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勉強サイド

勉強の夏、ゲームの夏。2017

shinya.hirano

コピーライターには、
なれると思った。

2017/08/25 21:00
大学に入ってから働きたいと
思っていたとおっしゃっていましたが、
最初からコピーライターになりたかったんですか。

「コピーライターになるって決めたのは
大学3年生のとき。
ものをつくることには意識があったけれど、
完全に決めきれないことがあって。
僕は大学1年の頃に、
橋本治さんと出会ったんです。
漫画の評論誌に押しかけていって、
お金をもらえるわけじゃないけれど
働かせてもらったりして。
そういう、僕みたいな人間が
集まっている雑誌だったんですよね。」

大学時代にいい人と出会って、
自分のやりたいことに
近いお仕事をされていたんですね。

「大学2年の終わりか3年のはじめに、
その漫画評論誌で知り合った女の子から、
『広告批評』の糸井さんの特集号を薦められて、
『ああ、これはすごいや!』と思ったんです。
その衝撃を経て大学3年生の時に、
『ああ、俺はコピーライターになれる』
という確信を持つようになったんです。
僕はすごく現実的な人間で、
この仕事は『できる!』と思っちゃったんですよね。
糸井さんや仲畑貴志さんにはなれないけれど、
その次のクラスにいる人にはなれると思っていて。
王や長嶋にはなれないけれど、
オールスターに出られるような選手には
なれるんじゃないかって(笑)。
だから、博報堂に入った頃なんて、
ずいぶん生意気なヤツが入ってきたと思われて。」

自信があるのに、すこし謙虚なところが
ちょっとおもしろいですね(笑)
shinya.hirano

そして、東京大学へ。

2017/08/25 20:56
成績に上下のあった中学を経て、
高校に進学もされました。

「甲陽は中高一貫校だったから、
高校も同じだったんだけれど、
高校3年間を総合して見ると、
自分が学年1位だったんじゃないかなあ。
つねに1位にいるわけじゃないけれど、
3位以内には必ずいる、みたいな。
毎日コツコツとやるタイプじゃなくて、
定期テストの2週間前を
ある意味で『我慢の期間』みたいにとらえて。」

その期間に集中してやる、
と決めていたんですね。

「どうしたら点が取れるか狙いを定めて、
最初に計画を立てておくんです。
普段の勉強は置いていかれない程度にやって、
ラジオを聴いたりミステリー小説を読んだり、
テレビも観ていたりしたんだけれど、
その2週間だけは、我慢すると決めていました。
つまり、定期テストの期間は、
家から帰ってきて、お風呂とか寝る時間以外は
とにかく勉強を『やる』と決めたんです。
僕にはサボっていた中1の経験があるから、
前日だけ勉強してもいい点が
取れないのはわかっていましたから。
我慢の期間にやることを予め決めていて、
そこに向けて覚えておくことは、
普段の勉強で覚えておくようにする。
そんなスケジューリングが得意だったんです。
今では仕事と遊びがいっしょになってるけど、
高校までのほうが、ONとOFFが
明らかに分かれていた人間だったかもしれません。」

自分だけの勉強のやりかたを身に着けて、
その後、東京大学に入られたんですね。

「僕はほんとうの意味で、
勉強が好きだったわけじゃなかったから、
大学で東大に入ってからは、
早く仕事がしたくって、
勉強はほとんどしなくなっちゃいました。
試験に向けての要領のつかみ方は
自分でもわかっていたから、
単位は必要最低限だけとって、
良くもなく悪くもなく、という成績。
ちょっと言い方は悪いけれど、
事務的にこなしてしまったような気がします。」
shinya.hirano

