2021年のMiknitsも、まだまだ旅の途中。
ヨーロッパで出会ったニットから学んだ編みものキットや、
身軽に繰り出せる編み地柄のサコッシュ、
foodmoodのなかしましほさんや
mitosayaさんと一緒に作ったMiknits缶。
外の空気をたっぷり吸い込んだ、
編みもの時間が楽しくなるMiknits 2021を
ひと足お先にお見せします。

昨年発表した「mizudori」は大きな反響をいただけて、
とてもうれしかったですね。
みなさんが編んでくれてうれしかったですし、
Miknitsを楽しんでくれるみなさんが、
とても頼もしくなっていると思いました。
みなさん、どんどん上達している。
すごくいいアンゴラ糸ができましたし、
この世界観をまだまだ楽しんでほしい。
mizudoriに続いて、
今年はボーヒュースニットの技法を用いた
アンゴラのカーディガンができました。
*ボーヒュースニットについて、
くわしくはこちらの記事でお話ししています。
三國さんが昨年、
ボーヒュースニットは
「夢の中にたたずむような感じがする」と
おっしゃっていました。
その印象を、より強く受けるものになったと思います。
デザインのイメージは何でしょうか?
お月さまが夜空に昇ったときに、
月の周りをほわっと囲む白い光を見たことありますか?
リングのように、
月の輪郭をぼんやりなぞるようなものですか。
そうです。
その、「月の輪」をイメージして編みました。
紺色ベースでグラデーションにしよう、というのは
最初に決めていたのですが、
スワッチ(編み地見本)を作る段で
結構苦戦しました。
グラデーションって、ともすると
無難で、退屈になりがちなんです。
そこで何日か試行錯誤を繰り返し、
ようやく見つけた答えが、
ヨークの中心に一本、太いボーダーを通すことでした。
静かに輝く、明るい色合いの輪を連ねたようなボーダー。
夜空に光が差して、
ほんのり透けるようなイメージを作れたと思います。

だから幻想的に感じるんですね。
ラベンダーやイエローといった色遣いも、
効果的だと思いました。
青のグラデーションから少々はみ出た色ですね。
これらの色が、月の輪というテーマを決める鍵に
なってくれました。

ボーヒュースニットは
裏目をどんな風に出すかによって、
色の混ざり方が全然違うとおっしゃっていました。
往復で模様編み、かつ裏目を入れるので、
慣れるまでは頭がねじれるような仕事ではあるんです。
なので、せめて柄は覚えやすいものにしました。
最大で8目の繰り返しで、他は全て4目の繰り返し模様。
比較的小さな数の繰り返しなので、覚えやすく、
リズムもつかみやすいはずです。
増し目は無地の段でするので、
少しホッとしていただけると思いますよ。
ベースとなるネイビーも、
黒に近い濃紺で着やすそうです。
デザインもベーシックなので、
いろんな人に似合うデザインになったと思います。
形もmizudoriに比べて身幅がたっぷりしているので、
重ね着もしやすいです。
アンゴラ素材のお洋服ってあまりないと思うので、
革やツイードなど、
異素材のものと組み合わせると
カーディガンが引き立つと思いました。
違う素材を組み合わせるのはいいですね。
ボーイッシュな着こなしにも
取り入れやすいニットだと思います。
Tシャツとジーパンに羽織ったり。
うれしさが広がるアイテムですね。
アンゴラ糸は編んでいるときはソリッドですが、
編んだり着たりすると摩擦で毛羽が立ち上がって、
霧のようなうつくしさに変化していくので、
その過程も楽しんでもらえたらと思います。

(つづきます。)