10年着た人もいるくらい、 丈夫な生地でつくりました。 あたらしい〈O2〉なTシャツです。

カトー 加藤博さん グランマ ママ ドーター 宇和川恵美子さん 第一紡績株式会社 阪本豊さん・白石浩二さん

予告05

「〈O2〉の定番Tシャツ」は、
肌触りのよさと、丈夫であることを、
いちばん大切な要素だと考えよう。
今季〈O2〉チームは、
「定番品に求めたいこと」として、
そのテーマで素材探しをスタートしました。

そのなかで、
昨冬好評だった「エア・スウェッツ」の生地を開発した
第一紡績株式会社で出会ったのが、
「PURE BREEZE®(ピュアブリーズ®)」という生地。
その素材でTシャツをつくり、
しばらく着回してみたところ、
何回も洗濯しているのに、
ほとんど型崩れがおきていない。
しかも、しなやかな柔らかさは
ほぼ、新品のときの状態に保たれていました。

この生地であらためて“オツな”定番Tシャツを
つくりたいと考えたわたしたちは、
デザインをすすめるにあたり、
「カトー」の加藤博さん、
「グランマ ママ ドーター」の宇和川恵美子さん
(おふたりはご夫婦)に連絡をとりました。
そうして、約6ヶ月‥‥。
できあがったのは、
一枚でも堂々と着れるように細部にまで配慮した
メンズTシャツ、
ふわっと広がるシルエットがフェミニンな
レディスフレアTシャツ、
男女で着回しもできるユニセックスTシャツでした。

加藤さん、宇和川さん、
第一紡績株式会社の担当である
阪本豊さんと白石浩二さんにうかがった
デザインと素材のお話、どうぞお読みください。

加藤 博(かとう ひろし)

自身の名前をブランド名にした「KATO’」 の創設デザイナーであり、
株式会社チームキットジャパン代表取締役社長。
これまで様々な国内外の商品の企画開発に携わるだけでなく、
生地開発や、 日本生地の海外輸出の際のディレクションなど
幅広く活躍する。
フランスの 「ET.VOUS」 のメンズライン開設時の
デザイナーとして活躍した後、
アドリアーノ・ ゴールドシュミット氏との仕事や、
RRLの商品企画開発・イタリア「Legra」の 生地開発など
世界のブランドで様々な役割を果たしてきた。

宇和川 恵美子(うわがわ えみこ)

セレクトショップの店長、バイヤーを皮切りに、
海外ブランド向け素材の企画・プロデュース、
アパレルブランド製品の企画・生産などの業務を経て、
2010年、
自身のブランド GRANDMA MAMA DAUGHTER を設立。
祖母から母へ、娘へと受け継がれていく
洋服作りをコンセプトに、
ユーザー目線を反映したゆきとどいた製品づくりで
人気を博している。

上品さと親しみやすさをあわせもった生地

――
ピュアブリーズの生地で
あたらしい定番Tシャツを
デザインしていただきたいと、
加藤さんと宇和川さんにお願いしました。
加藤
最初にこの生地をさわったとき、
しっかりしているのにやわらかい、
すごく風合いがいいなって思いました。
微起毛や、やわらかさを売りにした生地が最近多いですが、
そういうのともちがって。
宇和川
目がつまっていて、白でも透けない感じですね。
加藤
下着っぽく見えないのもいい。
これぐらいきれいな目面の糸は、
メンズの場合インナーで着るようなTシャツに
使われる場合が多いんですが、そんな雰囲気でもない。
上品さと親しみやすさをあわせもった生地ですよね。
――
今回、メンズTシャツ、ユニセックスTシャツ、
レディスフレアTシャツの3型を
デザインしてくださいました。
ひとつずつ、見ていきましょう。

スウェットっぽいメンズTシャツ

▲ピュア・ブリーズ メンズポケットTシャツ

――
この生地でメンズのTシャツをデザインしていただく際、
どんなイメージがあったのですか?
加藤
肉感がちょうどいい生地なんですね。
インナーにするような感じでもなく、
アメカジのTシャツとして合うような
がっしりした素材でもない。
ちょうど中間ぐらい。
どちらかに寄せることもできるんですが、
せっかくなら、どちらのよさもあるTシャツとして
1枚で着られるものにしたいなぁって。
――
一見ふつうのようですが、
よく見るといろいろなところに
工夫がこらされているって気づきます。
加藤
まず、襟ぐりの幅や、
袖口と裾の折り返しを広めにとっています。
よくスウェットなんかである、
リブとボディが分かれているようなデザインを意識しました。
――
たしかにスウェットっぽい印象があります。
加藤
外着として見たときの印象を強調しています。
そのためにいちばん気をくばったのは襟ぐり。
襟のしまつは基本的にフライスでつけますが、
首のリブを生地にはさみこんで縫製した
バインダーネックにしています。
このバインダーの幅というのがすごく重要で、
これより細いと下着っぽくなってしまうので、
ちょっと太めに。2.8センチくらいですかね。
――
より男性らしさが際立ちますね。
襟はつまった感じですが、肩はちょっと落ちているような。
加藤
そうですね。ちょっとドロップさせています。
筋肉質の方が着ても肩が盛り上がらずにすっきり見えるし、
なで肩の男性が着ても自然に見えます。
――
ディテールにも目をうばわれます。
まず、裾の左右に入ったスリット。
加藤
サイドの裾を少し割っているのは、
1枚で着たときの見ばえが
よりよくなるようにした意味がありますが、
パンツのポケットに手を入れやすくなるのもポイント。
――
そんな利点もあったんですね!
うしろには、背中にあたる生地がはられていて、
ステッチワークがアクセントになっています。
加藤
背あてをつけているのは伸び止めになるのと、
ステッチを入れているぶん
うしろから見たときの印象もよくなるように。
特に白は何もないと単調な印象になりますから。

