
ふたつの対談をいったりきたり
こんにちは、「ほぼ日」の奥野です。
ご存知だと思いますけど、
ここ数ヶ月内に、我らがラヂヲ先生は
2冊の本をお出しになりました。
ひとつは『わるい猫』といいまして、
SNS時代の最新の4コマ漫画。
もうひとつは
『和田ラヂヲのここにいます』で、
往年の4コマ作品を復刻した大部の著。
それらの刊行記念として、
前者は画家のヒグチユウコさんと、
後者は旧知のゆかいな仲間たちと、
それぞれ別の日に、別の場所で、
それぞれ楽しく
おしゃべりしていただいたんですが。
あれ、あれあれあれ?
なんだか時空が歪んでいるような‥‥
パラレルワールドにでも、
まぎれこんでしまった‥‥ような‥‥。
- ──
- ここは……いったい何ですか。この部分は?
- ラヂヲ
- 人生を豊かにしてくれる部分かな。
- ──
- 生まれてはじめて見るカタチなんですけど。
- ラヂヲ
- でしょうね。
中身の漫画の部分は「ヘヴィー級」と同じです。
【左】『和田ラヂヲのここにいます 超ヘヴィー級』(税込18,000円/限定100部)【右】『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』(税込5,500円)
- ──
- なるほど、つまり
人生を豊かにしてくれる部分をつけたのが、
「超ヘヴィー級」というわけですね。
- ラヂヲ
- そう。前と後ろにね。
- ──
- ぼくらは、この部分を楽しめるかどうかが、
試されていると。 - 何でも、過去の先生の名作
『和田ラヂヲのここにいます』の内容を、
時代に合わせるかたちで
アップデートされたと聞いておりますが。
- ラヂヲ
- はい、中身もですけど、
当時「ファックス入稿」していた原稿を、
本物の「生原稿」からつくっています。
- ──
- はい、どこかに書いてあるのを見ました。
「きれいな和田ラヂヲ」と。
- 小林
- そうです。だから、ここにも「4K」と。
- ──
- 解像度の高い和田ラヂヲ!
この4Kとは何かな、4コマのことかなと
思ってましたが、
そんなダブルミーニングでしたか、
デザイナーの小林さん。 - サイズ感も、とんでもないですね。
ニューヨークの自由の女神像が持っていても
おかしくないレベルです。
- ラヂヲ
- おしゃれなテーブルの上に置いててもいいね。
「これは何ぞや」と。
- ──
- 何ぞや感はあふれんばかりですよ。
こちらが、限定100部。
- 吉田
- おかげさまで、だいぶ買っていただきました。
在庫僅少です。
- ──
- えっ。ぼくが買っちゃダメですか!?
- ラヂヲ
- いいよ。1万8000円もするけど(笑)。
- ──
- 買いますよ! だって重版不可能でしょうし。
この仕様で、もう一回つくるとか。
- 吉田
- そうなんですよ。
- ラヂヲ
- いきなり転売しないでくださいね。
- ──
- しないですよ!
- 手塚治虫さんのとんでもない三部作をはじめ
ヤバい本をつくりつづけてきた
吉田さんの888ブックスさんですけど、
小林さん、
さすがにタイヘンでしたよね、これつくるの。
デザイナーの小林満さん(左)
- 小林
- はい。苦労しました。
ぼくらというより主に印刷所の人がですが。
- ──
- 印刷所のお仕事という感じがしませんもんね。
- 吉田
- 表紙と裏表紙の厚みを出すのに合紙していて、
扱えるマックス6枚を重ねてます。
- ラヂヲ
- マッドマックスです。
- ──
- 狂気の最大限(笑)。
- あらためてなのですが、今回どうして、
このような代物がうまれてしまったのですか。
- ラヂヲ
- 吉田さんから
「『ここにいます』は復刻してないんですか」
と聞かれて、
「ええ、してないんです」と答えたら、
「お宝が眠ってるじゃないですか」と言って。
「ぜひ、出したい」と。
断る理由は何にもないので「よろこんで」と。 - たしか、あれは富山の夜だったかな。
- 吉田
- 富山でした。
- ラヂヲ
- 大竹伸朗さんの展覧会に一緒に行っていて、
その夜の飲み会の席でね。 - その富山の夜がアツかったんで、
本も、ここまで厚くなったのかもしれない。
- ──
- それにしたって厚すぎないですか。
- ラヂヲ
- みんなの思いの丈が、それだけね。
幸いなことに原画はうちに残っていたので。
- ──
- 松山から東京へファックス入稿だったのが、
思いがけず幸いしたということか。 - 散逸せず、手元に生の原画が残った‥‥と。
- 小林
- 当時、原稿を編集部へ送るときって、
原稿を直接ファックスに通してたんですか。 - それとも、いったんコピーしてから?
