サンタクロースの存在をいつまで信じていたか、
と聞くと、結構バラエティに富んだ
答えが返ってきて楽しいのです。
ある人は、高校入学まで信じていたというから驚きだし、
朝起きたら何もなくてガッカリしていたら、
親が「あ、忘れてた」と言って
財布から1,000円くれて終了、というパターンもあった。
また別の人は、幼稚園の冬の朝、
枕元に置かれたプレゼントが
近所のスーパーの包装紙だったことに疑問を持ち、
母親を問い詰めたそうです。
空をトナカイとともに駆けて
外国からやってくるはずのお爺さんが、
いつも行くスーパーのレジの列に
並んでいたとは思えなかったのでしょう。

僕の場合は、小学校低学年くらいで
うっすら疑問を持ち始めていました。
その理由は、夜中に赤い服を着た誰かを
寝ぼけつつも見かけたような気がしたこと。
そしてある時、家の中でゴソゴソ何かを探していたら、
サンタの衣装と白い髭のセットを見つけたからでした。
「仮装やな」とピンときた壮少年。
もちろん親には発見を伝えなかったけれど、
厳格だった今は亡き父が
「万が一プレゼントを置くところを見られた時のために」
それらをわざわざ装備していたという事実が
なんとも可笑しくて愛おしいのです。
決して豪華なものではない、
けれどそこには夢があって、想いがあった。
あれが僕にとってのプレゼントの原点やったんやなあ
と懐かしく思うのです。
みなさんはどんなクリスマスをお過ごしでしたか？

想い。誰かに何かを贈る時、
一番大切な要素かもしれません。
ご覧になった方もいるかもしれませんが、
最近ネットのニュースでこんなものを見つけました。
とある男性が、
ファストフード店で女性にプロポーズをしました。
幸せそうな二人の映像を、誰かが悪意をもって拡散。
「こんなところでプロポーズとか信じられない」
というトーンで、
「プロポーズってもっと素敵な
レストランとかでするもんじゃないの？」と、
質素で簡素な二人の門出を嗤ったのです。

これにたくさんの人や企業が反応しました。
早速その二人を見つけ出すと、
あちこちからさまざまなお祝いのギフトが贈られたのです。
場所がどこであれ、渡したリングの値段がいくらであれ、
その男性が彼女のために込めた想いが
世界に広がった出来事でした。
最初に皮肉を投稿した人は、
ここから何かを感じたでしょうか。

近年では年中行事にともなって
街の景色が変わるようになりました。
クリスマス一色だった風景が突如としてお正月になり、
いつの間にかバレンタインがやってきて、
ホワイトデーがそれを追いかけて、
ひな祭り、こどもの日、母の日父の日敬老の日、
そして再びじわじわとクリスマス色に染まっていく。
予定表を見なくても、
備忘録のように月日を感じさせられるのは、
いいことのような、なんだか不思議なような。
入道雲が出てきたとか、木々の葉の色が変わってきたとか、
ふんわり金木犀の香りがするとか、そういうことではなく、
コマーシャルやショーウインドウを見れば現在がわかる。
その一方で、自分で何かを感じ取る、
という能力がサボり始めているような気がしてなりません。

我が家は日本人が昔からやってきたことを
細々と続けていますが、
世の中は外国からやってきた華やかな行事に押されぎみです。
「七草粥フェア！」とか
もっと大々的にやってほしいけどあんまり見たことないし、
屠蘇散（とそさん）を置いていない店も増えました。
昔はみりんのおまけでついてきたりしていたのに、
若い店員さんは屠蘇散？ と怪訝な顔をする。
知らんよなあ、そもそもお屠蘇は飲んだことがないそうです。
楽しく欧米風な派手なイベントも
見た目に美しくとても楽しい。
けれど、「それをなぜやるのか」という理由や
意味のある日本古来の知恵も、
地味ながら大切に継承していきたい。
冬至にゆずを買い忘れ、「似てるから」と
問答無用で湯船にみかんを放り込んだヨメはともかく、
季節の移ろいをしみじみと感じていきたいのです。

年々華やかになっていくイベントにともなって、
商業活動も活発になる。
色とりどりの季節の品々にはワクワク感があるし、
それを楽しそうに選んでいる人の顔を見たり、
貰った相手の笑顔を想像すると、心も浮き立ちます。
僕だって毎年のことですが、
町でほぼ日手帳の翌年版を見かけるようになると、
今年のあれこれを思い返したり、
来年に思いを馳せたりするのが恒例となっています。
（あ、ほぼ日手帳のくだりは太字でお願いします）

