REPORT

余り革を使って、
オリジナルのブーツをつくりました。

今回の特別仕様の「SWIFT-ORIGINAL」は、
伊藤まさこさんが「この素材でつくってみたい」と、
trippenの革見本帳から選んだ革で
カラフルな冬のショートブーツがつくれないだろうか、
と相談をしたことから企画がスタートしました。
それは毛の処理をせずに鞣し仕上げた牛革で、
いろいろな色に染められていて、
最近のtrippenではあまり見ないものでした。

ところが、現在、この革は
ほとんどtrippenでは使われていない‥‥。
もうつくることはできないのかな? 
と、ベルリンのtrippenに問い合わせることになりました。
すると、「OK」の返事。
ただし‥‥という条件がついていました。

できあがるまでのいきさつ、どうぞお読みくださいね。

(写真=Annette Hausschild, 有賀傑)

trippenのデザイナーであり
代表のミヒャエルさんは、
伊藤さんからオファーが来たときのことを、
こう語っています。

「これは、随分昔に、
イタリアのレザーフェアで見つけた素材なんです。
trippenが大好きな古風なイメージがあり、
ずっと強く興味を持っていて、
ウッドソールの靴に
今まで沢山使用してきました。
けれども最近は、この革を使っていなかったので、
今回、伊藤さんからお声掛けいただいたことを、
とても嬉しく思いました。
ただ、この革は、あたらしく手配をすることができません。
ですから、みなさんがほしいと思うだけの
じゅうぶんな数が用意できないかもしれませんが、
残っている革を使って、いろんな色をつくってみますよ、
って、提案をしたんです」

おお、余り革!
牛革を多用するtrippenでは、
このような「残反」ならぬ
「残革」が出るのは仕方がないことです。
それをなるべく無駄にしないよう、
ベルリンに「Lederresteladen」という
ショップを持っているほどで、
直訳すると「レザースクラップストア」の意味をもつ
この店では、靴づくりで余った革を販売しています。
サンプル、あるいは余分に発注してしまったものなど、
いろいろな革を並べ、
一般の方がちょっとした革小物づくりをする
サポートをしているんです。

また、trippenには
「Made 4 You」というカスタムオーダー部門があり、
日本では直営店での不定期イベントとして、
ドイツではインターネットで
パーソナルオーダーを受けており、
ここでも、そういった余り革は使われています。
革という貴重な素材を無駄にしないよう、
せいいっぱいの努力をしているのですね。

「そのなかから、毛をつけたまま鞣した牛革の、
いくらかのストックが見つかりました。
靴にできそうな量が確保できたのは、13色。
今回の依頼で、わたしたちの大好きなこの革の
活用法を見つけられて、とても嬉しいです」

そう語るのは、デザイナーで、
ミヒャエルさんのパートナーでもあるクラウディアさん。
こうしてはじまったとくべつな靴づくりは、
「何足、できるかわからないけれど」という
但し書きがついてのスタートでした。

この素材ゆえに、デザインを変更。

以前「weeksdays」でも販売をした「SWIFT」は、
アッパーが一枚革でつくられていましたが、
今回の仕様では、センターシームが入っています。
(ドイツ語では“Mittelscheotel”というそうです。)
革をひっぱって、3Dにしていくのは、
毛がついている革の場合、部分的に毛並みが荒くなるため、
まんなかで切り替えることで、
髪形のセンター分けのような流れができました。

trippenの靴づくりは、手仕事。
この素材ゆえの苦労は? というと、
「全生産工程で、毛だらけになること!」
と笑うミヒャエルさんとクラウディアさん。
逆に楽しかったのは
表の色と、インナーカラーを
マッチさせる工程だったそうです。
「足にとってもっとも良い履き心地を提供したく、
まず初めに、最高のベジタブルなめしの
ライニングを選びました」
履いてしまうとわからないのですけれど、
持ち主だけが知っている
ちいさなひみつのような色づかい。
ぜひ注目してくださいね。

13色のバリエーション

今回、「weeksdays」での
インターネットでの販売は
BLK(ブラック)のみですが、
2019年11月21日(木)から24日(日)までの
4日間、trippen代官山店で開催されるイベントでは、
プラス12色の「SWIFT」がならびます。
それぞれアッパーカラー/インナーカラー/ソールカラーを紹介しますと‥‥(アルファベットはtrippenの色名です)。
[1]青 BLUE/AZUR/NAVY
[2]オレンジ ORANGE/ORANGE/BRW
[3]ダークグリーン FOREST/FOREST/PETL
[4]ライラック LILAC/NOTTE/GRAY
[5]ミリタリーカーキ MILT/SMG/SMG
[6]ライトブラウン CUOI/CUOI/TAB
[7]ピンク ROSA/ROSA/PERL
[8]ホワイト WHT/WHT/WHT
[9]スプリンググリーン SPRING/LIME/GRY
[10]グレー GRY/STONE/GRY
[11]エスプレッソ ESP/ESP/MR
[12]ナチュラル NAT/CHAMPAGNE/TAB
[13]ブラック BLK/BLK/BLK
ちなみに、ミヒャエルさんはピンク、
クラウディアさんはブラックがお気に入りだそうです。

完成した靴の数は、ぜんぶで199足。
そのうち、BLK50足を「weeksdays」のウェブサイトで、
そのほかの149足を、trippen代官山店で販売します。

trippen代官山店 × weeksdays
13色のtrippenと
HARRISSのカシミヤ&ニットのお店

2019年11月21日(木)から24日(日)の4日間、
trippen代官山店にて
今回ご紹介したSWIFT-ORIGINAL、
全13色の販売会を行ないます。
なにぶんにも余り革を使いつくっていますので、
できる数には限りがあります。
サイズの変更や、再生産はできませんので、
あらかじめご了承くださいね。
自分の思っていた色と違う意外な色との
「出会い」もあるかもしれませんよ。

そしてすぐ隣にはHARRISSのお店がありますので、
同時に販売を開始するHARRISS GRACEの
カシミヤリバーシブルノーカラーコート、
HARRISSのミラノリブニット
ロングワンピースも並びます。

会期中は、「weeksdays」チームのものが常駐。
初日は、伊藤まさこさんも遊びにいらっしゃいますよ!

trippen代官山店
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南3-7-7 アピス代官山
[TEL] 03-3716-2935
[OPEN] 11:00 ~ 20:00
[お支払] クレジットカードのみとさせていただきます。

2019-11-19-TUE