上がり下がりの激しい
中高時代

2017/08/25 20:52
そして、甲陽学院中学校に進学するんですよね。

「甲陽に入った時のテストの成績も
良かったらしいんだけど、
中学で1位にならなくてもいいやって
思っちゃったんですよね。
中1で勉強はだいぶサボって、
ラジオの深夜放送にハマってました。
親が寝てからラジオを聴いて、
MBSヤングタウン『ヤンタン』とかね。
それこそ、当時は出てきたばっかりの
笑福亭鶴瓶とか、もう面白くて。
だからテストの成績も、ガクンと下がった。
100点満点のテストで20点とかね、
人生でいちばん勉強ができなかった。」

いきなり、ガクンと下がってしまったんですね。
お話しを伺っていると、
ずっと要領よく点数を
取られてきたのかなと思っていました。
成績が下がったことで、
なにか変化はありましたか。

「だから親からも心配されたし、
入学テストの成績が良かっただけに、
学校の先生も心配してくるんですよ。
『谷山くんの実力はそんなもんじゃない』
みたいなことを言われたりして。
さすがにこれはマズイなと思ってました。
そうしたら、中学2年の時に、
親からのニンジン作戦につられて‥‥。」

谷山少年には、
どんなニンジンが効果的だったんですか。

「ステレオコンポがもらえたんです。
絶対にご褒美をもらうぞって、
一所懸命に勉強したら学年1位になっちゃった。
それまで学年の中でもパッとしない成績だった男が、
いきなり学年1位になったわけだから、
それはもう、思いっきり注目されたわけで。
僕にとってはそれがもう嬉しくって、
その嬉しさを失いたくないというか、
ずっと続けたいと思ったんだろうね。」

ああ、思春期の頃でしょうし、
チヤホヤされるのって嬉しいですよね。
shinya.hirano

勉強しなくてもできた
小学校時代

2017/08/25 20:48
それでは谷山さん、よろしくお願いします。

「はい、よろしくお願いします。」

プロフィールの上では、
「東京大学卒」という経歴を知ってはいましたが、
こどもの頃から、勉強ができる子だったのでしょうか。

「これは自慢するわけじゃあないんだけど、
小学校の頃は、そんなに勉強しないでも
テストはできちゃったんですよね。
僕が小学校3年生ぐらいの頃、
当時は公害が問題になっていた時代でした。
僕はわりと早熟な子どもだったから、
誰かに言われるでもなく、
勝手に調べてノートにまとめていました。
取り立ててテスト勉強に力を入れるわけでもなく、
全学年で1位を取るような小学生。」

ひええっ、レベルの高い小学生ですね。

「その頃、進学校に行くなら
3、4年生ぐらいから
名門と言われるような塾に通うものだったけど、
うちの場合は、父親があまり行かせなくて、
小学校6年生になって、
はじめて塾に通ったんですよね。

塾からも『今さらかよ』みたいな目で見られて、
とりあえず入塾テストを受けたら、
その塾に通う全体の5位とかで、
いきなり見る目が変わった気がしました。
塾に入った小6の時は、
まあ、けっこう勉強したかな。」
shinya.hirano

6人目の講師は、
谷山雅計さん!

2017/08/25 20:45
6人目、本日最後の先生としてお迎えしたのは
コピーライター、
クリエイティブディレクターの
谷山雅計さんです。

1961年生まれで、なんと今日が誕生日!
新潮文庫の「Yonda?」や、
東京ガスの「ガス・パッ・チョ!」、
資生堂 TSUBAKI「日本の女性は、美しい。」、
東洋水産「マルちゃん正麺」など、
いくつもの広告コピーを手がけているので、
どこかで、谷山さんのコピーを
見たことがあるかたが多いのではないでしょうか。

そんな谷山さんは、大阪府のご出身。
甲陽学院中学校・高校を経て、
東京大学教養学部を卒業されています。

ぼくにとってはコピー講座の恩師でもあって、
著書やトークショーでも、
あまり学生時代のことをお話されている
イメージがあまりありませんでした。
今日はいい機会なので、
谷山さんに、勉強や宿題のコツや、
「頭がいい」とはどんなことか、
いろいろとお話をうかがいたいと思います。
nagata

ありがとうございました!