- ラヂヲ
- 原画を通してた。最初はコピーしてたんだ。
詰まったらヤバいと思って。 - でも、だんだん送るのが上手くなってきて。
- ──
- 上手くなるんですか、そこ(笑)。
- ラヂヲ
- あのね、やっぱり人間、コツをつかむから。
- 取材で海外へ行ったときも、
現地のホテルから送ったりもしてたんだよ。
ロサンゼルスとプエルトリコかな。
ホテルのフロントの人に頼んだら、
とりあえず見て、「アハッ」って言ってた。
- ──
- つまり「何だこれは!」と?(笑)
- ラヂヲ
- こんなものを、わざわざ国際電話料金でと。
- まあ、そんなことをしながらつくっていた
「ここにいます」は9巻出ていて、
毎回毎回、装幀をガラッと変えてたんです。
- 小林
- そうそう。そのつどテーマを決めてました。
1巻目は「和風」で‥‥。
- ラヂヲ
- 最後が「ぱっくり」かな。その9冊プラス、
『ハロー!和田ラヂヲ』などからも足してます。
最終巻のテーマは「ぱっくり」
- ──
- そうやって、
「ヘヴィー級」&「超ヘヴィー級」が爆誕。 - そのあたり、888ブックスの吉田さん?
- 吉田
- ハイ、はじめは「ここにいます」だけで
考えていたんですけど、
だんだん話が膨れていってしまいました。
- ──
- 結果、本もこーんなに膨れちゃって。
- 吉田
- これでも、
令和のコンプラ的に厳しそうなのを抜いて、
オッケーなものだけに絞ってます。
- ──
- つまり、1点の曇りもないカラダとなって、
誰もが安心して読める‥‥。
- 吉田
- はい、その意味でも、きれいな和田ラヂヲ、
炎上しない和田ラヂヲ、です。 - 内容的にきれいなだけでなくて、
原画を見ると先生の描く線も本当にきれい。
トーンも細かいものを使っていたりして。
- ラヂヲ
- 修正液、ホワイトを使っていないんですよ。
なぜなら、ファックスを通すと、
届いた先ではホワイトが黒く出ちゃうから。
- ──
- そうなんですか。
- それって、マンガ家のなかでは、
ラヂヲ先生くらいしか知らない事実なのでは?
海外から国際電話料金でFAX入稿した作品
- 小林
- 当時「ここにいます」の装丁のテーマって、
1巻から「和風」「アメリカ風」
「北極あるいは南極風」「宝島風」‥‥と
毎回そのつど考えてやってきたんですけど、
最終巻の9巻が、
さっきもいった「ぱっくり」で。 - でも、当初の装丁案は
「ヘヴィー級」だったんですよ。
今日、まだ来てませんが、
集英社の編集の藤江くんと和田さんと3人で
一晩中、打ち合わせして決めたんです。
神保町の焼肉屋で焼肉を食べてから、
集英社の会議室で、朝までずっと考え続けて。
- ラヂヲ
- 「まずいな、明るくなってきたぞ」
「そろそろ決めないとヤバいんじゃないか」
- 小林
- いや‥‥たぶんあのとき、
一晩じゃなくて、たしか三日三晩かかってる。
- ラヂヲ
- そうだっけ。ネタが尽きかけてたからなあ。
- 小林
- でも、最後の最後に
「ヘヴィー級いいね」みたいなになって‥‥。
- 藤江
- 遅れまして、たいへん失礼しました!
遅れてやってきた集英社の藤江健司さん
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(一方そのころ、もうひとつの時空では。
次回、
02 おしゃべり with ヒグチユウコさん
へと続く)
2026-08-18-TUE
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SNSにアップされた数百本の4コマ作品を
再編集のうえ書籍化した『わるい猫』、
傑作『和田ラヂヲのここにいます』を中心に
1990年代の作品を
ラヂヲ先生自ら選定・再編集した
『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』。
どちらも、うれしい厚みで、
どちらも、どこから読んでもおもしろい。
『わるい猫』はこちらにて、
『和田ラヂヲのここにいます 超ヘヴィー級』
『和田ラヂヲのここにいます ヘヴィー級』は、
ともにこちらで絶賛販売中です!
また、ヒグチユウコさんのボリス雑貨店でも
サイン入りの『ヘヴィー級』が
まだ販売中なのを確認しました
(「新商品」のカテゴリの前から3ページ目、
2026年8月17日【月】午前10時現在)。
ちなみに‥‥ねんのためにおつたえしますと、
昨年『わるい猫』発売のタイミングで
ヒグチさんとラヂヲ先生に対談していただき、
その原稿まとめをモタモタしているうち、
ヘヴィー級&超ヘヴィー級の
『和田ラヂヲのここにいます』が出てしまい、
今回「超時間おしゃべり」と銘打って、
ふたつの対談を同時掲載することにしました。
パラレルワールドには迷い込んでいません。