
ふたつの対談をいったりきたり
こんにちは、「ほぼ日」の奥野です。
ご存知だと思いますけど、
ここ数ヶ月内に、我らがラヂヲ先生は
2冊の本をお出しになりました。
ひとつは『わるい猫』といいまして、
SNS時代の最新の4コマ漫画。
もうひとつは
『和田ラヂヲのここにいます』で、
往年の4コマ作品を復刻した大部の著。
それらの刊行記念として、
前者は画家のヒグチユウコさんと、
後者は旧知のゆかいな仲間たちと、
それぞれ別の日に、別の場所で、
それぞれ楽しく
おしゃべりしていただいたんですが。
あれ、あれあれあれ?
なんだか時空が歪んでいるような‥‥
パラレルワールドにでも、
まぎれこんでしまった‥‥ような‥‥。
- ──
- こちらが、第9巻。
- 幻の「ヘヴィー級」の代わりにつくった
「ぱっくり風装丁」ですね。
- ラヂヲ
- ナイキのパロディみたいにしてるんです。
ジャストぱっくり。バカだね。
- 小林
- オマージュですよ。
- ──
- ぱっくり開く観音開き仕様の表紙を
ぱっくり開けば、
そこには、
どこかの誰かのおしりがぱっくり然と。 - 読者の反応とか、あったりしたんですか。
- ラヂヲ
- ないなぁ。
- 藤江
- ないですね。
広告部には怒られたけど(笑)。
- 小林
- ネットもない、ハガキの時代だったから。
- ラヂヲ
- 知る由もなかったなあ。読者の気持ち。
- 藤江
- 掲載誌の『ヤンジャン』って週刊誌だし、
読み捨て感覚なんです。
だからファンレターもそんなにはこない。 - 子ども向けで
月刊の分厚い『りぼん』とかだと、
たくさん届くんですけどね。
- ──
- じゃあ『超ヘヴィー級』にはくるかも?
読者の声が。
- ラヂヲ
- 「表紙が厚すぎるじゃないか!」
- 小林
- この装丁は、実際にぱっくりしてみると、
全巻そろってるように見るんです。
- ──
- わはは! 1冊しか買ってなくても。
- ラヂヲ
- そうそう。
- ──
- それまでの8巻までの背表紙を
印刷してるんですね。
どういうハッタリなんですかね(笑)。
- 小林
- ロサンゼルスかどこかへに行ったとき、
たまたま買った本が、
こういう開き方の装丁だったんですよ。
- ──
- それで「ピン!」ときて。
- ラヂヲ
- パクったんか。
- 小林
- カッコいいなと思って。
こういう形態の本、見たことないなと。
できるかなあと思いながら、
制作でつくってもらったらできました。 - 観音開きっぽい表紙は、
シールで留める仕様になってるんです。
- ──
- 貼って剥がせるシールですか。
- ラヂヲ
- そうそう。
- 小林
- そのシールもたしか、
たまたま打ち合わせの場にあった本に
オレンジのステッカーがついていて、
「あ、これ、カッコいいな」と思って。
- ラヂヲ
- またパクって。
- 小林
- リミックスです。
- ──
- 初代の「ここにいます」は、
じつに偉大なシリーズだったのですね。 - 聞けば聞くほど。
- ラヂヲ
- いまじゃ無理なことばっかりだね。
- ──
- たしかに。
でも、こんなかたちで現代に蘇るとは。
- 小林
- 今回の復刻の話って、
ぼくは吉田さんからいただいたのかな。 - 最初は和田さんだったっけ?