2017/08/25 20:40
数々の名回答、
そして、書き下ろしの読書感想文!

古賀史健さん、
ほんとうにどうも
ありがとうございました!

静岡おでんを召し上がってください。
どうもありがとうございました。
nagata

古賀さんが感想文を!

2017/08/25 20:36
なんと、古賀さんが、
実際に読書感想文を
書いてきてくださいました!

しかも、ちゃんと
青少年読書感想文全国コンクールの
課題図書で!

本のタイトルは
ホイッパーウィル川の伝説
中学生部門の課題図書です。

「まず、この本、
 めちゃくちゃおもしろかったです。
 読んでよかったです」

ああ、もう、その姿勢がすばらしい。
さすが古賀さん。
久々に読書感想文を書いてみて、
いかがでしたか?

「やっぱり、いま、書評を書いているので、
 読書感想文というよりは、
 書評に寄ってしまうので、
 ちょっと苦労しましたね。

 書評はその本を薦めるために
 書くという意義もあるので、
 過度に内容を書くことなく、
 よいイントロになるように書いてしまう。
 そのあたりが読書感想文と違います。

 また、書評て、自分の独自の意見よりは
 『この本はこうである』という
 ある種の断定を求められているんですね。
 好きか嫌いかさえ、関係なかったりする。
 一方、読書感想文で大切なのは
 『自分はこう思う』という主観。

 この読書感想文のテーマをぼくは
 『大人になることの意味』にしました。
 作品がことばとして明示してないテーマを
 自分なりに読み取って広げていくのが
 読書感想文だと思います。
 参考になるかわかりませんが、
 けっこう真面目に書いてみました(笑)」

 どうもありがとうございます!
 古賀さんの書き下ろし(!)読書感想文は
 以下をクリックすると読むことができます。

 古賀さんの読書感想文、
 「大人になることの意味」。
nagata

能動的に読むには?

2017/08/25 20:06
その後も、本を読むことについて、
古賀さんはおもしろい話を
聞かせてくださいました。

「本をただ受け身で読むんじゃなくて、
 自分の視線を入れながら
 能動的に読むと、読み取れることが
 ずいぶん違ってきます。

 能動的に読むためには、
 たとえば、こういうやり方があります。

 それは、
 『この作者に会ったら何を聞こう?』
 と思いながら本を読むことです。

 『坊ちゃん』を読みながら、
 『夏目漱石に会ったら何を聞こう?』
 と考える。あるいは、
 『鳥山明先生に会ったら
 どんな質問をしよう?』と考えながら
 『ドラゴンボール』を読む。
 これだけでずいぶん読書が
 能動的な体験になります。

 受動的な読書はいってみれば
 ジェットコースターの観客です。
 能動的な読書は、自転車の運転手。
 読書が変われば、感想も変わってきます」
nagata

話しても要領をえない子で‥‥。

2017/08/25 19:58

こんにちは!
小学五年生の息子の
文章力について相談です。
息子の話は、要領を得ないと言うか…
聞いていても何だったのか、
どうだったのかと言う事が
よく分かりません。
まずいきなり、自分が思った事を言うので、
何の話か分からない事が多いです。
作文を書いても、何を言いたいのか
分からないことが多いです。
あと字も汚くて、ものすごく読みづらいです。
書道にも通っていますが、
本人に綺麗に書こうと言う気持ちがないのです。
伝える力ってどうやったら伸びますか?

(ゆでこ)

おおお、わかる、とてもよくわかります。
ずばり、うちの子かと思いました。
古賀さん、いかがでしょう?

