ふたつの対談をいったりきたり

こんにちは、「ほぼ日」の奥野です。
ご存知だと思いますけど、
ここ数ヶ月内に、我らがラヂヲ先生は
2冊の本をお出しになりました。
ひとつは『わるい猫』といいまして、
SNS時代の最新の4コマ漫画。
もうひとつは
『和田ラヂヲのここにいます』で、
往年の4コマ作品を復刻した大部の著。
それらの刊行記念として、
前者は画家のヒグチユウコさんと、
後者は旧知のゆかいな仲間たちと、
それぞれ別の日に、別の場所で、
それぞれ楽しく
おしゃべりしていただいたんですが。
あれ、あれあれあれ?
なんだか時空が歪んでいるような‥‥
パラレルワールドにでも、
まぎれこんでしまった‥‥ような‥‥。

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202X年某月某日 おしゃべり with ゆかいな仲間たち 04 一瞬『スラムダンク』より売れた

──
こちらが、第9巻。
幻の「ヘヴィー級」の代わりにつくった
「ぱっくり風装丁」ですね。

ラヂヲ
ナイキのパロディみたいにしてるんです。
ジャストぱっくり。バカだね。
小林
オマージュですよ。
──
ぱっくり開く観音開き仕様の表紙を
ぱっくり開けば、
そこには、
どこかの誰かのおしりがぱっくり然と。
読者の反応とか、あったりしたんですか。
ラヂヲ
ないなぁ。
藤江
ないですね。
広告部には怒られたけど(笑)。
小林
ネットもない、ハガキの時代だったから。
ラヂヲ
知る由もなかったなあ。読者の気持ち。
藤江
掲載誌の『ヤンジャン』って週刊誌だし、
読み捨て感覚なんです。
だからファンレターもそんなにはこない。
子ども向けで
月刊の分厚い『りぼん』とかだと、
たくさん届くんですけどね。
──
じゃあ『超ヘヴィー級』にはくるかも?
読者の声が。
ラヂヲ
「表紙が厚すぎるじゃないか!」
小林
この装丁は、実際にぱっくりしてみると、
全巻そろってるように見るんです。

──
わはは! 1冊しか買ってなくても。
ラヂヲ
そうそう。
──
それまでの8巻までの背表紙を
印刷してるんですね。
どういうハッタリなんですかね(笑)。
小林
ロサンゼルスかどこかへに行ったとき、
たまたま買った本が、
こういう開き方の装丁だったんですよ。
──
それで「ピン!」ときて。
ラヂヲ
パクったんか。
小林
カッコいいなと思って。
こういう形態の本、見たことないなと。
できるかなあと思いながら、
制作でつくってもらったらできました。
観音開きっぽい表紙は、
シールで留める仕様になってるんです。
──
貼って剥がせるシールですか。
ラヂヲ
そうそう。
小林
そのシールもたしか、
たまたま打ち合わせの場にあった本に
オレンジのステッカーがついていて、
「あ、これ、カッコいいな」と思って。
ラヂヲ
またパクって。
小林
リミックスです。
──
初代の「ここにいます」は、
じつに偉大なシリーズだったのですね。
聞けば聞くほど。
ラヂヲ
いまじゃ無理なことばっかりだね。
──
たしかに。
でも、こんなかたちで現代に蘇るとは。
小林
今回の復刻の話って、
ぼくは吉田さんからいただいたのかな。
最初は和田さんだったっけ?
ラヂヲ
俺だと思う。
つくることになったからって言って。
小林
その話を聞いた瞬間に、
「あ、ヘヴィー級だ!」と思いました。
だって「総集編で分厚い」となればね。
「いまこそやれと?」みたいな。
──
神の啓示ですね。
小林
「あのとき却下されたのは、
このときのためだったのか‥‥!」と。
──
集英社版「ここにいます」に対する
小林さんの熱意も尋常じゃないですね。
おうかがいしていると。
藤江
だって、人生で初のコミックだもんね。
ラヂヲ
やっぱり、いろいろと提案したことが
実現できたから、
修業みたいな感じにもなってたのかな。
小林
そうですね。
自分自身、楽しんでやってましたしね。
1冊1冊に
ここまで労力をかけてやったシリーズ、
他にないですから。

