2013/08/22 15:02
偏差値って、なんですか?

5回、あきらめないで挑戦した、
その原動力は何だったんでしょう?

「‥‥のんびりしてたんですけど、
 そうですね‥‥
 落ちたときに頭のなかで
 来年に向けての計画をしてたんです。
 半年バイトして半年予備校、とか」

自然と、そう思っていたんですね。
はあー。
‥‥バイトもしてた。

「はい。バイトしながら
 予備校に通いました。
 一浪のときは半年予備校に。
 二浪のときだけ
 一年間、予備校に通わせてもらいました。
 3浪のときは、半年がバイト。
 4浪のときはもう、
 10ヶ月バイトしてました」

予備校は、実技の予備校でしょうから、
センター試験用の勉強はそんなに‥‥。

「そんなにしません。
 1月くらいからやる程度です。
 センター試験はお散歩みたいな感じでした。
 実技の息抜きのような」

お散歩‥‥。
偏差値はどのくらいあったんですか?
 
「偏差値?
 偏差値って気にしたことない‥‥
 ぜんぜんわかんない、
 偏差値ってなんですか?
 どうやって出るんですか?
 模擬?
 模擬試験は1回しか
 受けたことないので思い出せないです」

‥‥すごいですね。
かなり、実技重視なんですね。
ある意味、東京藝大を目指す人には
希望が持てるお話だと思います。

「そうですね(笑)。
 センター試験もできたほうがいいんですけど
 それがすべてではないので」


2013/08/22 15:08
お母さんに感謝。

ちょっと立ち入った質問を。
予備校に通うにも、
お金がかかるじゃないですか。
親御さんからのプレッシャーは‥‥?

「プレッシャーはなかったです。
 うちは両親が離婚してるんですが
 お母さんはのんびりした人なんです。
 あと、すでに家庭が破綻してたから
 いろいろと自由に
 やらせてくれてたのかもしれません」

おかあさんと、仲はいいんですか?

「はい。
 でも、ほっとかれる感じです」

そうですか。
よかったですね、4浪させてもらって。
予備校に通わせてもらえて。

「それは、はい。感謝しています。
 その予備校で出会った後輩と結婚しましたし」

あー、そうか、そうなんだ!
それは、すばらしい。
「4浪」と「予備校」と「お母さん」に
感謝ですね!


2013/08/22 15:09
質問1
「やる気が出ない」

では、このあたりで
読者からの質問に
できる範囲で答えていただきましょう。

まずはこちらの質問です。

───────────────────
こんにちは、高校3年の受験生です。
私は、周りの受験生と違って
「がむしゃらに勉強する」
というのができません。

このままじゃ全然合格できない
というのはわかっているのに、
不安と焦りだけがつのって、
勉強という行動に移せません。
「いつやるか?今でしょ!」
の言葉が何度も脳内再生されています。
なのに、勉強しなきゃ!
って思っても
机になかなか向かえないのです。

そんな自分にスイッチを入れる方法を
考えていただけないでしょうか?
(真夏のペンギン)
───────────────────

「‥‥‥‥‥やればいいと思います」

‥‥いや、そのための方法を。
ご自分はどうでした?
やる気がでないこと、ありました?

「ありました。
 家で絵を練習をしなくちゃ
 と思ってても、やれなかった」

焦りはなかったですか。

「多少はありましたけど‥‥
 ほんとに焦ってたら、
 やっぱりやると思うんです。
 わたしは、のんびりしてたんです。
 だからこのひとも、
 ほんとには焦ってないのかもしれない。

 ‥‥具体的にやることを決めて、
 やってみるのはどうでしょうか。
 この教科書のここをやる、とか」

ああ、なるほど。
漠然と「勉強しなきゃ」
と思っているだけだと
「勉強」という大きなものを
動かし始めることは難しいですよね。
すこしでいいから具体的に決めて始める。

「そう思います」


2013/08/22 15:26
質問2
「目的がわからない」

質問をつづけます。

────────────────────
大学院入試を来週に
控えているのですが質問です。

生物系の大学院に進学を
考えているのですが、
そもそも私が生物を学びたかったのは
生物がなぜ生きているのかを
知りたかったからです。
そして大学で生物を学び
大学院入試の勉強をする中で
なぜ生物が生きているかを
大雑把に知ることが出来ました。

そして今困っているのです。
私の当初の目的が達成されて
私のやりたいことはなんなのかと。
大学で研究をする中で
自分の本当にやりたいことが
研究なのかと自問することが多いです。

