2017-03-29-

昨年(2015年)、はじめて販売したちいさな田んぼキットには
はじめに思っていたよりも
ずいぶん多くの方が参加してくださいました。

ほとんどの方は(あたりまえだと思いますが)
ご自宅の庭やベランダで
自分のお米を育てたことはなかったと思います。

うちは陽当たりがあまりよくないから、
日中、家を空けてしまうので、
スズメさんに見つからないように‥‥などなど、
みなさん、それぞれの環境で、
それぞれに創意を発揮し、工夫を凝らしながら
そのこと自体を楽しんで
お米を育ててくださったみたいです。

今日は、昨年の参加者のなかでも
よくメールを下さっていた東京の天下井さんに
はじめて稲を育ててみて、
楽しかったこと、難しかったことなどなどを
うかがってきたので、ご紹介します。


デザイナーをされている天下井さんのお住まいは、
東京のど真ん中に立つ、マンションの一室。

何でしょう、ビンテージ風って言うのでしょうか、
築年数があって、
そのぶん調度やつくりも重厚で、お洒落な雰囲気。

稲の栽培場所は、広く取られたベランダです。
ベランダなのに、
大きなビワや梅の木も植えられているなど、
ちょっとおもしろい、めずらしいつくりです。


「もともとは、ここで、
 バジルやミント、ルッコラなどのハーブ類や
 トマトやオクラ、シシトウなどの野菜を育てて
 楽しんでいたんです。
 これなんかは、2年目のマンゴーなんですよ」

え、マンゴー?


「はい。食べ終えたマンゴーの種を植えたら
 ここまで大きくなりました」 

へえ、マンゴーってこんな姿なんですか。
おもしろーい。

「そんなふうに
 植物の栽培を楽しんでいたところに、
 ちいさな田んぼキットのことを、知ったんです。
 あ、お米って育てたことないし、
 みんなで収穫祭ができたら楽しそうだなあって、
 そういう軽気持ちで、やってみました」

(以下、栽培中の写真は、
 昨年、天下井さんが育てていた稲のようす)


栽培してみて、どうでしたか?

「大きな感想としては、
 育てること自体は、大変じゃなかったです。
 種まきや田植えの時期が決まっていたり、
 水やりが欠かせなかったり、
 そういう、タイミング的なことはありますけど、
 逆に言えば、
 栽培スケジュールをだいたい守って、
 水を切らさなかったら、お米は収穫できたので。
 わたしみたいな稲のしろうとでも
 楽しんで育てられて、収穫までできたんです」

そのなかで、難しかったことって、ありますか?

「たとえば、とつぜん葉っぱが折れちゃったり、
 ちいさい虫がついていたり、
 栽培マニュアルには書いていないような
 ささいなできごとが起きたとき。
 どうしたらいいのか、
 ひとつひとつネット検索して対処したのですが
 それが、まあ、大変といえば大変。
 でも、その手探り感が
 おもしろかった理由でもあるとは思います」


ちなみにここ、陽当たりは、どうですか?

「日の出から午前中にかけては
 陽当たりはいいんですが、
 午後からは、じょじょに日陰になってきます」
 
それでも、収穫はできたということですね。
「かならずしも一日中、
 陽当たりがよくなくとも大丈夫」っていうのは
ぼくたちの実感とも同じです。


いわゆる「真夏の水やり問題」は、どうでしたか?
おうちを空けることって、ありましたか?

「去年は、真夏に3日ほど留守にしたのですが
 栽培ケースに
 なみなみ水を張って出かけたら大丈夫でした。
 ペットボトルに水を入れて
 ケースに刺していこうかとも思ったのですが、
 午後は日陰になるし、大丈夫だろうって」

あ、本当ですか!

おっしゃるように、この場所は
一日中、カンカン照りになったりしないので
平気だったのかもしれませんね。

ぼくらの経験だと、なんのカバーもない場所で
3〜4日ほど「猛暑」の日が続くと、
枯れてダメになっちゃう稲も、ありましたので。


それでは最後に、
あらためて、はじめてお米を育ててみた感想を、
教えていただけますか。

「すごく単純な感想ですけど、楽しかったです。
 自分のお米を育てるって、
 ちょっと『イベントっぽい』というか、
 気の合う仲間とワイワイしながら
 種まきや田植えをできるのが、いいですね。
 今年は映画『100年ごはん』を撮った
 映画監督の大林千茱萸さんもいっしょに
 種まきをしました。
 お家を空けることも多い大林監督の田んぼも、
 わたしが代わりに、ここで、
 お世話をさせていただくことになっています」


わあ、それは、ありがとうございます!

「あと、細かいことで言うと、
 お米の花を見られたのが、うれしかったです。
 それに、田んぼっていう存在が、よかった。
 自分のうちのベランダに
 水のヒタヒタしたちいさな田んぼがあるって
 風景として和むというか、いいんです」

穫れたお米のお味は‥‥いかがでした?

「お茶碗いっぱいぶんくらいは、穫れました。
 で、肝心のお味ですが‥‥
 いや、これは
 我が子かわいさなのかもしれませんが(笑)、
 予想以上に、美味しかったんです!
 育てたみんなで集まって
 全員のぶんをまとめて脱穀して、
 いっしょに炊いて食べたんです。
 そのこと自体が楽しくて、
 美味しさを何割増しかにしてると思います。
 みなさんも、
 友だちと収穫祭をやるの、オススメですよ」


天下井さん、ありがとうございました!