毎日使いたい
毎日使っていたものが、
もう作られなくなると分かると、
使う手が緊張する。
だから6年前に、
陶芸家の岡澤悦子さんが器作りをやめると聞いた時、
手持ちのピッチャーを使うのが惜しくなって、
棚の奥に入れてしまったのでした。
時々使うにしても、
なんとなく「こわごわ」とか、「おそるおそる」。
そんな感じ。
でもね、出番の多かった暮らしの道具が、
そんな存在になってしまうのって、
すごく残念。
そこで私は考えました。
かつて作っていたピッチャーを、
プロダクトで作れないものかって。
思い立ったが吉日。
すぐに岡澤さんに電話をし、
なんとか形に‥‥とお願いしたのでした。
それから4年の月日が経ち、
「これ!」というサンプルが届いたときは、
ほんとうにうれしかったなぁ。
それにしても、
作家ってすごい。
あと一息、というところで諦めない、
粘りや踏ん張り。
でも見た目はそれを感じさせない、
かわいらしい仕上がりになっている。
岡澤さん、おつかれさまでした。
使って、眺めてうれしいピッチャー。
あなたの毎日にいかがですか?
伊藤まさこ
2025-07-25-FRI