南伸坊さんと糸井重里が
あちこちを小旅行しながら、
めくるめく雑談をくりひろげる、
そこそこ人気のシリーズ、黄昏。
思えばずいぶん久しぶりの新作です。
奈良に居を移したゲージツ家、
「クマ」こと篠原勝之さんと話します。
それぞれが二十代のころから
とっくに雑談し合ってる3人、
はたしてどこまで行くのやら。
どうぞ、のんびりおつき合いください。
必然、「老いと死」についても語ります。

>糸井重里

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糸井重里(いといしげさと)

コピーライター
株式会社ほぼ日会長

雑談オールラウンダー。
ダジャレもシモもどんどん行く。
タコの話なども得意。

>南伸坊

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南伸坊(みなみしんぼう)

イラストレーター
エッセイスト

蓄積した雑学から雑談を展開。
さまざまなモノマネ経験あり。
タコの話なども得意。

>篠原勝之

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篠原勝之(しのはらかつゆき)

ゲージツ家
作家

鉄や土の作品をつくる一方、
文筆家としても活躍し、
泉鏡花文学賞を受賞する。
過去のエピソード豊富。

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第18回 井の頭公園の便所で


篠原
村松(友視)さんちのムラマツ宴会は、
うらやましがるやつもいたよな。
糸井
俺も入りたい、ってね。
そんな、選ばれるようなものじゃないのに。
篠原
なんだろうね。
ただ、貧乏だから、集まってただけの話。
南
貧乏だったね(笑)。

篠原
みんな貧乏だったよ。
赤瀬川原平さんも、
あんなに本が売れる前だったから貧乏だった。
糸井
芥川賞をとるまえだね。
篠原
糸井はロックの本が売れてたけど。
糸井
『成りあがり』ね(笑)。
あと、『TOKIO』が出たあとなんかは、
ちょっとは羽振りがよかったかな。
篠原
こっちはなんにもなかったなあ。
伸坊も、会社を辞めたばっかりだったか、
間もなく辞めるころだったか。
南
ああ、そうそう。
篠原
で、なんだかしらないけど、
「フリーへの道」ってのを俺が語ることになって。

糸井
あ、知ってる、その話。
井の頭公園の便所だろ(笑)?
篠原
そうそう。
会社を辞める伸坊に
「フリーの道」を語ってたら、
うんこしたくなって、便所に入った。
で、中に紙あると思ったら、ないんだよ。
糸井
夜にね。
篠原
そうそう。
だから、トイレの中から、
「しんぼー!」って言ったら、
外から、「おう」って。
「紙がねえんだよ」つったら、
伸坊、買いに行ってくれて。
それはいいんだけど、そのちり紙を、
上から、ホイって放り投げたんだよ。
トイレットペーパーじゃなくてちり紙を。
だから、俺がうんこしてるところに、
上から、ちり紙がバーーって降ってきて。
糸井
ははははは!
南
バサッと落ちると思ったんだよ(笑)。
そしたらバラバラになっちゃった。

篠原
で、ケツ拭いて、なんとか出てきたんだよ。
糸井
で、フリーの心得を、あらためて(笑)。
篠原
フリーの心得な(笑)。
南
「ちり紙を渡すときは、
もっとちゃんと渡しなさい」。
一同
(笑)
南
散らかすんじゃなく。
篠原
ははははは!
糸井
フリーというのは(笑)。
南
ちり紙もちゃんと渡せねえんじゃ、
フリーはやってけないぞ(笑)!

糸井
そこがフリーなんじゃないんだぞ(笑)!
南
ははははは。
篠原
フリーへの道。
南
それから、フリーになったけど、
ちり紙を渡すって機会はなかったなあ。
糸井
一生ないよ。
一同
(笑)
南
よく考えたらさ、あのときは、
ほかに誰もいなかったんだから、
ふつうにドア開けてくれればいいんだよ。
糸井
たしかにそうだ(笑)。
南
「投げろ!」って言うから、投げたんですよ。

糸井
クマちゃんにしてみれば、
理想的に紙が落ちてくる姿をイメージして。
篠原
そうそうそう。
上から紙がこうポーンと来てさ、
おお、ありがとうって、ちょっと中腰で、
受け取るような感じだと思ってたよ。
それが、上からこう、バラバラバラーーっと。
南
(笑)
糸井
乱舞して。
篠原
乱舞して。
あちこち貼り付いたりして。
糸井
しかしさ、その、井の頭公園の便所で、
フリーの心得を語ろうとしたら
ちり紙が降ってきたっていう話を
なんで俺が知ってるんだろうね(笑)。
南
それはつぎのムラマツ宴会でね。
糸井
ああー、そうか、そうか、
しっかり語られて大笑いしてたわけか。
篠原
なにかあると、
つぎのムラマツ宴会の話になる。
そういうことになってんだ。

(なんて豊かな宴会だろう。つづきます)

2026-03-14-SAT

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  • 写真・山口靖雄(MountainDonuts)

    これまでの「黄昏」シリーズ

    黄昏

    黄昏放談

    黄昏 日光・東北編

    黄昏 あちこち編

    黄昏 スカート編

    黄昏 ブータン編