前回のミーティングから2週間後。
糸井重里、乗組員A、D、Fの4名が、
ふたたび会議スペースに集まりました。
理想のスタンドは見つかったのでしょうか。
「マイクスタンド編」全3回でどうぞ!
- 乗組員A
- サンパチマイクに取り付ける
マイクスタンドについて調べてみました。
- 糸 井
- ありがとうございます。
- 乗組員A
- まず、サンパチマイクを販売する
ソニーの方にも確認してみたのですが、
漫才で使われるスタンドについては
ソニー製品じゃないということで、
工場の方もくわしいことはわからないそうです。
- 糸 井
- そうですか。
- 乗組員A
- ただ、ネットで調べているうちに、
いろいろおもしろいことがわかりました。
- 糸 井
- ほう。
- 乗組員A
- 劇場やテレビ番組、
それこそ賞レースで使うスタンドもそうですが、
よく見るとみんな同じものっぽいんです。
- 糸 井
- えっ!
- 乗組員D
- びっくり。
- 乗組員F
- 同じものなんですか?
- 乗組員A
- そもそもの歴史をたどると、
サンパチマイクには先代機があるそうで、
そのモデルはソニーとNHKが
共同で開発していたそうなんです。
- 糸 井
- それ、最高だね(笑)。
- 乗組員A
- そのときNHKが
「マイクスタンドはこれにしよう」と
決めたものがあったそうです。
それが劇場でも使われるようになり、
そのまま定着していったんじゃないかと。
- 糸 井
- なるほどね。
- 乗組員D
- すごい納得しちゃった(笑)。
- 乗組員F
- どこのスタンドかわかるんですか?
- 乗組員A
- あくまで推測なんですけど、
「これかな?」というのはありました。
ネットで漫才中の写真を探してみると、
スタンドの土台部分のかたちが、
じつはみんな同じというのがわかります。
- 糸 井
- ほんとだ。3本足で、色はグレー。
- 乗組員D
- かたちもちょっと特徴的です。
- 糸 井
- 永ちゃんのとはちがうね。
- 乗組員F
- ちがいますね(笑)。
- 乗組員D
- これはどこのメーカーなんですか。
- 乗組員A
- 「高砂製作所」というメーカーです。
一応、確認しようと思って、
サポートセンターに電話で聞いてみたんです。
対応してくださった方の話では、
「劇場などでよく使っていただいています」と、
おっしゃっていました。
- 一同
- おぉーーっ。
- 乗組員A
- 品番でいうと、
おそらく「MF-18TM」じゃないかと。
- 乗組員F
- よく見つけましたね。
- 糸 井
- じゃあ、それを買えばいいわけだ。
- 乗組員A
- いやぁ、それが、その‥‥。
- 一同
- ‥‥ん?
- 乗組員A
- じつは高砂製作所さんは、
2017年頃にスタジオ製品の生産を
やめてしまったそうなんです。
なので先ほどのスタンドも、
いまはもう買うことができないようです。
- 糸 井
- 高砂さんがそのようにおっしゃった。
- 乗組員A
- はい。
- 糸 井
- そうかぁー。
- 乗組員D
- せっかく見つけたのに‥‥。
- 乗組員A
- で、そのあとぼくの知り合いで、
こういうスタジオ機材に詳しい人がいまして、
ちょっと相談をしてみたんです。
「どこかで買えないだろうか?」と。
そしたらその人がいろいろ調べてくれて、
別の会社に似たような商品があったんです。
- 糸 井
- おっ!
- 乗組員D
- すごい(笑)。
- 乗組員A
- (資料を見せながら)
それがこういうものなんですけど。
- 乗組員F
- 写真だけ見るとけっこう似てますね。
- 乗組員D
- 足もそっくりですね。
- 乗組員A
- 足のかたちもそうなんですが、
もうひとつ大事なポイントがあるんです。
それは、ポールの高さを変える方法で、
これは「フリーロック方式」というものなんです。
- 乗組員D
- フリーロック方式?
- 乗組員A
- 漫才師の方がステージに出てきたとき、
マイクの高さをスッと変えたりすると思うんです。
- 乗組員D
- あー、はいはい。
舞台に出てきたときにスッと。
- 乗組員A
- ふつうのスタンドの場合、
ポールの高さを変えるときに
グリップを握ってゆるめる動作が必要です。
でも、このフリーロック方式だと、
ポールを上下させるだけで
自由に高さを変えられるそうです。
- 糸 井
- あぁ、それは大事ですね。
- 乗組員D
- まさに漫才仕様だ。
- 乗組員A
- あと、土台も通常のスタンドより、
かなり重さのあるどっしりしたつくりです。
なんでそんなに重いかというと、
安定感がないと漫才中に倒れちゃうみたいで。
- 乗組員D
- スタンドにそんな秘密が(笑)。
- 糸 井
- グラグラしたら困りますもんね。
きっと昔のNHKの人たちも、
そういうことを話し合ったんだろうね。
- 乗組員D
- そのスタンドは購入できるんですか。
- 乗組員A
- メールで確認したところ購入は可能でした。
受注生産で、納期は3カ月。
業者用なので値段はけっこうします。
おそらく1本14~15万くらいは‥‥。
- 乗組員D
- 14万!
- 乗組員F
- けっこうしますね。
- 乗組員A
- 業務用となると、どうしても‥‥。
- 糸 井
- それは「スタンド」だと思うからで、
「俺の愛」だと思えば決して高くない。
- 乗組員F
- 「俺の愛」(笑)。
- 乗組員A
- あと、他の選択肢としては、
ネットで中古品を探すという手はあります。
さっきの品番で調べてみたら、
個人のフリマサイトで
1本だけ販売しているところがあったんです。
- 糸 井
- あ、それはいいんじゃないか?
高くても安くても。
- 乗組員A
- 中古品なのでキズはありますけど。
- 糸 井
- 不都合があれば別ですけど、
ちゃんと使えるならそれでもいいね。
- 乗組員D
- あ、たしかにネットに出てますね。
(パソコンで検索しながら)お値段は‥‥12000円。
これ、もう買っちゃっていいんじゃない?
- 乗組員A
- ただ、個人のフリマサイトなので、
買う前にちゃんと確認はしたいですね。
- 糸 井
- ウソかもしれない。
- 乗組員A
- あるいは、ニセモノの可能性もあります。
最近は大手のフリマサイトでも、
そういうのがけっこうあるみたいで。
- 乗組員F
- ページに連絡先もあるから、
買う前に聞いてみてもよさそうですね。
- 糸 井
- もしリサイクル品が買えるなら、
それでもいいんじゃないかな。
スタンドの由来を知った以上は、
まずはそっちから当たってみましょうか。
(つづきます)
2026-03-06-FRI