たくさんの出会いを大切にし、
能登とのつながりから防災士となり、
自分にもできることを日々、
ひとつずつ積み重ねている常盤貴子さん。
その飾らないうつくしさに心が惹かれます。
日常のおもしろいと思うことから、
未来に向けて今どう動くかまで、
とても気さくに、お話いただきました。
担当は「ほぼ日」下尾(しもー)です。

>常盤貴子さんプロフィール

常盤貴子(ときわ・たかこ)

1991年に女優デビュー。『愛していると言ってくれ』『Beautiful Life』(ともにTBS系)など数々のヒットドラマのヒロインを演じる。2004年に映画『赤い月』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞、2015年に『野のなななのか』で高崎映画祭最優秀主演女優賞を受賞。現在、KBS京都・BS11・TOKYOMX『京都画報』にナビゲーター、NHK Eテレ『おとな時間研究所』に司会として出演中。フォトエッセイ『小さな幸せで満たす日々』が主婦と生活社より発売。

HP
Instagram

ヘアメイク|ナライユミ スタイリスト|梅山弘子 衣装協力|Le pivot

前へ目次ページへ次へ

第3回:アイアンの鉄

──
他にも好きなこととしては、
生花がドライフラワーになっていく、
その隙間の時間が
好きだとおっしゃっていましたね。
常盤
そうですね。
生のお花はもちろん美しいし、かわいいし、
好きなんですけど、それが、
ちょっとずつギュッとしてきて、
ギュッとしてたものの間に隙間が空いてきて、
そこに光が差した時の、
その影の感じとかを見るのが、
すごく好きなんですよね。

──
穏やかな時間が流れていて、
すてきです。
そして、常盤さんは、
いろんなことに、よく気づかれますよね。
気づくといえば、おしゃれの話の中で、
パーカーの紐を結ぶのか、結ばないのか、
という話が出てきます。
常盤さんの本を読むまで、
最近パーカーの紐を
首元で結ぶ人が増えていることに、
私は気づいていなかったんです。
それ以降、気になって見ていたら、
若い子たちは、けっこう結んでいました。
常盤
結ぶ派?
──
結ばないです。
なんなら紐ごと
取ってしまっていたときもあった気がします。
常盤
ああ、取っちゃう世代もいますね。
本当に、ある世代から下は、
みなさんキュッて結んでるんですよね。
ただ私はリボンにする勇気もないから、
ずっと葛藤しています。
まだ結んだまま外には出られません(笑)。
──
私もです(笑)
ちょっと脱線するんですが、
ほぼ日の學校に以前ご出演いただいた、
鉄道オタクの南田裕介さんに会えたことを
先日Instagramに
大興奮で投稿されていたのを拝見したんですが。
常盤
もうめっちゃテンションあがりましたよ。
収録終わりに、マネージャーが近くに
南田さんがいらっしゃることを教えてくれて
「ええっ!うそでしょ?」って、私もう興奮しちゃって。
どんなスターが来たのかっていう勢いで、
そこから南田さん探しに必死になって、
やっとお会いできて写真を撮っていただいたので、
それをアップしました。
──
常盤さんは、鉄道がお好きなんですか?
常盤
鉄ですね。厳密に言うと。