スモックのようなレディスTシャツ

▲ピュア・ブリーズ レディスフレアTシャツ

――
レディスのTシャツは、裾が広がる
フレアなシルエットでとってもかわいい印象に
仕上がりました。
宇和川
この素材にふれてみて、
やわらかでドレープ感が出るような感じがあったので、
ふわふわっとなるのをうまく生かせないかなって
思ったときにフレアがいいかもってひらめきました。
加藤
自然にすとんと落ちるこの生地と
フレアのかたちが合いましたね。
宇和川
裾がふわっとしてフェミニンな印象があるので、
首元はつまりぎみにしてスポーティに。
襟ぐりの生地もボディと同じ生地を使っていて、
円状にしたぶんシワが寄って
ちょっとぽこぽこした感じになって表情が出ました。
――
裾がフレアなのと対照的に、
肩まわりはコンパクトですよね。
宇和川
フレアになっているぶん、
肩も大きくするとドスンとしたかたちになってしまうので、
肩幅をややせまくしてバランスをとりました。
――
後ろを見ると、すそがまぁるくカーブしていますね。
宇和川
うしろのすそをカーブさせることによって、
着たときに裾のラインが
真っすぐに見えるようにしています。
サイドにもこっそり‥‥
――
あ、レディスTも小さくスリットが。
宇和川
あまり目立ちませんが、
ちょっとしたデザインのポイントに。
――
合わせるパンツを選ばなそうですよね。
アレンジもいろいろ楽しめそう。
宇和川
スカートにも合いますし、
きれいめなパンツなら夏の仕事着としてもよさそう。
Tシャツをパンツにインしてもかわいいと思います。
すそがたっぷりしているからタックインしたときの
ブラウジングもいい感じになると思います。
――
Tシャツ1枚なのに、
おしゃれに見えてかわいいってすごいです。

“完ぺき”なバランスのユニセックスT

▲ユニセックスワイドポケットTシャツ

加藤
ユニセックスのTシャツはメンズより
身幅が広いワイドなかたちです。
そのぶん裾の折り返しはふつうの幅に。
そうしないと重たい印象になるので。
――
スリットも小さめですね。
加藤
はい。
襟のかたちは前が下がりすぎていると
インナーっぽくなるので、
やや横に広がる楕円形にしています。
宇和川
ボートネックにちかいかたちですね。
加藤
襟のバインダー幅を細めにしているのは、
ここを太くしてしまうと、いかつめの
アメカジTシャツみたいな感じになってしまうので
それでちょっと細くしてます。
――
男性らしくもあり、女性っぽさもある
中性的なデザインで誰にでも似合いそう。
加藤
ぼくはよくTシャツに重ね着するんですが、
なかにもう1枚うすいTシャツを着たり、
ロンTをレイヤードするのに向いていますね。
実際に着てみても、かたちがいいと思いました。
ワイドすぎないゆとりがあって、
いかにも「ビッグシルエット着てます」
という感じにならない。
けっこうインポートのワイドTシャツだと、
袖幅も極端にワイドというのが多いんですよね。
宇和川
身幅はいいのに、袖も長くなっちゃっていたり。
これはちょうどいいバランスでできたのかなって思います。
――
出すところは出して、引くところは引く。
足し引きのバランスがたくみですね。
宇和川
男性が着たら上品でリラックスした感じになるし、
女性が着ても肩が落ちてエフォートレス。
タックインしてもすてきになると思います。
いい感じにできましたね。
自宅で試着してみたとき、
思わず「完ぺき」って声が出ました(笑)
――
すごい!
「完ぺき」いただきました(笑)
宇和川
ご夫婦でも、恋人同士でも共有できるし、
色ちがいでご購入いただけたら、
ペアルックのように着ていただけると思います。

