fog linen workオーナーの関根由美子さんのお宅を、
伊藤まさこさんが訪ねました。
シンプルで気取らない、すっきりした空間は、
まさしく関根さんそのもの。
家のこと、とりわけバスルームのこと、
関根さんのルーツのこと、
そして、ふたりのものえらび、ものづくりについて、
たくさんおしゃべりをしましたよ。
3回にわけて、連載します。

関根由美子さんのプロフィール

関根由美子 せきね・ゆみこ

ふだん使いをテーマに、リトアニア産の麻素材で。
シンプルなデザインのキッチンリネンやベッドリネン、
ウエアなど、日々の暮らしに寄り添う布製品と
雑貨を展開する、下北沢「fog linen work」オーナー。
すべてのアイテムがオリジナルで、
関根さんはそのデザインと企画を行なっている。
下北沢のショップではオリジナルリネン製品のほかに
インドで作っているワイヤーバスケットや雑貨類、
世界各国のアクセサリーやインテリア雑貨を販売。
「ほぼ日」では「やさしいタオル」
「ほぼ日手帳」などでコラボレーションをしています。

ウェブサイト
インスタグラム

その3
気持ちのいい場所へ。

伊藤
関根さんはリネンがお仕事の中心だと思いますが、
お店に伺うと、布だけじゃなくて
いろいろな雑貨が置かれていますね。
関根
はい。わたし、リネンの人間といわれますが、
どっちかっていうと雑貨屋だと自分で思っているんです。
伊藤
そういえばこのごろは
インドのものも増えてきましたね。
関根
そうなんです。金物をつくっています。
そもそもは、ワイヤーのカゴをずっと、
サンフランシスコのかたを通じて、
メキシコから仕入れていたんです。
ところが20年ぐらい経って、オーナーさんが亡くなり、
もうこれ以上カゴを供給できないと言われ、
メキシコに行ってほかのカゴを探そうかと
思ったんですけれども。
メキシコに行った人が、危ないよと。
それだったら、インドのほうが、
ほかにも何かいろいろあるかも? と探して、
カゴをつくってくれるところを見つけました。
伊藤
どうやって探したんですか?
関根
インターネットで探しました。
伊藤
!!!
関根
オーナーさんの写真は、
サングラスしていてコワモテだったんですが、
やり取りをしていると感じはいいし、
サンプルづくりもスムーズだったので、
1回訪ねてみたんです。
伊藤
ひとりで?
関根
ひとりですね。
なんとかなります。
そのバスケットをつくっているところは、
町中が金物をつくってる土地で、
どこでもトンテンカンってして溶接して、
金物をつくっているところでした。
バスケットはその町の中心部から車で30分ぐらいの
小さな農村で、農閑期にそれぞれのお庭で
みんなが編んでつくってくれているんです。
つくるものは、絵で説明をするんですって。
そして、日本に輸出するということは、
長く船に積まれることであるとか、
日本の気候のなかでどう使われるのかなどが
最初は抜け落ちていたので、
届いたら全部錆びていたりして、
大変だったんです。
今度はちゃんとしているかなって思ったら、
設計図とまるでちがう! ということも。
それで何回もやり取りがあって、
どうにかできるようになりました。
とはいえ、量をつくってもらうと、
直角にしてほしいところの角度がちがったり、
ちょっと気を抜くと、3歩進んだつもりだったのが、
また2歩下がるみたいなことが続いています。
それでも、インドに行くと
「もう家族だよ」って言われて、
社長の親戚の家でご飯食べたりもして。
インドの人とのやりとりは、
いろいろ失敗はあるんですけど、
本当に家族っていう感じになっているんです。
伊藤
関根さん、それをやり取りできるのがすごいと思います。
その動じなさも、おばあさまから受け継いだものなのかも。
これから、つくりたいもの、したいことも
たくさんあるんじゃないかしら。
関根
いまやってることを、
なんとかするのでせいいっぱいです(笑)。
南インドでの布製品づくりもはじめたんですが、
秋物を頼んだつもりだったのに、
まだ、できてなくて、
1年先になるかもしれません。
伊藤
fogの商品は、買いやすい価格で、
そのことにいつも驚くんです。
すごいことですよね。
関根
説明するのが苦手なので、
置いてさえおけば「いいものだ」って
わかってもらえるようなものをつくり、
納得いただける価格にしようと思っているんです。
──
今回、ローブとバスマット、サロペットなど
いくつか、一緒につくらせていただいたんですけれど、
バスマットの大きさに目から鱗で。
バスマットって、お風呂のドアのそばに置いたときに
ちょうどいいサイズにできていますよね。
そうするとじつはちょっと面積が足りない。
でも、まあ、そういうものしかないよな、
と思いながら使っているわけです。
ところが伊藤さんは、
大きな麻袋を使ってるっておっしゃって。
伊藤
イギリスで買ったんですけど、
穀物入れみたいな袋なんです。
わたしも常々、思いっ切り拭きたいのに、
自分がバスマットに合わせることないんじゃない? って。
こんなものかな、この大きさなんだな、