──
鉄?
常盤
建造物としての鉄が好きです。
アイアンの鉄。
──
鉄で出来ているものであれば、
例えば船もお好きですか。
常盤
そうです。
だから一般的には
鉄が好きというと、
わりと鉄道が好きな方のみを指すと思いますが、
わたしは素材としての鉄が好きです。
もちろん、鉄道も鉄に含まれています。
ただ鉄道の中でいうと、
どちらかというとレールの方が
むしろ興味深いという感じです。
より「鉄」なので。
──
レールのどこが好きですか?
常盤
キレイ。
カーブの美しさが好きですね。
「いいカーブですねえ」とか言って、
写真を撮っちゃいますね。
──
そこでも写真を撮っちゃうんですね。
先日、南田さんの『ほぼ日の學校』では、
「妄想路線図」という
妄想で鉄道の路線図や、会社をつくる企画を
たくさんの人と一緒につくったんですが、妄想で
鉄の会社がつくれるとしたら、何をつくりたいですか。
常盤
より鉄感で言うと、工場が好きなんですよね。
だからやっぱり工場になってきますね。
そこにはタンクローリーやクレーンとかが、
いっぱいあるといいですよね。
──
わあ、それも好きなんですね。確かに鉄ですね。
私が鉄について浅すぎて、
全然思いつかなかったので、
聞いているだけで、たのしいですね。
常盤
うん。あとエッフェル塔や、
東京タワーも好きです。
すごいパラダイスができちゃいますね。
──
「自分だけの鉄」って、たのしくないですか?
常盤
確かに、妄想いいなあ。
鉄パラ‥‥
──
ちょっと「鉄パラ」っていただいて、
今度企画してもいいですか(笑)?
常盤
(笑)。
ちょっと私これ、
ずっと妄想に入っちゃいますね、きっと。
たのしそう。
──
「妄想路線図」だと、
どこかに行ってみたいという
場所についての妄想もありましたが。
常盤
私は、もう全部レール!
レールをずっと引いていたいです。
──
どこにも行かずに!?
常盤
レールを愛でたい(笑)。
──
道に引かれたレールが、いちばん好きですか?
常盤
そうですね。
そこをまた走ってもらえると、美しさが増します。
──
路面電車が好きなんですか?
常盤
いや、路面電車だと
道路にレールが埋まっているものが多くないですか?
もうちょっと出てもらえた方が、
うれしいかもしれない。
──
ああ、主張してほしいんですね、鉄に。
常盤
だって鉄が見たいから!
レールで言うと全国にも、たくさん見どころがあります。
ほかにも工場や鉄橋など、好きなところは、
いつ行っても絶対好きなので、
そこを通るたびに、
同じ写真をずっと撮ってるんですよね。
変わり映えしないのに、つい撮っちゃう。
ここの写真何枚撮るんだろうと、
いつも思いながらも、
何度も見返してはニヤニヤしています(笑)。

──
好きなものは、ずっと一貫されているんですね。
常盤
そうですね。ブレないですね。
共感してくださる方が、
ひとりでもいてくれたら、本当にうれしいです。
会ってみたいです。そういう仲間に。
「何が好き?」って言い合いたいですね(笑)。
──
アイアン仲間!?
その収録回つくりますかね?
常盤
あ、いいですね。
盛り上がりますね。
──
まず何の鉄が好きか、
全然ジャンルが違いそうですもんね。
常盤
うんうん、それぞれですもんね。
でも工場の方が、きっと多いですよね。
──
工場を撮影される方って、
鉄が好きなんですか?
例えば、夜景が好きだからという理由で、
撮りに行く方もいらっしゃるんじゃないですか?
常盤
みんな鉄が好きだから
撮りに行くんですよ、たぶん。
──
鉄が好きだから、工場が好き!?
常盤
その工場が「鉄鉄してる」から
美しいと思っちゃう。
その夕焼けの景色を
撮りたいってことじゃないのかな?
──
わあ、それは存じ上げなかったです。
ちょっとそれも話してみたいですね。
常盤
ね、聞いてみたい。
──
いや〜、「好き」の方向性が、
いろいろあって、おもしろいですね。
勉強になりました。
いつか「鉄パラ」企画を
ご一緒にやれたら、うれしいです。
常盤
ぜひ(笑)。

(つづきます)

2025-09-21-SUN

前へ目次ページへ次へ
  • 小さな幸せで満たす日々(主婦と生活社)

    この本を読んで、常盤貴子さんのことが、
    とても身近に感じられるようになりました。
    常盤さんの大切にされている、
    モノやコトが散りばめられていて、
    気がつけば、本に出てくる、
    いろんなものまで買ってしまいました。
    読み終わると、
    こちらまで満たされた気持ちになる一冊です。

    Amazonでみる