「これも、若いライターの人たちに
 講座で言うことなんですが、
 たとえば、駅から自分の家までの道を
 ことばでしゃべってもらいます。

 そうすると、本人には、当然なのに、
 聞いてる人にはわからない、
 ということの差に気づけたりします。

 たとえば、
 『駅から出たら銀行があるので‥‥』
 その駅は、どの出口から出たの?
 銀行は、何銀行なの? って、
 聞いてるほうはすぐに指摘できるんです。

 単に『あんたの言ってることはわからん』
 と返すのではなく、どこがわからないのか、
 きちんと言ってあげないと
 相手も気づけないんですよね。

 あと、ぼくは子どものころ、
 決して字はきれいではなかったですが、
 読書感想文などを書くときは、
 必ず辞書を横に置いて、
 漢字がつかえるところは
 できるだけ漢字で書くようにしてました。

 読むほうが感じるのって、
 『文字がきれいかどうか』よりも、
 書き手の取り組み方が丁寧かどうか
 というようなところなんですよね。

 たとえくせのある文字でも、
 漢字をつかって丁寧に書いてたら、
 その態度や姿勢はきちんと
 伝わるんじゃないかと思います」 
 
nagata

感想をきちんと書くには?

2017/08/25 18:27
それでは、読者の方からの
質問に応えていただきたいと思います。
古賀さんに選んでいただきました。
こちらの質問です。


感想文の相談です。
小5の女の子。
テレビドラマ化された小説で書くことにしました。
主人公がこうでああで‥‥と
内容を要約しては『すごいと思った。』
また違うシーンを要約しては
『面白いなと思った。』
と感想部分が少なすぎるできばえ。
どうすごいの? 自分だったらどうなると思う?
どのへんが面白いと思ったの?
それは笑える面白さ?
興味が出たっていう面白さ?
とこちらが掘り下げようとしても、
『うーーん、わかんない』
気楽に内容について
おしゃべりしているといろいろ出てくるのに、
いざそれを文にとなると書けなくなるみたいです。
文章を書くうえで、
普段からできることを教えてください。

(りえかえる)


あああ、よくありますね、こういう感想文。
というか、ふつう、こうなっちゃう。
古賀先生、どうすればいいんでしょうか?

「大人のライターの人でも
 こういうことってよくあります。
 ライター講座などで、
 ぼくはこんなふうに言ってます。

 感動でも、興奮でも、怒りでも、悲しみでも、
 こころが動いたら、感情をそのままにせず、
 『自分のこころ』を見つめる時間をつくる。
 よくないのは、すぐにそれを
 安易なことばに置き換えることです」

自分のこころを見つめる、というのは、
具体的にはどういうふうにすればいいのでしょう。

「本を読んで、こころが動いたら、
 その『感じ』が、
 自分が過去に経験した
 なにに似てるか考えてみましょう。

 自分が過去に見たり聞いたり
 感じたりしたことをしっかりと見つめ、
 いま感じたこころの動きが、
 それの何かと似ていないか、必死に考える。

 たとえばそれは、
 『予防接種を打つ前の
 列に並んでるときのドキドキ』に似てないか?
 『夕方の空が赤らみ、
 少しずつ暗くなっていくときのさみしさ』
 に似てないか?
 『ベッドに入ったのに、
 ちっとも眠れないときの怖さ』に似てないか?
 それをじっくりと考えます。

 そして、もしも似たものが見つかったら、
 本を読んだときのこころの動きと、
 過去の自分の体験に共通するものに、
 『名前をつけられないだろうか?』
 というふうに考えてみます。

 共通する『この感じ』に名前がつけられたら、
 それが、自分なりに感じた作品のテーマです」

‥‥古賀先生、いや、古賀さん、すごい。
それは、すごい考え方です。
しかも、それ、自分でできる。

「はい、できると思うんです。
 で、自分なりに読み取ったテーマが発見できたら、
 もう一度、本をぱらぱらめくります。
 じっくり読むというよりは、
 印象深く感じたところを、ぱらぱら読み返す。
 そうすると、テーマがさらに肉付けされていきます。
 あとは、それを、丁寧に書いていくだけです」

はーーー、古賀さん、すごいです。
さすがだ、古賀さん。

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