この秋にお届けする
COGTHEBIGSMOKEのトップスは、
デザイナーのNoriko. I さんが
シャツから発想したカットソー。
普通に着ると、ちょっと真面目で、
礼服にもなりそうな印象があるのですが、
ポイントとなるのは、袖。
つまんでボタンで留めると、
二の腕の外側にカフスが張り出たような、
ちょっとお茶目な印象が出るんです。
かといって、甘さもなく、オトナっぽい。
このトップスについて、
ロンドンのNoriko. I さんに
伊藤まさこさんがインタビューしました。
クリエイションのひみつは
「寄せ植えの、盆栽裁断」‥‥って、
それはいったいどういうことなんでしょう?
Noriko.Iさんのプロフィール
ブランドのデザイナー、
セレクトショップのバイヤーを経て、
2010年に英国・ロンドンに移住。
英国ブランドのディレクターを経て、
自身のブランド「COGTHEBIGSMOKE」を立ち上げる。
COGはNoriko.Iさんが愛するクマのぬいぐるみの名前、
“THE BIG SMOKE”はロンドンをあらわすスラング。
ロンドンの自宅をはじめ世界各地でおこなったデザインを、
生産チームのいる日本とオンラインでやりとりしながら
制作を続けている。
COGTHEBIGSMOKEのキーワードは、
シーズンレス、エイジレス、サイズレス、トレンドレス、
シーンレス、エフォートレス。
サイズはひとつだけ、素材はジャージーのみ。
01好きな形を、鏡の前で、立体で
- 伊藤
- 今回、「weeksdays」で紹介する
「OCEANA BUTTON ADJUST SLV TOP」
(オセアナトップ)について
ぜひノリコさんから解説をしていただきたくて。
- Noriko. I
- はい、もちろんです。
このオセアナトップっていうのは、
横に広い襟が開いている、
クルーネックというよりは
ちょっとボートネックに近いプルオーバーなんですが、
袖に特徴があるんですよ。
これは写真を見ていただくと
わかりやすいかと思うんですが、
袖のカフスの上のところをちょっとだけつまんで、
2ヵ所をボタンで留めると、
二の腕の外側にカフスが張り出るんです。
- 伊藤
- そこが、ポイントになっていますよね。
- Noriko. I
- はい、それだけでかなり抜け感が出るんです。
普通に着ると、ちょっと真面目な、
礼服にもなりそうな印象なんですけれどね。
そして、背中の肩甲骨のあたりに、
タックを1つずつ入れてあるので、
横から見たときにそこがプカッて浮いて、
立体感が出るんです。
- 伊藤
- 確かに。
- Noriko. I
- これも、シンプルなんだけど、
ほんと一枚で様になっちゃう。
シンプルなスカートを合わせても、
袖のピロンっていうのが
けっこうアクセントになるんです。
- 伊藤
- うんうん、ポイントになりますね。
- Noriko. I
- このオセアナ以外にも
同じような袖のエフェクトのデザインがあって、
パリの展示会でもよく着てたんですよ。
ほんと、袖がピロンってなってるだけで、
ちょっとおしゃれ着風になるものですから、
自分でつくっておいておかしいですけど、
すごくよく着ます。
- 伊藤
- それで確かに抜け感というか、
「あれ?」と目を引くものがありますよね。
ちょっとしたかわいさが出て。
- Noriko. I
- ふつうのブラウスで、
肘ぐらいの長さまで腕をたくし上げると、
“いい女”風というか、
ちょっとかっこつけてるみたいな感じになるんですけど、
オセアナトップの袖のデザインは、
ちょっとお茶目な印象が出るんです。
かといって、甘さもなくって。
- 伊藤
- これはどうやって発見したんですか。
実際につまんでみて‥‥?
