おいしい店とのつきあい方。

086 飲食店の新たな姿。その6
マクドナルドのあたらしい試み。

日本の外食産業はいつはじまったのか?
それは何がきっかけではじまったのか?
答えは、1971年、銀座三越の1階にできたマクドナルド、
というのが外食産業の歴史における定説でしょう。

そのとき、そこで生まれた
言葉や慣習もたくさんあります。
ファストフード。
テイクアウト。
セルフサービス。
先払い制。
それまでの日本にもありはしたけれど、
それらはどちらかといえば飲食業の影の部分。
決して主役をなすものではなかった。
客席らしい客席をほとんどもたずセルフサービス。
しかも日本人にとって
それほど馴染みがあるわけでない料理を売り物にした業態が
成功するなんて産業界の人たちは思ってなかった。
でも今や、彼らのやり方はすっかり当たり前になり、
外食産業のひとつの流派を作り上げるまでになっちゃった。

そのマクドナルドが今、
静岡県で壮大な実験をはじめています。

マクドナルドに行って、店に入ると最初にすることは
まずカウンターにいって注文すること。
忙しいときにはレジの前に並ぶことも当たり前。
料理が仕上がるまでをレジの近くでたったまま待ち、
出来上がったら自分で運んでテーブルにつく。
ファストフードとはそういうものという、
実はその常識を作ったのは
マクドナルドと言っても過言じゃないでしょう。

そのマクドナルドの新しいシステム。
注文をカウンターではなく
スマホのアプリですることを前提としているのです。
マクドナルドに行こうかなぁ‥‥、と思ったら
アプリを立ち上げる。
近所のマクドナルドの一覧表が表示される。
そこから1軒、行きたい店を選ぶと
今度はメニューが表示されて
食べたいものを選んでいく。
選び終わったら注文ボタンを押してお店に向かう。

この段階ではまだ注文が確定していないのが
このシステムの特徴的なことで、
店に入ったら「店に入りました」というボタンを押す。
そして決済ボタンをおして、
事前に登録してあったクレジットカードの口座から
代金分が引き落とされたらした注文が正式確定。
料理が作りはじめられる‥‥、という仕組み。

これだけならば決済機能のついたセルフレジが
スマホの形を借りて
お客様の手元にあるような感じに思える。
それだけでも随分な進化だけれど、
実は決済ができる場所を、
カウンターとテーブルの2か所から選べる。
カウンターで決済すれば、できた料理は自分で運ぶ。
テーブルで決済するときには、
テーブルに振られた番号をアプリに入力して待つ。
出来上がった料理はお店の人が運んでくれるという仕組み。

これ、ある意味、画期的な仕組みです。
一応、マクドナルドとしては、
お店の外であらかじめ注文してもらい、
テイクアウトのときにはカウンターで決済してもらい、
店内で食べる人はテーブルで決済してもらおう‥‥、
という考え方なのでしょうけど、
このアプリさえ持っていれば、
まずテーブルについてそれからメニューをきめて注文し、
カード決済登録してからテーブル番号を入力する、
って使い方ができてしまう。

フルサービスのレストランにおける、
① お出迎え
② ご案内
③ 注文をとる
というサービスの前半部分と、
④ お金を払う
という、サービスの最後の仕事を
お客様にしてもらうことができることになる。

画期的です。
ファストフードでありながら料理がテーブルに運ばれる。
かといって料理がテーブルに運ばれることが
サービスかというと、
それはあくまで作業であって、
テーブルサービスと呼ぶのはいささか気が引ける。
だから「テーブルデリバリー」。
よく考えたなぁ‥‥、と思います。

さてこのマクドナルドの試みは、
これからどう進化していくのか。
そしてこれからどんな広がりを見せるのか。
また来週といたしましょう。

2019-06-27-THU