10年着てもへたらない

――
以前からこの生地をつかったTシャツを
年中着させてもらってたんですが、
何回も洗濯しているのにほとんど型くずれがなくて、
しかも柔らかさは、はじめと変わらなくて。
これはすごいぞと。
白石
ありがとうございます。
うちの隠れたロングセラー生地なので、
そう感じていただけてうれしいです。
――
ロングセラーだったんですね!
それで永く使える、
あたらしい定番Tシャツをつくるとなったら、
「生地はこれがいい!」と思いいたったんです。
この生地のつくり方に秘密が隠されているんでしょうか?
白石
ちょっと専門的ですが、
「精紡交撚甘撚り(せいぼうこうねんあまより)」という
作り方で糸をつくっています。
――
精紡交撚甘撚り。
なんか必殺技みたいな名前(笑)
白石
ふつうは、綿のわたをくしでとかすように整えたあとに、
1本の粗糸をねじって撚りをかけ、糸をつくります。
(※粗糸(そし):綿の繊維をひきそろえ、細いひも状にしたもの)
今回の精紡交撚というのは、2本の粗糸をつかって、
撚り合わせるようにして糸をつくります。
だから、それぞれ1本ずつには撚りがかかっておらず、
綿のようにふんわりしています。
――
なるほど。
2本の粗糸を撚り合わせる精紡交撚と、
それぞれの繊維に撚りをあまりかけない
甘撚りがセットになっている。
白石
そうです。
綿はねじればねじるほど、
綿本来の光沢感ややわらかさがなくなっていくんです。
いわゆる「強撚」という糸だと、
サラサラとしたタッチでかたい素材になります。
逆に撚りを少なくすればするほど、
やわらかくて光沢感のある糸ができます。
――
でも、そのぶん長く着たり洗濯の回数が多くなると
生地がだれてきそうなイメージがあります。
ただ撚りを少なくすればいいというわけではなさそうですね。
白石
そうですね。
糸番手でいうと50番手というやや細めの糸なんですけど、
それを2本もってきて、
さらにできた糸同士を撚り合わせて双糸にしていくんです。
だからその前の粗糸からいくと
4本分の糸が合わさっていることに。
――
2本の粗糸で作った精紡交撚糸をさらに双糸に。
白石
ええ。
手間がかかっていますが、そのぶん強度が担保できる。
やわらかさも光沢感も
ほかの双糸や単糸とはぜんぜんちがいます。
それを一般的なTシャツでよくつかわれる
天竺という編地にして、やや目を詰めることで
縮みや型くずれが起きにくいようにしています。
阪本
一般的な天竺の生地って、
糸がきちんと撚られているので、
糸がもとの状態に戻ろうとする力が
つねにはたらいているんですよ。
――
洗濯したあとに、脇の縫い目がぐっと
ななめになってしまうのはそういうわけなんですね。
阪本
斜行(しゃこう)と言います。
撚っているせいで、
単糸だとどうしても斜行が出てしまうんですが、
双糸にすると撚りの向きが相殺されて
真っすぐになるので洗ったあとでもゆがまないんですよ。
型くずれしないのはそういう理由です。
白石
だから、洗濯をよくされる主婦の方からも評判です。
「このTシャツすごくたたみやすいわ」って(笑)
――
たしかに、わたしも洗濯してたたむときに、
「あれ、ぜんぜん型くずれしてない?」と気づきました。
使われている糸はどういうものなんですか?
阪本
繊維の長い超長綿です。
超長綿って、スーピマとかエジプト綿とか聞くと思いますが、
これはアメリカのピマコットン。
ほかの綿もいっさい混ぜてない100%のピマ綿です。
白石
ふつう超長綿100%となると、
かなり細い糸を紡いで、編地も薄くして
ドレープ感のある生地にすることが多いですが、
これは50番手の太さにした糸をさらに双糸にして、
密度を詰めて編んでいるので、しっかりした生地感になって、
なおかつ光沢もやわらかさもほどよくあるというところです。
――
しっかりしているのにやわらかいって、
そういうことなんですね。
白石
あと、綿って毛玉ができにくいイメージがありませんか?
――
あります、あります。
白石
じつは、できてないように見えて
綿も毛玉はできているんです。
だけど繊維の力が弱いので、毛羽や毛玉がどんどん落ちていくので、
ぱっと見は毛玉になっちゃったってことはないんですけど、
そのぶん繊維が落ちていっているので、
いわゆる生地やせの原因になっているんですよ。
――
えぇ、知りませんでした。
綿生地の服を乾燥機にかけたあと、
ほこりがよく出るなぁって思ってたんですが、あれは‥‥
白石
繊維のくずです。
――
そうだったんですか。
知らずにどんどんすり減っていくんですね。
白石
はい。でもこのピュアブリーズは毛玉ができにくい
精紡交撚の製法でつくっていて、なおかつ仕上げに
バイオ加工もしているので毛羽は少ないです。
何回着てもなかなか生地がやせにくいと思いますよ。
阪本
わたしはこの生地のTシャツ、
10年以上着ていますよ。
耐久性があると思います。
――
わあ、ほんとに長持ちする生地なんですね。
いっそう楽しみになりました。
ありがとうございました!

(おわりです)

ピュア・ブリーズ
メンズポケットTシャツ
各¥5,500(税込・配送手数料別)

ピュア・ブリーズ
レディスフレアTシャツ
各¥5,500(税込・配送手数料別)

ピュア・ブリーズ
ユニセックスワイドポケットTシャツ
各¥5,500(税込・配送手数料別)

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