- Noriko. I
- これはですね、なんとかしてカットソーで
シャツがつくれないかな、というのがスタートです。
私、シャツが好きなんだけれど、
カットソーでシャツってうまくつくれないんですよね。
襟や袖など、端がちょっとぱらっとしちゃうから。
それで袖に、私の好きなカフスを
付けようと考えたんですが、
単にカフスを付けてもかっこつかないぞ、と、
そうやって鏡の前でピンで留めたりして。
タックの位置にしろ、
いつも巨大ミラーの前のピン1本ですね。
- 伊藤
- 以前「盆栽裁断」っておっしゃってたじゃないですか。
平面上で考えるのではなく、
「ちょっとつまんで」みたいに
立体で考えていくと。
- Noriko. I
- 表面(平面)では、やっぱ考えられないんですよね。
鏡の前でヒュッてつまむ位置も、
結果、真横ではないんですよ。
探して、つまんでみて、
「ここが跳ねるのがいちばんかわいい」
と私が思う位置は、正面でも真横でもなく、
たとえば、ちょっとずれた位置になる。
そういうのって、平面では考えられないんですよ。
- 伊藤
- 大きな鏡でご自身の着用姿を見て、
あっちこっち調整した結果、
COGの服が生まれるんですね。
- Noriko. I
- はい。おおもとになる形、
たとえば「シャツ」があるとすると、
袖だけを通してピンでプチって留めてみる。
そしてボディはシンプルなTシャツにしてみる。
そういうつくりかたが、寄せ植えの盆栽みたいだなって。
- 伊藤
- いいですよね、好きなものを部分で集めて、
アレンジしながら、別のかたちをつくる。
- Noriko. I
- そうなんですよ。自分が好きなものの寄せ集め。
だからたぶん、私、デザイナーっていうよりも、
好きなものを周りに集めて、
それをぐにゃぐにゃ、いじりまわして
生きているのが好き、みたいな。
- 伊藤
- ぐにゃぐにゃ、じゃないと思うんですけど(笑)。
でも、なるほど、このトップスも、
カフスが好き、っていうところから始まったんですね。
- Noriko. I
- そうです。シャツがつくりたくて仕方がなかったけれど、
自分が納得できるシャツは、カットソーではできない。
過去に何シーズンかシャツをつくってるんですけど、
シャツってやっぱりシャカシャカって
張りがでないといけないでしょう。
COGのようなビッグシルエットでつくると
けっこう重くなっちゃうんですよね。
- 伊藤
- なるほど。じゃあこの素材は‥‥。
- Noriko. I
- ポリエステルとポリウレタンです。
- 伊藤
- あんまりしわにならず。
- Noriko. I
- もう全然、ならず。
洗濯機でガラガラ洗って大丈夫。
- 伊藤
- いいんですか、手洗いじゃなくて。
- Noriko. I
- あ、全然。この服、パリの出張でも、
毎日、夜に洗濯して、
干しておけば朝には乾いているので、
毎日、洗濯してました。
- 伊藤
- 着心地のよさだけじゃなくて、
お手入れも楽っていうの、すっごく助かります。
アイロンがあんまりいらないというのも。
- Noriko. I
- 手入れが難しい服って着なくなりますよね。
「あ、これ着たら、クリーニング出さなきゃ」って。
- 伊藤
- そう、面倒になるんです。
- Noriko. I
- じゃあちょっと今日やめようかな、みたいな。
- 伊藤
- 服の手入れに左右されるのが嫌だなあと思って。
だからCOGはありがたいんです。
ところで、これは何に合わせたらいいですか。
- Noriko. I
- これは上だけでデザインが完結できているので、
シンプルなペンシルスカートだったり、
細身の、きれいなセンタープレスがあるパンツとか。
- 伊藤
- いいですね!
- Noriko. I
- でもね、なんでも合うと思います。
ジーンズ、それもダメージドジーンズとかでも。
- 伊藤
- たしかに、なんでも合いそうです。
- Noriko. I
- “きれい見え”する素材なので、
ネックレスとかつけたら、
素敵なところにも行けると思います。
レザーのパンツとか合わせちゃったり。
- 伊藤
- 着るのがたのしみになります!
ノリコさん、ありがとうございました。
またぜひ、素敵な服、紹介させてくださいね。
- Noriko. I
- こちらこそありがとうございました。
(おわります)
2026-09-14-MON