おいしい店とのつきあい方。

046  食いしん坊的 外食産業との付き合い方。その11
バフェの料理は残してもいいの?

ところでバフェ、あるいはオーダーバイキングのお店で、
とったお料理を残してもいいのかどうか?

悩ましい問題です。
特にバイキングの店では、
一旦並べてしまった料理は、お客様がとろうがとるまいが、
ある一定の時間が経つと廃棄される運命。
どんな料理も時間がたつとおいしくなくなる‥‥、
だから廃棄です。

どうせ捨てられるものなんだから、
とった料理を残してしまってもいいんじゃないの?
だって、バフェのカウンターの上から廃棄されるのか、
お客様のお皿の上から廃棄されるのかの
違いだけなんだもん‥‥、
と思えてしまう。

確かに理屈は通ってる。
通っているけど、お店の都合を
ちょっとだけ考えてみようと思います。


食べ放題のレストランで、
どのくらいの「ロス」を覚悟しているのか‥‥、
ということからまず考えましょう。
ちなみに「食材のロスを減らす」という努力は、
誰にも迷惑をかけない努力。
利益を出そうと思うがあまり、人件費を削ろうとすると
働いている人を忙しくさせたり、
給料を減らしたりという迷惑をうむ。
食材の量を減らしたり、
質を落としたりするとお客様の迷惑になる。
あるいは仕入業者に無理を言って、
食材の仕入値を値切るような努力は
迷惑をお店の外に撒き散らす結果にもなる。
だからどれもしない方がいい努力。
でも「ロス」を減らすことは誰にも迷惑がかからない。

仕入れ量を適正にする。
保管をしっかりすることで鮮度が持続するようにする。
仕込みの段階でなるべく食材を捨てたり、
無駄にしないようにする。
作りすぎない。
作り間違えない。
そのためには時計と睨めっこしたり、
一回一回食材の量をはかったり、
注文をとるサービススタッフも
取り間違いをしないようにし、
厨房に伝える時も聞き間違いのないようにと、
必死の努力の結果が
レストランで提供される料理なんですね。

そう思ったら、食べ放題のお店でなくても
料理を残すということに罪悪感を覚えてしまう。

ただ普通の店であれば、
食べ残したコストはお客様が負担するもの。
けれど食べ放題の店で残したもののコストは
お店が負担してしまう。

残されるコストも含めて、
価格設定をしてるんでしょう‥‥、
と、また反論したくなる。


一般的にバフェレストランは
食材の2割前後を廃棄する‥‥、
と言われています。
原価にして5%から8%。
かなりの量です。
それを少しでも減らしましょう‥‥、
と料理を並べたあともいろんな工夫をします。
大きな器にたっぷりでなく、小さな器に盛り付けて
頻繁に料理を補充する店がある。
料理の鮮度も保たれいつもおいしい状態で食べられる上、
取り残されぬ工夫で最近、増えている。
けれどどこかみみっちいです。
見た目のご馳走感が損なわれる上、
忙しいと補充が十分追いつかず
食べたいものを食べ損なったりすることがある。
そこで忙しいときは大きな器に、
暇になったら器のサイズを小さくし、
閉店間際には全部の料理が
バフェテーブルの真ん中に
数人前づつ小さな器に入って置かれる。
テーブルが寂しくならないようにと
花や野菜を周りに飾ってにぎやかにする‥‥、
なんて工夫のお店もある。
それらが健気で愛らしくって、
「君たち、いい仕事、してるね」なんて
思わず声をかけたりする。

それにバイキングレストランの厨房では
バフェテーブルの上の料理の減り方に応じて料理を作る。
残せばいいから‥‥、と思って
何気なくとってしまったことが引き金となって
レストランのコストを上げてしまうこともある。

なるべく残さず食べましょう。
残すときはお皿にとった料理の1割前後でとどめましょう。
何事もお互い様です。
また来週。

2018-09-20-THU