──
なにしろ毎回ちがうんですもんね‥‥。
同じシリーズなのに、装丁が。狂気だ。
藤江
時代的には、祖父江慎さんがつくった
吉田戦車さんの『伝染るんです。』、
あの衝撃のあとくらいだったんですよ。
小林
そうそう、『伝染るんです。』の前に
相原コージさんの『コージ苑』、
『伝染るんです。』のあとに、
『和田ラヂヲのここにいます』なんです。
だから、そのころみんなで
「ああいう本、俺たちもできないかなあ。
みんなで、おもしろがってつくれる本が」
みたいな話をしてたんだよね。
ラヂヲ
「集英社に足りないのは、
そういうとこじゃないか」とか言ってね。
藤江
ただ、あのときって、
『コージ苑』も『伝染るんです。』も
10万部とか20万部、
最低でも売れてたんですよ、たぶん。
だから、
これは絶対に売らなきゃいけないなと。
そこでシリアルナンバーとか、
いろいろと姑息な手段を繰り出しました。
小林
そうそう(笑)。
ラヂヲ
結果を出さなきゃ次はないって話でね。
──
でも、みごとに売れて。
藤江
当時、日刊スポーツに
コミックのベストセラーのランキングが
月イチで発表されてたんですけど、
「ここにいます」の1巻も
なんと、第1位を取ったんですよ。
ちなみに2位は『スラムダンク』でした。
──
えっ、すごいじゃないですか!
藤江
ただ、そのランキングをよくよく見ると、
「三省堂神田本店調べ」なんです。
つまり神田本店1店舗の戦いなんですよ。
それが、日刊スポーツに載ってた。
でも当時はそんなこと知らなかったから、
おおよろこびしました。
ラヂヲ
藤江くんがランキング表をコピーして、
ファックスしてくれたよな。
「和田さん、めちゃ売れてます!」と。
小林
『スラムダンク』より売れてる!(笑)

藤江
当時の『スラムダンク』って、
初版100万部とかの時代でしたからね。
ラヂヲ
奇跡の瞬間風速が吹いたんだなあ。
みんな、『伝染るんです。』と間違って
買ったんじゃないの?
──
本にも、誇らしげに書いてありますね。
「コミック部門第1位」と。
ラヂヲ
うん。でも、誰も信用しなかったと思う。
それまでも
ふつうに「全米1位」とか書いてたから。

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(一方そのころ、もうひとつの時空では。
次回、
05 おしゃべり with ヒグチユウコさん
へと続く)

2026-08-24-MON

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  • 好評発売中! 重版街道爆走中の『わるい猫』 「超ヘヴィー級」とくらべたら圧倒的に読みやすい 『和田ラヂヲのここにいます(ヘヴィー級)』

    好評発売中! 重版街道爆走中の『わるい猫』 「超ヘヴィー級」とくらべたら圧倒的に読みやすい 『和田ラヂヲのここにいます(ヘヴィー級)』

    SNSにアップされた数百本の4コマ作品を
    再編集のうえ書籍化した『わるい猫』、
    傑作『和田ラヂヲのここにいます』を中心に
    1990年代の作品を
    ラヂヲ先生自ら選定・再編集した
    『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』。
    どちらも、うれしい厚みで、
    どちらも、どこから読んでもおもしろい。
    『わるい猫』はこちらにて、
    『和田ラヂヲのここにいます 超ヘヴィー級』
    『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』は、
    ともにこちらで絶賛販売中です!
    また、ヒグチユウコさんのボリス雑貨店でも
    サイン入りの『ヘヴィー級』が
    まだ販売中なのを確認しました
    (「新商品」のカテゴリの前から3ページ目、
    2026年8月17日【月】午前10時現在)。

    ちなみに‥‥ねんのためにおつたえしますと、
    昨年『わるい猫』発売のタイミングで
    ヒグチさんとラヂヲ先生に対談していただき、
    その原稿まとめをモタモタしているうち、
    ヘヴィー級&超ヘヴィー級の
    『和田ラヂヲのここにいます』が出てしまい、
    今回「超時間おしゃべり」と銘打って、
    ふたつの対談を同時掲載することにしました。
    パラレルワールドには迷い込んでいません。