たくさんの出会いを大切にし、
能登とのつながりから防災士となり、
自分にもできることを日々、
ひとつずつ積み重ねている常盤貴子さん。
その飾らないうつくしさに心が惹かれます。
日常のおもしろいと思うことから、
未来に向けて今どう動くかまで、
とても気さくに、お話いただきました。
担当は「ほぼ日」下尾（しもー）です。
常盤貴子（ときわ・たかこ）
ヘアメイク｜ナライユミ スタイリスト｜梅山弘子 衣装協力｜Le pivot
- ──
- 本の中には、
ご自身で撮影された写真も多く登場しますが、
どういう時に撮りたくなりますか？
- 常盤
- うーん、その時にしかない
奇跡の一瞬みたいなのは、すごく大事にしていて。
街を歩いていても「わっ！」て思うと、
ちょっと戻って撮っちゃいますね。
- ──
- 例えば？
- 常盤
- この間は、道を歩いてたら、
自動販売機の上に、味の素が乗ってたの（笑）。
- ──
- えー！？ まさかの。
- 常盤
- ね、「なんで？」と思って。
すごい奇跡だなと。
なんで味の素なんだろう？
飲料に味の素は使わないじゃない？
それを見た時、ものすごくうれしかった（笑）。
- ──
- 美しい風景ばかり
撮影されているのかと思っていましたが、
結構バラエティ寄りのおもしろ風景でしたね。
- 常盤
- うん、なんか自分の中で
「キャッ」と思う瞬間を捉えるのが好きです。
- ──
- いつもアンテナを張っているから、
気づけるのかもしれないですね。 - 好きなものについても、お伺いしたいです。
ブローチ、イヤーカフ、
かんざしや着物についてです。
一点ものとの出合いも多いんですか？
- 常盤
- 旅先で見つけて、その思い出とともに、
一緒に連れて帰りたいと思うことも多いです。
そのほうが大事に使えるから。 - 着物について言うと、
私たちの時代は、アンティーク着物ブームの影響で、
母の時代に着なくなった着物を
譲り受けている世代でもあると思うんですよね。
祖母が着ていた着物も、譲ってもらって家にあります。 - 今は着ないと思っていても、
10年後、20年後には着たくなることも期待して、
祖母が着ていたものは大切に保管しています。
年相応に、昔は着られなかった訪問着も、
今は普通に着られるようになってきて、
それが着物のいいところだと思っています。 - 着物を着るということも、
私にとっては、ちょっとしたコスプレなんですね。
非日常なので着物を着た時に気持ちが華やぐし、
そこにかんざしなど、
ひとつアイテムを加えることによって、
さらに気持ちが高まる、
そのちょっとずつの積み重ねって、
すごくすてきだなと思うんですよね。
- ──
- 自分にとって大切なものを
ずっと大切にしていらっしゃるんですね。
- 常盤
- 昔から自分が好きなことを大事に生きています。
年齢は関係ないと思っているから。
自分がたのしいって、たのしくない？
持つ物も、着る物も、メイクも、
自分が「わーい」と思っていたいし、
当たり前の日常の中にも、
そう思えることがあると、たのしいから。
そんな私の姿を見れば周りも、
たのしくなってくれるかなと思っています。
- ──
- メイクの話も出てきたので、
続いては美容と健康の話をお聞きしたいです。 - 大分県の佐伯市で、野草の塾を開かれている
海野
千恵子さんのお話が出てきます。
ふたりの出会いについても教えてください。
- 常盤
- 私『釣りバカ日誌19 ようこそ!鈴木建設御一行様』
という映画に出てるんですけど、
そのロケ地が佐伯市だったんですね。
それから佐伯市と、ずっとご縁が続いていて、
海野さんをご紹介いただきました。
野草は、もともとすごく興味のあることなので、
いろいろと教えていただいています。
- ──
- 野草茶って、
あんなにキレイなんだって、
びっくりしたんですけど。
- 常盤
- すごく興味が出ますよね。
ああこんなにキレイなお花も
「野草」というジャンルの中で、
お茶としていただけるんだって。 - そういえば先日、
椿を天ぷらにしていただいたんです。
- ──
- ええー？
椿って、どんな味がするんですか？
味というより、香りなんでしょうか。
- 常盤
- どちらかというと香りが、
ほのかにしたかもしれません。
食べた瞬間
「あ、ツバキっておいしいんだ」
と思いました。
- ──
- わあ〜、おいしいんですね？
- 常盤
- そう、だから椿をみたら、
それからはもう「おいしそう」になって。
世の中は「おいしそう」で
溢れてるんだということに気がつきました。
- ──
- しあわせですね、それ。
- 常盤
- すごくしあわせになりました。
それに野草を知ることができたら
強いですよね。
- ──
- なにかあったときにも、
生き残れますよね。
- 常盤
- そう、そんなときに
「あ、これ食べられますよ」って
言いたい（笑）。
- ──
- ああ、かっこいいですね（笑）。
- 常盤
- ね。やってみたいです。
でもすごく似たもので、
食べられるものと、
食べられないものがあるみたいなので、
もっと勉強しなきゃなと思っています。
- ──
- 野草を採りには、
何度も行かれているんですか。
- 常盤
- 海野さんのところには、
何度も行かせていただいて、
その辺でいつも野草を採って、
ごちそうしてくださったり、
お茶を入れてくださったり。 - 摘みたての野草を
ご飯にしてくださるんですが、
その全てが、もう体によさそうで、
体がきれいになりそうって思えます。
- ──
- いつか行ってみたいです。
常盤さんの話をお伺いしていると、
体によいとされるものを
取らなきゃいけないから取るというよりも、
自分に合うものを合うやり方で
取り入れていらっしゃる気がします。
- 常盤
- うんうん。本当にそこに行って、
みんなとワイワイ食べてるのがたのしい（笑）。
摘んでいる時も、
みんなでペチャクチャペチャクチャ、
関係ない話とかもしながら摘んでいます。
「これ食べられるよ」「マジでー！？」
みたいな感じ（笑）。
その感じが、すごくたのしいです。
その場で食べることもあります。
- ──
- ええー、直で！？
- 常盤
- 「食べられる」とは言っても、
おいしくないものもあったりして。
「あ、これはいらない」ってなるんですけど、
料理にしていただくと、
おいしくなることもあるんです。
- ──
- 奥が深いんですね、きっと。
- 常盤
- ね。
こういう課外授業みたいなことは、
たのしいですよね。
（つづきます）
2025-09-20-SAT
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小さな幸せで満たす日々（主婦と生活社）
