「聞く人」が、世界を優しく支えてる。 「聞く人」が、世界を優しく支えてる。
相手の話を聞くだけで、
その場の空気を明るくしてしまう人がいます。
『安住紳一郎の日曜天国』名アシスタントの
中澤有美子アナウンサーです。

「聞く」は「話す」の影に隠れがちですが、
「聞く人」が生み出している価値や効果は計り知れません。
もしかしたら、経済や誰かの人生まで支えているかも? 
そんな「聞く」の力を信じて突き進む中澤さんが、
「上手に聞きたい!」という人へ、
ご著書『口下手で、大丈夫  
~2.4秒に1回頷く、最強傾聴力~』
をもとに
傾聴のヒントをたくさんくださいました。

聞き手としての悩みを中澤さんに相談したのは、
ほぼ日の玉木、安木、松本です。
第3回 聞き手が支えているもの
玉木
今年の3月に、
安住さんが体調不良になられて、急きょ、
中澤さんがメインで進行された
『日曜天国』がありました。
あのときは、どのように準備して、
見事な代打を務められたのでしょうか。
中澤
そう言っていただいて、
ありがとうございます。
あの回は、前日のお昼ごろに
「もしかしたら代打を務めることに
なるかもしれない」とご連絡をいただいて、
本決まりになったのが夜だったと思います。
それで「さぁ、困った。なにを話そう」と。
自分がこのところ一番
心血を注いでいたのは、
書籍を出すということだったので、
「話せるとしたらこれしかないよなー」と、
本をつくった経験のことをお話ししました。
私がお話しさせてもらうとしたら、
みなさんはどんなことにご興味を
持つだろうという視点から逆算したんです。
つくる本によって
ケースバイケースでしょうけれども、
私の場合はこうでしたとお話しすると、
みなさんもちょっと
おもしろがってくださるかも
しれないと思って。
玉木
普段は安住さんが主にゲストとお話しする
コーナーも、
中澤さんがメインで進めることに
なりましたよね。
そこでの自分の出し方は、
どう意識されたのでしょうか。
中澤
いつもは安住さんがメインで
流れを進めてくださって、
私はこぼれたものを拾うような係です。
ですが、普段から、メインの安住さんが
どんな感じで進めようとしているのかを
傍観するんじゃなくて、
一緒に船に乗って櫂を漕ぐ気持ちで
やっているつもりなんです。
だから、ゲストの方の言葉に対して
自分の感想や意見も持ちます。
なので、メインの安住さんが
いらっしゃらないとなったら、
自分が普段は飲み込んでいる感想や意見を
前に出すという意識で進行しました。



準備の段階から、普段とは違います。
いつもの私はリスナーのみなさんと
同じ立場で安住さんのお話を聞くという
体なので、メインの打合せにはあまり
入っていかないんです。
でも、自分が進めるとなると、
ご紹介するメッセージを下読みするといった
作業が入ってきて。
玉木
普段は、できるだけ下情報を入れずに、
安住さんがどんなオープニングトークで
話を進めていかれるのか、
どんな準備をしてこられたかを、
視聴者と一緒に知るんですね。
中澤
そうなんです。
事前に知ってしまうと、
リアクションが「ほんとは知ってるけれど、
初めて知ったように振る舞う」という、
つくったものになってしまうから。
ただ、スタッフは熱意を込めて
準備をしているわけですから、
私が間違ったリアクションをして、
台無しにしてしまうことは
ないようにしたいと思っています。
なので、ただ安住さんのお話を聞いて
大笑いするにしても、
「これで合ってるのかな」と、
探り探りの大笑いなんです(笑)。
写真
玉木
きっと、その場その場で正しい
リアクションをするというのは、
すごく難しいですよね。
笑いどころひとつ取っても、
お話の振りなのか、大オチなのかが
わからない状態で中澤さんは臨み、
笑ってらっしゃるわけですね。
中澤
おっしゃるとおりです。
なので、まだ大オチが残っているのに
ものすごく笑ってしまったり、
お話を締める方向に向かっちゃったり、
ヘルプするつもりでオチを言っちゃったり
することもあります。
玉木
ああーーっ。
中澤
そういうことがあると、
みんなガッカリなんです。
私自身も本当に「穴を掘って埋めてくれ!」
っていう気持ちになります(笑)。
なので「いまお話の現在地はどこだろう」と
いうのは、とても考えています。
みなさんもきっと日常で
「話を聞きながら頭をフル回転させている場面」
があると思うので、
「アナウンサーも同じなんだ」と、
安心していただけたらうれしいです。
玉木
ただ聞いているとか、ただ笑っていると
評価されがちなところに、
アナウンサーのみなさまが
どれだけ力を割いてるかということには、
励まされる思いの方が多そうです。
中澤
そうだといいですね。
この場を盛り上げたい、
この方に輝いてほしいといった
サービス精神や優しさみたいなものが、
聞き手の脳内フル回転に
つながっているのだと思います。
目立たないし、褒められないけれども、
一所懸命聞いている方がその場の空気を
よくしていることは間違いないので、
私は全力でその方たちをねぎらいたいです。
玉木
中澤さんのような方が代表する、
聞いたりリアクションをとったりする
みなさんがつくっているGDPも、
すごくたくさんあると思うんです。
お金に換算しにくかったり、
それができるからってお給料には
関係なかったりするかもしれないけども、
聞くことが支えている経済って、
ものすごくあるんだろうなと、
中澤さんの本を読みながら考えていました。
中澤
はぁーー。ありがとうございます。
GDPですね、なるほどっ。
たしかに、外国の方が日本にいらして、
サービスの細やかさや
「このサービスがタダなの?」
というところに
感動してくださるようなことと同じで、
聞き手のサービス精神というものは
GDPにつながっているかもしれませんね。
玉木
ちょっとうっかり、
いつものインタビューより、
私が多めに喋ってしまっています。
ついつい。
中澤
いえいえいえ。
玉木
いつの間にか自分が話したいことを
話してしまって‥‥。
中澤さんの本は、
聞き上手になるためのテクニックだけを
書いているのではなくて、態度そのもので、
対面する人がついたくさん
喋ってしまうような聞き方を
解説していました。
それをいま体験して、ドキドキしています。
写真
中澤
それはなんとなんと、うれしいです。
玉木
読んでいるみなさん、いつもよりも、
ほぼ日側が雄弁でしたらすみません。
(明日に続きます)
2026-09-24-THU