脳を鍛える大人たち in 明るいビル

 

ひきつづきニンテンドーDSのソフト
「東北大学未来科学技術
 共同研究センター
 川島隆太教授監修
 脳を鍛える大人の
 DSトレーニング」
にハマっている糸井重里に、
話を聞いてゆくシリーズをお届けします。
ええっ?! 泣きながら、やったんですか?
というようなお話からどうぞ。




── 『脳を鍛える大人のDSトレーニング』を
はじめた当初、「単語記憶」のトレーニング
(※画面に並んだ28個の言葉を2分かけて暗記し、
 つぎの画面で覚えているものを
 書き出していくというトレーニング)
がものすごく苦手で、あまりにできないから
涙ぐんだという話を聞きましたが。
糸井 自分の弱点を思い知らされましたね。
ちっちゃいときからそうだったんですよ。
セリフ覚えができないし、
段取りも覚えられないし、
人の名前を覚えてないし。
とにかく相手に失礼なことばっかりなんですよ。
だから、もう、俺にそれを頼むなよ、
って思ってた。
まわりが代わりに覚えてくれたり、
あとはコンピュータに任せたりしてたんです。
そういう分業が新しいと思ってたし、
時代の流れだと思ってた。
でも、「自分はメモリーのない人間だ」
と決めつけちゃうと、それはそれで
やっぱり迷惑かけるなぁ、と。
でもね、最近、「単語記憶」は
20個以上、覚えられるようになったんだよ!
ほんと最初は泣いたね。
── たしか、最初は‥‥4つか5つかしか
覚えられなかったと聞きました。
糸井 そう、4つ。‥‥悔しかったなあ。
あたふたしてるだけで時間が過ぎていって、
時間がムダに過ぎていくということを感じて、
またあたふたする。
もう最悪の循環になるんですよ。
で、「なんだこりゃ!」と自分に怒ったり、
悔し涙を流したり。
俺、小さいときから、
目の前にできないことがあると
悔し涙を流すのよ。
── あははははは。
糸井 ほかの問題に比べていちばんアレがツラかったね。
いちばん弱かったところだからね。
── 敗北感のなかで費やす2分はキツいですよね。
糸井 でも、覚えられるようになったときには、
その2分っていうのが
すごくありがたく思えるんですよ。
そのへんは絶妙によくできてますよ。
「単語記憶」って、その日ごとに
出題されたりされなかったりするじゃないですか。
(※「脳年齢チェック」をする場合、
 「計算20」「色彩識別」「単語記憶」
 「高速数え」「順番線引」「数字数え」
 の6つの問題のなかから、
 3つがランダムで主題される)
だから、「単語記憶」が主題されるときは
いまだに「来たか!」って(笑)。
── 気合を入れる、と(笑)。
糸井 ほかの問題のときはね
眠かったり、やる気がなかったりすると、
「ハイハイ」って感じでのんびりやるんだよ。
ダメだと「ああ、ダメだったな」で済むんだけど、
「単語記憶」のときだけは、
背筋をシャンと伸ばして、
「3、2、1」のカウントダウンのまえに
「よし、やるか!」ってなるんだよ。
── わかります、わかります(笑)。
でも、あれですね、ゲームに対して
背筋をシャンと伸ばして向き合うってことは‥‥。
糸井 あんまりないですよ。
久しぶりのことですね。
── ですよね。
糸井 きっと囲碁や将棋をやっている人は、
日常的にこの感覚を味わっているんでしょうね。
だからね、ある部分では、うれしいんですよ。
この、背筋をシャンとさせるということが。
スポーツ選手やアスリートが、
ほんとに真剣になってプレイしないと
たいへんだと感じながらプレイするのと同じでね。
ぼくみたいに自分がある程度歳を取ると、
本当に真剣になって力を出す行為が
どこかおっくうになるみたいなところがある。
日常の仕事なんかだと、
ぜんぶにぜんぶ、全力を出しすぎていると
回らなくなっていくところもあるからね。
日常に大きな仕事がいくつもあるときは、
最初はザックリと放り出しておいて、
途中でできあがりを見てチェックする、
といった感じの仕事を
いっぱいしなくちゃならない。
だから、ほんとうに真剣になる、
負けたらたいへんなことになるような局面って、
ないわけじゃないんだけど、
そんな頻繁にはないんですよね。
ぼくの仕事は昔からそういう傾向があるし、
イヤなら断っちゃうし。
得意なものはどんどん得意になっていく。
ますますザックリした感じになっちゃうわけです。
そんななかで、
背筋をシャンとしようと思うというのは
すごく大事なことですよね。
── いま、話しながら思ったんですけど、
背筋をシャンとさせるゲームって
昔は多かったと思うんですよ。
自分も若かったですし。
年をとると、ハイスコアとか、クリアーとか、
そういうキツいものがツラくなってきて、
のんびりたのしめるゲームを
選ぶようになりますよね。
最近、そういう「競わなくていい」ゲームが
とってもよくできてますし。
そうすると、勝手なもので、
「背筋をシャンさせるピリピリした部分」が
なさすぎてもちょっとナンだなあ、
って思ったりするんですよね。
糸井 プレイするにあたって、
その中間のところが欲しくなるんだよね。
── そうなんですよ。で、
『脳を鍛える大人のDSトレーニング』って、
ゲームじゃないかもしれないけど、
「背筋をシャンとして向き合う」っていう
ゲーム的な要素はすごく残ってるじゃないですか。
糸井 そうなんですよ。
それでいて、毎日数分間の一発勝負だから、
「悔しくて何度もくり返す」っていう
イヤなハマリかたをしないしね。



(続きます!)


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2005-07-01-FRI