「聞く人」が、世界を優しく支えてる。 「聞く人」が、世界を優しく支えてる。
相手の話を聞くだけで、
その場の空気を明るくしてしまう人がいます。
『安住紳一郎の日曜天国』名アシスタントの
中澤有美子アナウンサーです。

「聞く」は「話す」の影に隠れがちですが、
「聞く人」が生み出している価値や効果は計り知れません。
もしかしたら、経済や誰かの人生まで支えているかも? 
そんな「聞く」の力を信じて突き進む中澤さんが、
「上手に聞きたい!」という人へ、
ご著書『口下手で、大丈夫  
~2.4秒に1回頷く、最強傾聴力~』
をもとに
傾聴のヒントをたくさんくださいました。

聞き手としての悩みを中澤さんに相談したのは、
ほぼ日の玉木、安木、松本です。
第4回 聞くことはプレゼントになる
玉木
きょうはコミュニケーションで
悩んでいる方や、
会議などでの空気を悪くしないように
努めている方に、
聞き方のコツや心のあり方を
持って帰っていただけたらなと思って、
いくつか我々で質問を
用意させていただきました。
ここからは3人で質問させてください。
中澤
わかりました、よろしくお願いします。
玉木
さっそく、私からよろしいですか。
「初対面の人と一対一になったときに、
最初の30秒で場を柔らかくするためには、
どんな一言や態度が有効ですか」
ということをうかがいたいです。
中澤
初めて直に会うと、口に出す言葉以前に、
その人の醸し出す雰囲気や柔らかさ、
硬さや緊張感、そういったものが
まず伝わります。
こちらが招いているのか、
招かれているのかといった
シチュエーションにもよりますが、
縁あってここに集ったことを
まずは喜べたら
いいんじゃないかと思います。
「ほんとにきょうはお会いできて
うれしいです。
この時間をいいものにしたいと
思っています」という心持ちで
接し始めると、絶対にその気持ちは
伝わると思っています。
そうすると、言葉もついて出て来るのでは
ないでしょうか。
玉木
先に態度があって、
そこに言葉がついてくる感じですね。
中澤
そうです。もし言葉が出てこなくても、
「ほんとに、
ようこそお越しくださいました!」
「お会いできてうれしいです!」
という気持ちは、
絶対に空気として届きます。
玉木
たしかに、中澤さんが普段
活動してらっしゃるラジオは、
態度が見えないメディアですけれども、
いちばん「ウソがつけないメディア」だと
思うんです。
きょう初めて、動く中澤さんを拝見して、
振る舞いに本心が表れていることを
目の当たりにした思いです。
中澤
わぁー、そうですか。
そのとおり、言葉に出すのはごくごく一部で、
動きが大きいですね(笑)。
写真
玉木
『口下手で、大丈夫』にも、
副題に「2.4秒に1回頷く」
という言葉があって。
なんでも、数えてみたら、
『日曜天国』放送中に
1,600回頷いていたとか。
中澤
うふふふっ。はい。
玉木
最初の、お天気のニュースを読むときも
「こんなに頷いてていいんだろうか」
というぐらい
頷いてらっしゃるそうですね。
中澤
そうなんです。
「きょうの関東地方は晴れ(頷き)。
午後には山沿いで天気が崩れるでしょう
(頷き)」‥‥そんな感じですね(笑)。
まあ、ぜんぜん見てませんけど、
安住さんは。
玉木
ははははは。
中澤
でもまあ、空気の振動は
伝わってるんじゃないかなと(笑)。
自己満足でやっています。
玉木
「自己満足」とおっしゃいますけれど、
言い換えれば、一貫して見返りを求めずに
笑顔や頷きといった仕草を
されてらっしゃるんですね。
「まずは自分からやる」ということを、
中澤さんはずっと
貫いてらっしゃる気がします。
中澤
たしかに。
見返りは、求めてないですね。
若いころは「これ意味あるのかな」
「誰も見てないしなー」と、
報われない気持ちで、なんだか勝手に
悲しくなることもありました。
でも、だからといって笑顔や頷きを
やめたいわけではないし、
きっと自分みたいな役割も必要だよなと
思ったんです。
それに、だんだん手応えも出てきたんです。
すぐじゃなくても、何週間後、何年後に、
あるいは人づてに「あのとき、中澤さんが
すごく頷いてくれたのが心強かった」
と言ってくださる方がいらして。



