脳を鍛える大人たち in 明るいビル

 
ニンテンドーDSのソフト
「東北大学未来科学技術
 共同研究センター
 川島隆太教授監修
 脳を鍛える大人の
 DSトレーニング」では
いまや「ロケット」と「飛行機」なみの成績を
残すまでになっているという
糸井重里に話を訊くシリーズです。
今回が最終回です。
そのハマりっぷり、とくとごらんくださいませ。




糸井 『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の
システムでよくできているのはグラフですよね。
── トレーニングや脳年齢の記録を
ジャンル別に、月ごとにチェックできたり、
個人データがふたつ以上あるときは比較できたり。
糸井 説得力がありますよね。
苦手なジャンルはずっと低迷しつつも
少しずつ上がっていったり、
得意なものはずっとハイレベルなままで
グラフが推移していきますよね。
得意なものはドンと落ちることはないし、
苦手なものはなかなか上に行かない。
── たしかに、成績がブレないっていうのが、
信頼感につながってますよね。
これが、日によって上がり下がりしすぎると、
「なんだ、運じゃん?」って
なっちゃうと思うんだけど。
糸井 そうそうそう。
ぼくは、「瞬間記憶」が低迷したままで
なかなか進歩していかないんだよ。
あれはむつかしいなぁ。
── あ、ぼくは「瞬間記憶」、得意ですよ。
やっているとき、いちばん気持ちいい。
糸井 得意だからでしょうね。
ぼくは、部屋に人が出たり入ったりするやつ
(「人数数え」)が得意科目かな。
── ああ、アレ、苦手なんですよ。
途中まではすごく簡単なのに、
速くなるととたんにできなくなる。
糸井 え、そうですか。
あれはぼく、ロケット級ですよ。
(※問題を終えると結果が点数だけでなく
 「徒歩」「自転車」「自動車」
 「新幹線」「飛行機」「ロケット」
 といった、速さの目安で表示される)
毎回ロケット級じゃないけど、
ロケット級の日と飛行機級の日が
交互って感じですよ。
── へええ。あれはどうですか、
日本文学の名作を音読するやつ(「名作音読」)。
糸井 あれはやっぱり波がありますね。
妙に文語体のものだったり、
当て字に近い、難読文字があったりすると
どうしても遅くなっちゃう。
あの、文字を数えるやつ(「文字数え」)はどう?
── あれ、かなり得意です。
なんせ前職が雑誌編集でしたから、
「文字数を合わせる」ということを
日常的にやってたので、
ふつうに数えられちゃうんですよ。
糸井 あ、そうですか。
なんか特別な数え方があるの?
「吾輩は猫である」なんてときは、
「『吾輩』で4文字!」とか数えるの?
── いや、ひと文字ずつです。
「吾輩は猫」だと、
「『1、2』『3、4』『5』『6、7』‥‥」
っていう感じで。
糸井 あ、ぼくも同じだ。
じゃあ、それを数えるのが速いんでしょうね。
ときには、「これ7!」って
ブロックで数えちゃうこともある?
── それはないですね。ちゃんと端からコツコツと。
糸井 ぼくはときどきまとめて数えちゃいますね。
パッとわかったときにうれしいんですよ。
「言語道断」なんていうことばが出ると、
「『言語道断』‥‥8文字!」って。
見た瞬間、わかっちゃうんですよね。
── ‥‥7文字ですけどね、「言語道断」は。
糸井 ‥‥んん? ああっ!
ほら、こういうふうに間違えるんだね!
── 「ほら」じゃないでしょ。
しっかりしてくださいよ。
ほんとに毎日やってるんですか。
糸井 ‥‥しかし、いまのは見事な間違いだったな。
── ええ。やらせみたいですよ。
糸井 で、さ、いまみたいに、
ひとつ失敗するとつっかえるんですよ。
── あぁ、つっかえますつっかえます。
計算問題でわかったんですけど、
どうやらぼくは「4×7」が苦手なんですよ。
問題に「4×7」が出ると、
必ず「27? 28?」みたいなことになって、
いままで順調だったのが
ガタガタになっちゃうんですよ。
糸井 1個つっかえるとそうなるよね。
きっと物事もそうだろうなと思うんだよね。
オートマチックにできちゃう部分と
必ずつっかえちゃう部分ってあるからね。
── なるほど。
糸井 あとはまあ、さすが任天堂というか、
細かいところがすごくよくできてますよね。
1日、やらない日があると、つぎの日に
「昨日はお見えになりませんでしたね」
なんて言うしね。
── ああ、言いますね(笑)。
糸井 ああいうところが、
ユーザー側の気持ちを
しっかり捉えているというか。
お客さん側の目を、
スタッフ全員が心に持っていると思うんですよ。
── 細かいところでぼくが感心したのは、
ペンで文字を書くときに、
「シャッ、シャッ」っていう
鉛筆で文字を書くような
効果音が出るようになってるんですよ。
糸井 あ、そうだっけ?
── すごく自然だからわかりづらいんですけど。
でも、あれが入るか入らないかで、
「書いてる」っていう感覚が
ぜんぜん違うと思うんです。
糸井 そうだねえ。
とにかく、タッチペンっていう
入力形態の簡単さには驚かされますね。
ニンテンドーDSって、
2画面だということに気を取られていて、
なんのための2画面か? っていうことを
意外にみんな感じてないのかもしれないけど、
いちばんは、入力のための2画面なんですよね。
ほんと、冗談じゃなくて、ニンテンドーDSに
「十字ボタンとA、Bボタンがついているか?」
ってことをクイズにしたら、
そんなのあったっけ?
みたいなことになるんじゃない?
── ニンテンドーDSの絵を描いてもらったら、
十字ボタンとA、Bボタンを描かない人続出かも。
実際、あるけどほとんど使わないですしね。
このソフトも、『nintendogs』も、
『エレクトロプランクトン』も。
糸井 だから、ゲームの経験がない人は、
ほんとうにすんなり入っていけると思いますよ。
── そう思います。少し乱暴な言い方をすると、
ぼくは『nintendogs』よりも
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』のほうが
入りやすいんじゃないかとさえ、思います。
あの、『nintendogs』って、
これまでのゲームの枠組みで
くくれないものではあるけれど、
そうはいっても「最新ゲーム」だと思うんですよ。
糸井 うんうん、そうですね。
── 一方、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』は
糸井さんのことばを借りると、
「ゲームをやっている感じもないし、
 ゲームをやっていない感じもない」
というもので。
糸井 そのくせ、背筋がシャンと伸びる、
ゲームのプリミティブなおもしろさもある。
だから、ニンテンドーDSとか、
『nintendogs』を見て、
「これならできるかもしれないなあ」
って思っている人は、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』は
簡単に入り込めると思いますね。
乱暴にいうと、『テトリス』ですよ、これ。
── なるほど。
糸井 最後にこのゲームのすごさを端的に表すと、
なんと、うちのかみさんもやってますからね。
── どうもありがとうございました(笑)。


(「脳を鍛える糸井重里」は今回で終わりです)



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2005-07-04-MON