って使ってるものでも、
そうじゃなくていいんじゃない?
って思うものが多いんです。
──
それで、fogのリネンのバスタオルを
半分に折ると正方形になって、使ってみたら快適で、
「それでいいんじゃないかな?」って。
伊藤
リネンは、本当にすぐ乾きますしね。
毎日乾きたてで、気持ちよく使えるんです。
その流れで、「weeksdays」で
家で着るバスローブがほしい、という話になったんです。
そうして関根さんとものづくりがはじまりましたね。
そしていざサンプルができあがってきたら、
チームのみんなが「外へも着ていける!」って、
うれしそうにしているんです。
海に行ったときや、
ちょっとした夏の羽織ものみたいに着られると。
わたしはバスローブ、単機能を考えていたので、
なるほど! と思って、
それはわたしがみんなから教えてもらいました。
だからアイテムの名前からは「バス」の言葉を外しました。
バスローブとしても使える、ローブ。
そして、その下にも着るものもほしいねって、
どんどん夢が膨らんで。
──
バスローブ専用、となると、
ちょっとハードルが高い気がしたんです。
とてもべんりなものだということはわかるので、
「weeksdays」を通して
そのよさを広めたいなっていう気持ちは
伊藤さんにも、わたしたちにもあって。
ただ、使い慣れてない人は、
生活習慣からかえないといけない。
伊藤
関根さんはローブやガウンは
おうちで着られますか。
関根
わたしは、小さいときから、わりとガウン生活でした。
家族でみんなガウンを着ていたんです。
ローブっていうよりガウンですね。
パジャマの上に着ていたから。
盛岡で、寒かったせいもあって、
みんなそれぞれのガウンを持っていました。
weeksdaysは、これからバスグッズが広がるんですか?
伊藤
ずっと続けていくつもりなので、
「これがほしい!」って思いついたら、ぜひにと思います。
でもなにしろわたしがあつがりなもので、
バスルームの滞在時間が短いから、
長風呂系はないかもしれないですね。
それに、わたし、バスルームにものが少ない。
からだも手で洗うんですよ。
皮膚科の先生のおっしゃるとおりにしていて、
ゴシゴシするものを持っていないんです。
でもわたしがなるべくものを置かないのは、
汚れやカビの可能性が増えて、
その分掃除の手間が増えるからなんです。
関根さんには「理想のバスルーム」がありますか?
関根
うーん、どうだろう?
わりとわたし、いまの暮らしが気に入っていて、
トイレとお風呂が一緒なのも、使いやすいんです。
ただユニットバスがちょっと、って思ってるぐらいで。
でも‥‥もうちょっと洒落た感じになればいいかな。
伊藤さんは?
伊藤
すぐ乾くバスルームだといいな。
あと、白いこと、自然光が入ること。
実家のバスルームは広くて、出窓があるんですね。
だから昼間にお風呂に入りたくなる。
でもいまのような賃貸の集合住宅では
お風呂っていちばん選べないところで、
でも毎日使うから、入るたびに、
ちょっと嫌だなぁと思ったりもします。
関根
そういうこと、ありますよね。
伊藤
なかなか難問ですよね。
前に住んでたところは、
取り壊しになっちゃったんですけれど、
築50年ぐらいで、バスルームは本当に外国みたいでした。
洗い場がなく、バスタブのなかでシャワーを浴びる、
まあまあ不便なんだけど、すごくかわいいなって、
いつも思っていました。
わたし、便利より、かわいいほうがいいんだと思います。
関根
わたしも結構そうかも!
伊藤
便利、便利でいくと、
素っ気なくなっちゃいそうな気がするけれど、
きもちよくシンプルにしていくのはいいと思うんです。
シャンプーとか置く用の台なのか、
プラスチックの棚はいらないのになと思ったり。
置きっ放しにせず、
毎回シャンプーを持って行けばいいんだから。
関根
わたしも、お風呂の蓋さえ
いらないと思っていたんですけど、
絶対いるって言われました。
伊藤
ええっ、いります?
関根
冷めるから、あったほうがいいって。
伊藤
沸かし直すために。
でも、それでは乾くヒマがないというか、
カビの温床になりそうな気がして、
わたしは好きじゃないな。
関根
素敵なお風呂って難しいですね。
伊藤
「わたしが快適かどうか」は大事だと思うんです。
とあるかたの別荘に遊びに行った時、
そのかたもシャワー派だとおっしゃっていて、
湯船がありませんでした。
ベッドルームの脇にちっちゃいシャワールームがあって、
それだけ。
そっか、親しい人以外は家に入れないだろうし、
こんなふうに親密な感じでもいいんだ、と思いました。
ほしいものはほしいけれど、
いらないものはいらない。
「weeksdays」が提案しても、
「わたしはちがうな」ということがあれば、
それでいいと、わたしは思うんです。
関根
ほんとうにそうですよね。
伊藤
関根さん、いろいろお話がうかがえてたのしかったです。
今後のfogが、ますますたのしみです。
関根
こちらこそありがとうございました。
またぜひいらっしゃってくださいね。
(おわります)
2019-04-24-WED