

そうですね。
Tシャツやパンツなど
プレーンなスタイルにも合いますし、
麻や革など強い印象を受ける素材を組み合わせても
いい着こなしになると思います。

あとは、裾がえんじ色なので、
色をリピートするように淡いピンクや白の
ボトムスを合わせてもまとまると思います。

lady catは、猫好きには
たまらないミトンになりましたね。

猫はとても好きなモチーフの一つです。
Miknitsにはシャム猫を思わせる
グレーや白のモヘア糸があって、
うまく使ってみたいという気持ちから、
このミトンが生まれました。
アラン糸に編み込むことで、甘くなりすぎず、
猫の毛の質感が引き立ちます。

異素材を編み込むのは、
三國さんのデザインで珍しいですよね。

いろんな糸を揃えるのって、
編む側はたいへんですからね。
だから、miknitsのキットだからこそ
できたことだと思います。

ミトンの形や作りは、
伝統的なミトンを踏襲しています。
昔から、私の本を読んで編んでくださっている方は、
馴染みのあるものだと思います。

美人な顔立ちの猫なんですけど、
V字の編み目が、くりっとカールした
まつ毛のようにも見えてかわいらしいと思いました。

写真のスタイリングを手がけた岡尾美代子さんは、
「目がハートですね」とおっしゃっていましたよ。
どれもきれいな色なので、
猫の表情が映えると思います。

おうちに猫がいらっしゃる方は
「うちの子だ」と思いながら編んでいただけたら、
愛着が湧きそうです。

いいですね。
わたしは猫は飼ったことがないんですが、
正直そうなところが好きです。
お好きな色のを編んでください。

(つづきます。)

2021-08-19-THU
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スタイリング|岡尾美代子
撮影|清水奈緒(イメージ写真)、
沖田悟(商品写真)
ヘアメイク|茅根裕己(Cirque)
モデル|ALASKA(身長・175cm)(TOKYO REBELS, Inc.)
モデル着用クレジット