突然、デスクのモニターの向こうから、 なにやら銀色に光る、でっかい丸いものが 何度も飛び出したり、引っ込んだり。
「なに、なに? マジック?」
となりの席の ちゃんと、 不思議に思って身を乗り出して、 向こう側をのぞいたら、 ちょうど、われらの向かいの席の、 ジェニー が、 撮影に使う「レフ版」をたためずに、 ひとりで格闘しているところでした。
見かねた、隣の島の 教官、 何度たたもうとしても、 バーン! と元に戻ってしまう へっぴり腰、ジェニーのために、 レフ版のたたみ方を、即席講習。
「こう、ぐるっ、とねじるんだよ。 いや、からだをねじるんじゃなくて、 いや、からだはそのまま。 手がからまっちゃってるよ。 そうそう、そんな感じ。ありゃ?」
このレフ版、もうすぐ新しくする、 「社員名簿」用の乗組員の写真を、 年に一度、弊社 に 撮ってもらう「恒例行事」のために、 用意していたとのこと。
まわりのエールにはげまされながら、 格闘を続けるジェニー。
(←ホントは真剣な表情!) 「ウ・ム・ム・ム、うーん、むぎゅううぅ、 クゥーーッ、ぐぇえええ、んーーーんっ」
パサッ(たためた音)
「や、やったあ!」
入園の日に、はじめて自分で、 ボタンをとめられるようになった 園児を見ているような、 そんな、春の午後でした。
たいへんよくできたました。 (はなまるマーク) |