あとは、娘のお友だちがトコトコトコッと
近づいてきて、「うちのママがね、あのね、
一番喋りやすいって」と
言ってくれたりとか(笑)。
自分では無意識で、そんなに頑張ったつもりは
なかったんですけれど、
この子のママはお家で、わざわざ私のことを
お子さんに話してくれるほど
喜んでくれていたんだと思うと、
ジワジワとすごくうれしかったんです。
そうやって、報われないようでいても、
絶対誰かに届いているんだという
実感のかけらを集めてきました。
そのかけらが、だいぶ貯まったので、
いまは落ち着いて見返りを求めずに
やれています。
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玉木
ご著書のなかでも、
「お話を聞くこと自体が、相手にとって
最高のプレゼントだ」ということに気づいた
と書かれていました。
そこが、私はこの本のなかで
一番胸に刺さったんです。
娘さんのお友だちのお母さんのように、
自分では「そんなに話したかしら」と
思っていても、いつの間にか相手に
プレゼントを渡していることがある
ということが。
中澤
けっこう、気がつかないうちに、
人はこちらの好意を受け取ってくれています。
好意と思って差し出したわけではなく、
ただその場を心地いいものにしたいと
思ってしたことも、
意外とちゃんと届いているんです。
だから、なんらかの場面にいるときには、
当事者意識みたいなものを持って
その場に参加するといいんだな、
と思います。
玉木
それは、
主役として前に出るということではなく? 
中澤
はい。自分がおもしろい話をして、
ドカンドカン湧かせることはできなくても、
その場面に参加している一員としての
当事者意識があれば、
場をいいものにすることができる、
そう信じています。
玉木
本には、微笑みや頷きについても、
すごく具体的に書いてありました。
中澤
微笑みは、デフォルトで顔に設定します。
頷きは、過剰なぐらいにしています。
それから、相槌ですね。
本には、相槌は「あいうえお」ほとんど
全部の五十音が使えるんです。
「あ」行はやりやすいですよね。
「あぁ」「いー」「うーん」「えーーっ」
「おぉー」‥‥ほかにもあると思います。
「か」行もですね、「かーーっ」
「きーーっ」「くぅーー」、
「け」は難しいかな、
「けっ!」とか(笑)? 
こうして五十音順に考えていくと
おもしろいので、
ぜひ試していただきたいです。
玉木
微笑みについては、私ももちろん
笑顔の人と喋りたいですけれども、
自分がどこまでできていたか、
ちょっとハッとしました。
相手より先に微笑んで、
しかも出し惜しみしないと、
中澤さんは書かれていて。
中澤
真顔のほうがいい場面や場所も
ありますから、いつでもどこでも
通用するわけではありませんが、
やっぱり、笑顔でいることで
「敵じゃありませんよ」
「あなたのことは
まだ好きかわからないけど、
好きになろうとしてます」ということは
表現できると思うんです。
なので、笑顔をみずから出していくと、
その場がなごみやすいと思います。
お互いに「敵か、味方か」と
様子見で過ごしちゃう時間って、
すごくもったいないです。
せっかく会ってコミュニケーションが
できるんだから、最初から仲良くなろうよ、
という気持ちをこちらから出していこうと
思っています。
安木
きょうは同席させていただいて、
ありがとうございます。
すでに、聞き手として、
おうかがいしたいことがたくさんあります(笑)。
まず、日常会話のとき、
接点や共通点がない方が相手だと
なにから話したらいいんだろうと
思うことが多いんです。
話題選びが難しいなと思っていて。
そんなとき、中澤さんはどうされていますか。
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中澤
そうですねー。
その方と一緒の場面にいるからには、
なにか共通点があるわけですよね。
たとえば、その方のお話を聞きたくて
お呼びしたとか、あるいは町内会で
たまたま一緒になったとか、
エレベーターで一緒になっちゃったとか。
偶然でも、用意された空間でも、
なにか共通の一点は絶対にあるはず。
それはなにかというところに集中すると、
会話の突破口が見つかるんじゃないかなと
思います。
たとえば、どんな場面を想定していますか。
安木
そうですね‥‥具体的には、
「このあいだ、ありがとうございました」
という気持ちをお伝えしたあと、
それ以上話が膨らまないことがあって。
玉木
あーー。話す内容はひとつあるんだけど、
それ以上話せない、というときですね。
中澤
なるほど。
「このあいだ、ありがとうございました」
というのは、
話しかけるポイントの宝庫です。
どこが感謝しているポイントなのか、
お相手のどんなところが好評だったか、
どんなところが嬉しかったか。
あるいは「このあたりのことが
大変じゃないかと思いながら
お願いしたんですけど、
大丈夫でしたか」とか。
相手の立場に立ってみると、
「こうだったんじゃないか、
ああだったんじゃないか」ということが、
芋づる式に出て来るので、
それを投げかけてみてはどうでしょうか。
安木
たしかに‥‥細分化すれば、
いくらでも話題が出てきそうな気がします。
中澤
自分が喋るのは苦手だなと思ったら、
とにかく話を聞いてしまいましょう(笑)。
質問して、質問して。
ということで、どうでしょうか? 
安木
できる気がしてきました‥‥! 
ありがとうございます。
(明日に続きます)
2026-09-25-FRI