- ラヂヲ
- 俺だと思う。
つくることになったからって言って。
- 小林
- その話を聞いた瞬間に、
「あ、ヘヴィー級だ!」と思いました。 - だって「総集編で分厚い」となればね。
「いまこそやれと?」みたいな。
- ──
- 神の啓示ですね。
- 小林
- 「あのとき却下されたのは、
このときのためだったのか‥‥!」と。
- ──
- 集英社版「ここにいます」に対する
小林さんの熱意も尋常じゃないですね。 - おうかがいしていると。
- 藤江
- だって、人生で初のコミックだもんね。
- ラヂヲ
- やっぱり、いろいろと提案したことが
実現できたから、
修業みたいな感じにもなってたのかな。
- 小林
- そうですね。
自分自身、楽しんでやってましたしね。 - 1冊1冊に
ここまで労力をかけてやったシリーズ、
他にないですから。
- ──
- なにしろ毎回ちがうんですもんね‥‥。
同じシリーズなのに、装丁が。狂気だ。
- 藤江
- 時代的には、祖父江慎さんがつくった
吉田戦車さんの『伝染るんです。』、
あの衝撃のあとくらいだったんですよ。
- 小林
- そうそう、『伝染るんです。』の前に
相原コージさんの『コージ苑』、
『伝染るんです。』のあとに、
『和田ラヂヲのここにいます』なんです。 - だから、そのころみんなで
「ああいう本、俺たちもできないかなあ。
みんなで、おもしろがってつくれる本が」
みたいな話をしてたんだよね。
- ラヂヲ
- 「集英社に足りないのは、
そういうとこじゃないか」とか言ってね。
- 藤江
- ただ、あのときって、
『コージ苑』も『伝染るんです。』も
10万部とか20万部、
最低でも売れてたんですよ、たぶん。 - だから、
これは絶対に売らなきゃいけないなと。
そこでシリアルナンバーとか、
いろいろと姑息な手段を繰り出しました。
- 小林
- そうそう(笑)。
- ラヂヲ
- 結果を出さなきゃ次はないって話でね。
- ──
- でも、みごとに売れて。
- 藤江
- 当時、日刊スポーツに
コミックのベストセラーのランキングが
月イチで発表されてたんですけど、
「ここにいます」の1巻も
なんと、第1位を取ったんですよ。 - ちなみに2位は『スラムダンク』でした。
- ──
- えっ、すごいじゃないですか!
- 藤江
- ただ、そのランキングをよくよく見ると、
「三省堂神田本店調べ」なんです。
つまり神田本店1店舗の戦いなんですよ。
それが、日刊スポーツに載ってた。 - でも当時はそんなこと知らなかったから、
おおよろこびしました。
- ラヂヲ
- 藤江くんがランキング表をコピーして、
ファックスしてくれたよな。
「和田さん、めちゃ売れてます!」と。
- 小林
- 『スラムダンク』より売れてる!(笑)
- 藤江
- 当時の『スラムダンク』って、
初版100万部とかの時代でしたからね。
- ラヂヲ
- 奇跡の瞬間風速が吹いたんだなあ。
- みんな、『伝染るんです。』と間違って
買ったんじゃないの?
- ──
- 本にも、誇らしげに書いてありますね。
「コミック部門第1位」と。
- ラヂヲ
- うん。でも、誰も信用しなかったと思う。
- それまでも
ふつうに「全米1位」とか書いてたから。
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(一方そのころ、もうひとつの時空では。
次回、
05 おしゃべり with ヒグチユウコさん
へと続く)
2026-08-24-MON
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SNSにアップされた数百本の4コマ作品を
再編集のうえ書籍化した『わるい猫』、
傑作『和田ラヂヲのここにいます』を中心に
1990年代の作品を
ラヂヲ先生自ら選定・再編集した
『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』。
どちらも、うれしい厚みで、
どちらも、どこから読んでもおもしろい。
『わるい猫』はこちらにて、
『和田ラヂヲのここにいます 超ヘヴィー級』
『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』は、
ともにこちらで絶賛販売中です!
また、ヒグチユウコさんのボリス雑貨店でも
サイン入りの『ヘヴィー級』が
まだ販売中なのを確認しました
(「新商品」のカテゴリの前から3ページ目、
2026年8月17日【月】午前10時現在)。
ちなみに‥‥ねんのためにおつたえしますと、
昨年『わるい猫』発売のタイミングで
ヒグチさんとラヂヲ先生に対談していただき、
その原稿まとめをモタモタしているうち、
ヘヴィー級&超ヘヴィー級の
『和田ラヂヲのここにいます』が出てしまい、
今回「超時間おしゃべり」と銘打って、
ふたつの対談を同時掲載することにしました。
パラレルワールドには迷い込んでいません。