近い将来、職に就く時に
自分のやりたいことが何なのか。
難関大学といわれる大学に通っていますが、
そこに入ったからには
一流企業で研究職に就くことが
自分の人生にとって幸せであるのか。
大学院入試を通して考えていますが
今の私には答えが見つかりません。
なにか助言を頂ければ幸いです。
(apple)
───────────────────────────

「‥‥面白い人ですね」

はい。

「わたしも就職ができなくて
 大学院に行こうと思ったんですけど
 なぜ行くのか、レポートが書けなくって、
 よくわかんなくなって書けなくって、
 大学院はやめました」

このかたは「勉強の目的がわからない」
というのが悩みとしてあるようです。

「それは、なりますよね。
 だって、
 なぜ生物が生きているかを
 大雑把に知ることができたって、
 すごいことです。
 わたしには未知の世界。
 ハイレベルすぎます」

このかたは、
大学院に行ったほうがいいと思います?

「こんなに面白い人なら
 どっちでも面白くなるんじゃないでしょうか」

大学院にこだわらず、
一流じゃない企業に進んでも。

「いや、一流は、
 面白いことが多いんじゃないかと思います」

‥‥ああーーー。
なるほど。
ありがとうございます。
次の質問にいきましょう。


2013/08/22 15:31
質問3
「インパクトある勉強法を」

質問です。

────────────────────
勉強をやるのはいいけれど、
マーキングをするにも
ノートをまとめるにも、
なんだかインパクトがなくてはかどらないし、
記憶に残らない意味のない
勉強になってしまいます。
スキマ時間にやったり、
用語しりとりをするというのも
考えましたがイマイチピンときません。
何か思い切りインパクトのある、
ほぼ日らしい勉強法はありますか?
(とある国のとある学校の
 生徒会が大好きなとある生徒)
─────────────────────

「‥‥絵を描くとか」

絵、ですか。

「わたしは、
 絵を描いて、その横に単語を書いて、
 それごと覚えたら覚えられました。
 たとえば、
 alleyって「小道」っていう
 意味なんですけど、
 なんかこう描いて(描く)‥‥
 覚えました。
 でもこれは、わたしの場合です」

なるほど。
このかたも、自分にとって
興味を引きそうなものに添えて
何かを覚えるといいのかもしれませんね。
ありがとうございました。

質問、つづけます。


2013/08/22 15:31
質問4
「子どもが宿題をしない」

ちひろ先生に、
こちらが最後の質問です。

────────────────────
こんにちは、勉強の質問、させてください。
うちの次男、高校2年、のことです。
宿題というものを一切やりません。
それはもう長い話で、
小学校1年ではじめて宿題が出た時からです。
親として、励まし、手伝い、
説教をし、脅し、あの手この手で、
いろんな面からアプローチして
頑張ってきました。
ですが、結局、奴は全く動じず、
動かざるもの山のごとし、なのです。
成績は中の中という位置で、
本人に危機感が皆無、
先生方と相談しても、
まあいいんじゃないですかと、
反応は鈍いです。
私は成績うんぬんではなく、
約束したことを守る、という意味で、
きちんとやって欲しいのです。
残りわずかな夏休み、
何か打つ手はありませんでしょうか?
(つる)
───────────────────

「すごいアウトサイダー(笑)。
 すごい信念のようなものを感じます。
 納得がいかないんじゃないでしょうか。
 夏休みだから、休む。
 他人よりも自分と向き合っているような
 そういう高校生なんじゃないでしょうか。
 まあいいじゃないかとわたしも思います」

はい。
ですが、後半がポイントで、
お母さんとしては「約束を守ってほしい」と。
ちひろ先生も親になったときに
これは思うかもしれませんよね。

「まだ親になってないので
 なんとも言えないんですが‥‥。
 これがいい方に向かえばいいと思います。
 この信念の強さは
 ガマン強さとも言えます。
 疑問をもたず、なんでもこなす人よりも
 面白い気がします」

なるほど‥‥。
このかた、いいお母さんですね。

「はい」

ちーちゃんのお母さんも
こんなふうに見てたのかもしれません。

「(笑)」

お母さんから勉強で叱られたことは?

「あんまりないです。
 ‥‥やっぱり、そうですね。
 本人がきちんとしてたら、
 そっとしておけば
 いいんじゃないでしょうか。
 わたしはそう思います」


2013/08/22 15:42
ちひろ先生、
ありがとうございました!