今年も「田口荘89号室」に
おいでいただきありがとうございました。
僕から皆さんには
手に取ってもらえるものを贈れないけれど、
穏やかで、暖かで、健康な年末年始となりますよう、
「想い」と感謝を贈ります。
また来年お会いしましょう。

2025年12月28日　田口壮

ほぼ日読者の皆様、メッセージをありがとうございます。
必ず読ませていただいております。
質問に対しては全てにお答えできず申し訳ないのですが、
今後回答できるように、必ず心に留めておきますね。
お名前のない方は、勝手に名付けさせてもらっています。
少しずつ、この場をお借りして、
ひとことお返事させてください。

●河端さん
あの緑の袋は全国どこでも喜ばれます！

●クミンさん
厳しい編集者を派遣しましょうか（うちにいます）。

●あんちゃんさん
教育委員としての知識が無さすぎて、
今は僕が教えを乞うている状態です。

●竹内さん
そんなにお褒めいただいたおかげで、
いい正月が迎えられます。

●まるいつきさん
ほぼ日の読者の皆さんが優しいので、
自分も優しくなれるみたいです。
おかげ様です。まるいつきさん、
いつもたくさんのメールとお心遣いありがとうございます。

●水谷さん
お仕事大変そうですね。人間回復のために
たまには顔中の筋肉を緩めて公園に行きましょう。

●オリックス好きの素人女さん
観戦の仕方はそれぞれでいいと思いますよ。
負けた時？ 「明日があるさ！」

●あんちゃんさん
洗濯したら怖いですね。僕は指でうっかり潰して、
何日も色が落ちませんでした。カメックスて‥‥。

●カメムシ駆除方法を教えてくださった方
（お名前ありませんでした）
だるまさんが転んだ方式で、
気づかれないようにそっと背後から
ガムテープを貼ってみます。
ありがとうございます。

●タナボタばんざいさん
３回以上話題にすると「君の好きな」になるんですね。
うちでも流行らせます。
牧師さんの礼拝中のお気持ち察します。

●関学の３つセンパイさん
荻野くんちゃんと連絡くれました。
彼は考え方のしっかりしている選手なので大丈夫ですよ！

●mwさん
実は小学生の時に、
「電車が速すぎて中の人が見えませんでした」と
作文に書いたら
「そんないい加減なことを言いなさんな！」と
先生に叱られて国語が嫌いになりました。

●くぬるさん
息子の名前が「かん」なので、「かん」「かん」と何度も書いて
タブレットに学習させ、忌まわしい文字を上書きしています。

●楠本さん
父親コーチ、お疲れ様です。
ワールドシリーズ、初めて延長戦が苦にならなかった。
それくらい素晴らしい試合を解説できて、
見ていただけて、幸せです。

●旧姓Nさん
あの時ばかりはブルージェイズ目線になってしまいました。
彼が日本から取り寄せたミズノの古いグラブを使っていて、
このグラブが大好きと言っていたので、よく話すようになり、
だからこそ「もったいないなあ」と思ってしまいました。
アーニー・クレメント　覚えてあげてください。

●大阪の平尾さん
ドジャース人気を考慮して、
七割がたブルージェイズ目線を心がけましたが、
それでもイーブンでした。
僕より詳しいドジャースファンは多いです。
なので少しでもどちらの思いも伝えたいという気持ちでした。

●きくぞうさん
ファン心理あるあるですね。それだけ思いが強いんですね。
大丈夫！見ても勝ちますよ。しっかり見届けてあげてください。

●加藤さん
本当によく野球を深くご覧になっていらっしゃいますね、
山本投手はあの時、心身ともに疲れ果てていました。
（一刻も早く休ませてあげたい）という気持ちが先走って、
あまり時間をかけて多くを質問できませんでした。
きっと次もそうするでしょう。
光のあるところに影がある。影もまた野球の一部であることを
伝える機会を頂けたことに感謝しています。

●サトウ310号室さん
今回美味しいものだらけでした。
「世界でごちそうさま」どこかでやってくれないかなあ。

●成田さん
成田さんのお言葉にヨメが嬉しくて舞い上がっています。
還暦を迎え、ちょこちょこ仕事をしながら頑張っています。

●元トロント在住さん
僕らは同じ景色に心動かされていたんですね。
冬は表面が凍る！？ ぜひ行かねば！

●還暦よろよろライダーさん
田口坂は苦楽園小学校と西宮北高校の間の道です。
「田口坂？ ハア？」と言われないように
気をつけてください。ご安全に！

●maiさん
大きな川は「旭川」ですね。
僕はリヤカーに家を作って曳き回していました。
もしかしたら一緒の空間で走り回っていたかもしれませんね。