こんにちは、「ほぼ日」の下尾(しもー)です。
「かわいらしい」って
老若男女どんな人でも持つことのできる
「魅力」のことだと思います。
いつか「かわいらしい」おばあちゃんになるために、
憧れの人にヒントをもらいにいくシリーズを始めます。
初回ゲストは山瀬まみさん。
歳を重ねて変わったもの、変わらないもの。
これからどう生きていきたいかなど、
愛をもって教えていただきました。

ほぼ日の學校で、ご覧いただけます。

>山瀬まみさんのプロフィール

山瀬まみ(やませまみ)

1969年生まれ、神奈川県出身。ホリプロタレントスカウトキャラバングランプリを受賞し、芸能界へ。歌手としてデビュー後、バラドルとしてバラエティー番組でも活躍。『新婚さんいらっしゃい!』『ためしてガッテン』『天才!志村どうぶつ園』『ブロードキャスター』などで、お茶の間の人気を博す。現在、毎週火曜日BAYFM「it!!」にレギュラー出演中。
山瀬まみさんのHP

スタイリスト:石黒祥江
衣装クレジット:KIRIKOMI

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第2回 かわいいより小綺麗が必要になる

──
まみさんのすごいところって、
メイクだけじゃなくて、髪の毛まで
ご自身でセットできるというのが珍しい気がして。
そもそも髪も小さいころから、
ご自身で結んでいらっしゃったんですか?
山瀬
わたしね、バレエを習っていて
お団子を自分ひとりでやってたから、
ピン留めの使い方が上手だったんだ。
下手な人って何本も何本も挿すんだけど、
え、1本で留まるじゃんって思ってたの。
──
そうなんですね。
わたしは下手なので何本も挿してしまいますね。
山瀬
ほんと? コツがあるの。
ちょっと引っかけて返すと1本で留まるよ。
髪の毛を自分でやってるのは、
やっぱり結ぶ位置とかで、
すっごい自分の顔の雰囲気が変わっちゃうから、
その日の好みの位置に、自分でやるのが好きでした。

──
デビュー曲『メロンのためいき』のジャケ写は
ポニーテールで、
ギュッと上のほうで結ばれていましたね。
山瀬
あのときはメイクさんもいて、
イメージを固定するためだったと思うんだけど、
ポニーテールしかダメって言われてて。
──
決まりだったんですね。
「山瀬まみさん=ポニーテール」っていう
イメージをつけたかったってことなんですか。
山瀬
当時、ポニーテールが
好きな人がいたんだね(笑)。
──
でもポニーテールって
ずっとしていると引きつって痛いですよね?
山瀬
痛いし、生え際が、あがってくるから、
同じ髪形を続けるのは、
髪によくないなって思っていました。
──
当時は「ポニーテールをやめたいです」
とは言えなかったですか?
山瀬
まだその頃は長いものに巻かれていたから(笑)。
でも『メロンのためいき』の次、
2曲目からは髪をおろしたの。
衣装に帽子をつけてもらえば、
おろせるかもって思いついて。

──
戦略がうまくいったんですね。
ヘアメイクの道具は、
いつも現地に自分で
持っていってたってことですよね?
いちばん多いときって、
どのくらいの量だったんでしょうか。
山瀬
メイクボックスの他に、
髪の毛のセットがトランクひとつ分。
あと、いちばん多いときは、
それにプラス、ウィッグケース。
──
ウィッグも使ってたんですね!?
山瀬
何個も持ってました。
とってつけたようなかつらだよ、わざと。
おかっぱとか。
──
ご自分で買いに行かれたんですか?
山瀬
自分で買いに行ったり、
ヘアメイクさんに、
こういうふうにお願いしますと切ってもらったり、
前髪だけのかつらをつくってもらったり。
──
すごいですね。
山瀬
なんか大好きだったんだ。
たぶん自分のことが大好きだから(笑)。
その頃は、なにをやっても、かわいくなるから(笑)。

──
40年近くご自身でヘアメイクされて
失敗した日は、なかったんですか?
山瀬
よく周りからは
「なんだ、その顔」って言われてた(笑)。
いろんな色を指に1色ずつつけて
まぶたに、そのまま
ギュっとつけただけのメイクとか。
──
日々、挑戦してたんですね。
山瀬
あっ、いろんな色〜とウキウキしてました。
みんなには「なんだ、その顔」って言われるけど、
そのときはそれが、すごくかわいいと思ってたから。
──
自分の中では、ずっと満点ってことですね。
山瀬
そうそう、失敗はない。