というわけで、ちひろ先生、
ありがとうございました。
質問は以上です。

「ありがとうございました」

ええと‥‥
つまり総じて言うと、
ちひろ先生は勉強については‥‥

「あんま興味ないです」

はい(笑)。
でも、5回受験を繰り返した
しつこさも、あるんですよね。

「勉強って一生するものですよね。
 だからやっぱり、
 好きなものを知ることが、
 勉強なんだと思います」

ちひろ先生は早くから、
好きなものを見つけられてよかったですね。

「はい。
 そう思います。
 ですから見つかってない人の場合
 どうしたらいいのかは、
 わたしにはわからないです」

ありがとうございます。
厳しくもありますが、真実だと思います。
ほんじつはありがとうございました。

「こんな話で大丈夫でしたか」

たいへん、大丈夫でした。
これからも、
モノマネとかするかもしれませんが
よろしくお願いします。

以上、加納ちひろ先生でしたーーーーー。


2013/08/22 15:54
続きましては、ハリ先生。

さてお次は、ほぼ日の服関係全般を
担当するにご登場いただきます。

ぼくは以前から、このハリさん、
いや「ハリ先生」をとても尊敬しています。

その理由は「ハリ先生が理系だから」です。
しかも
「大阪大学工学部」という難関大学の出身。

私事で恐縮ですが、わたくし、
高校時代、理系のクラスを選んだのに
物理と数学ができず、
けっきょく大学は文系に行ったという
「理系くずれ」なこともあって
物理や数学や
ドップラー効果やサインやコサインを
理解できる人に
無条件のリスペクトを抱いてしまうのです。

そんなわけで、さっそく
インタビューを進めてまいりましょう。

テーマはもちろん「理系」であります。


2013/08/22 15:57
ハリ先生の高校時代。

それではさっそく、
お話をうかがっていきましょう。

ぼくは高校時代に
物理と数学に挫折したので聞きたいのですが 
ハリ先生は、
つまり、あのなんだかわけわからん教科が
お得意だったということですね。

「いや、はじめ、数学は駄目でした。
 あんまり駄目なので
 近所に頭のいいお兄ちゃんがいるので
 見てもらえと、親に言われて。
 そのかたは、京都大学医学部にかよう、
 コバタさんというかたで」

ははあ。
そのかたに教わって、できるように?

「そうですね、
 教えかたもわかりやすかったんですが
 なんといっても、カッコ良かった」

‥‥カッコ良い?

「まず、コバタさんはいつも、
 ものすご〜く先の尖ったエンピツを
 5〜6本、持っているんです。
 ナイフで削っていたのだと思うんですが
 『円錐』の部分が、
 ふつうのエンピツの2倍くらいあって。
 で、そのエンピツで
 難しい数式を解いていくんですが‥‥
 証明終わりのマーク、あるでしょう?」

へ? なんですかそれ。

「あるんですよ。
 黒い四角(■)のマークなんですけど
 証明が終わったときに、
 その四角を
 その尖ったエンピツでチョチョッと書く。
 その仕草が、ものすごくカッコ良かった」

ははあ。

「そうですね、あれは、
 一種の『スタイル』に憧れたと言っても
 いいかもしれない‥‥。
 ぼくも、あんな尖ったエンピツで
 難しい証明問題を解きたいと思ったんです」

‥‥数式の解きっぷりに魅せられた。

「もちろん、証明問題の解法そのものも
 すごくエレガントでした。
 あんなふうに数学を解ける人になりたい。
 そう思って、がんばったんです」


2013/08/22 16:01
じゃあ物理は?

ハリ先生は
「近所のカッコイイお兄さん」に憧れて
数学ができるようになったと。

それじゃあ、物理は?

「そもそもは‥‥中学のときに」

それ、まだ、物理やってない時代ですよね。

「ブルーバックスという
 科学の入門書的なシリーズがありますが
 あのなかに
 都筑卓司さんという先生が書いた
 『はたして空間は曲がっているか』
 という本があります。
 で、その内容に衝撃を受けたんですよ」

はー‥‥どんな衝撃を?

「なにしろ、その本の結論が
 『曲がっている』だったんですよ!
 衝撃じゃないですか?
 だって、僕らの住んでるこの空間が
 『曲がっている』っていうんだから」

うん、たしかに。

「まだ中学生でしたから、
 むずかしい理論とかはわからなかったけど
 でも、そういうことがわかりたいと
 とても強く思いました。
 憧れたんですよ、わかる人たちに。
 そんなきっかけで
 物理のことが好きになっていきました。
 で、好きになってしまえば、
 あるていどは、わかる‥‥とういか
 わかるまで、やめないじゃないですか」

好きだから。

「そう」


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