──
いいですね。
逆に、この髪形が好きだったとか、
このメイクが好きだったみたいに
印象に残っているものはありますか?
山瀬
うーん‥‥。
そうだ! あのね、
まだ歌を歌っていた頃に
キューピー人形を集めてたの。
すっごくいろんな大きさの人形が
いっぱいになったから、
ちょっと披露したくなって
キューピーにセロテープで、
いっぱいピン留めをくっつけて、
頭をキューピーだらけにした(笑)。
──
すご〜いっ!!
山瀬
大っきいのをドンとつけて、
小っちゃいのも、いっぱいつけて。
そしたらそこにキョンキョンが通ってきて、
「うわっ、かわいい〜」って言われたの〜。

──
わあ〜! 
山瀬
だからそれが最高だったかも!
髪形をつくったわけじゃないね。
キューピー乗せただけだね(笑)。
──
いやいやいや、キューピーを
頭に乗せようと思ったところから最高ですね。
そういう新しい髪型とかメイクに挑戦するときって
何かを参考にしてるわけじゃないんですね。
好きなものがあふれちゃって
メイクやヘアに影響してくるってことなんですかね。
山瀬
それもあるし、なんだろうな、
今は、あんまりやると
年齢的にも大人げないと思って
落ち着いた感じにまとめているんだけど、
アレンジをしていた頃は
その日の衣装のイメージっていうか、
この服はどの髪がかわいいかなと
いっぱい考えて試行錯誤していました。
──
衣装を決めてから考えるとすると、
人より早めに楽屋に入られていたんですか?
山瀬
そんなに時間はかからないよ。
──
え? すぐにイメージが湧くんですか?
山瀬
鏡に向かって、
ああ、ここだと思って、
ピンを留めていく感じ。
──
すごいです。
そんな、まみさんにとって
ヘアメイクをする時間ってどういう時間ですか。
山瀬
ああ、それは
「山瀬まみ」になる時間。
なんかスイッチ入れていく感じ。
──
かっこいいですね。
まみさんは、洋服もご自身が好きなものを
着られているイメージがあるんですけど、
普段どんなところでお買い物をされていますか?
言える範囲で。
山瀬
がっかりすると思うけど、なんにも買わないの。
──
そうなんですか?
山瀬
全然買い物なんか行かない。
何年か前に、お洋服を整理して
スッカスカのクローゼットを
保っていたいし、もう大丈夫って感じ。
──
もうお腹いっぱいですか?
山瀬
べつにおしゃれ心が
なくなったわけではないんだけど、
減らしていった方がいいかなっていうモード。
──
でも、好きなものは変わらず、
手放せない服を大切にされているんでしょうか。
山瀬
そう、好きなもののテイストは、
ずっと同じなんだけど、
これは着たら怒られるよね? とか、
ちょっとイタい人と思われるよね? 
とか思って自制しています。
──
じゃあ、我慢して着ていない服もあるんですか?
山瀬
いっぱいあるよ!
それがいっぱいあるの〜。
でもそれは捨てられないの。
いっぱい動物柄がついてる服とか(笑)。

──
着てほしいです!
山瀬
いる?
──
え!? 欲しいです(笑)。
まみさんが髪型や服装を自由に
たのしんでいらっしゃるのをみて、
わたしもいくつになっても
好きな格好に挑戦してもいいんだなと
思えるようになったんです。
山瀬
下尾さんはいけるよ。
──
いやいや、ただやっぱり年齢を重ねると
合わなくなる服もあるんだなっていう驚きを
最近感じているんです。
山瀬
そうなの。やっぱりね、
かわいいより「小綺麗」が必要になってきちゃうの。
黒のワンピースとか着たらね、
誰か死んだのかって思われる感じになっちゃうの。
なに、これ(笑)。
だから、いろいろ自分と相談しながらね、
お洋服も決めなきゃいけないんだなという感じです。
──
一般人と同じ悩みがあるんだなと思って、
今ちょっと感動しているんですけど。
山瀬
ほんと?
──
好きなものをずっと着られているのかな
と思っていましたけど、そういうわけでもなくて、
年齢を重ねていって
自分の好きなものと見せるものというか、
着ていくものも変わっていくんだなって。
山瀬
そう、変えざるをえなくなってくるのかな。
でも、かわいいものは大好きだから、
ほんとはここに
クマの大っきいブローチをつけたいのに!
とか(笑)。

──
つけてほしいですけどね。
山瀬
でもたぶんギョッとされるだろうなとか、
なんかそういうのとの、たたかい。
──
でもテレビだといいかもしれないですよね?
山瀬
そう、テレビだったらね、
芸能人だから、特殊だから(笑)。
──
クマつけててもいいと思います。
山瀬
そうそうそう、いいんですけど。
こうやって、ほら、
かわいいリボンがいっぱいついてても、
べつに大丈夫なんだけど。
普段はね、地味にしてる(笑)。

(つづきます)

2025-05-02-FRI

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