ほぼ日刊イトイ新聞の膨大なアーカイブから、
「音楽のプレイリスト」をつくるみたいに、
ぜひ読んでほしいコンテンツを選んで紹介する、
冬休みのほぼ日恒例企画!
いつもがアーティスト別のアルバムなら、
今回はコンピレーション・アルバム風。
毎日、さまざまなテーマに合わせて
ミックスした読みもの集をお届けします。
セレクト&解説は、ほぼ日編集部の面々が担当。
冬休みのおともに、ポチポチ読んでみてください。

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5 Oh! 愛すべき、へんてこコンテンツ

「お前がやるんだよ」

このプレイリストを選ぶために、
何回も、頭をよぎったことばです。
イトイさんとミーティングをしているうちに、
ぼくたち読みものチームの乗組員は、
そのことばと何度も向き合うことになります。
いや、だって、だけど、そうは言っても。
後ろ向きなことばが口に出そうになりますが、
そんなときこそ、「お前がやるんだよ」だ。
そうだよ、おれがやらなきゃいけないんだよ。

年末のほぼ日プレイリストは本日が5日目、
今日の読みものセレクトは
ほぼ日の平野がお届けいたします。
テーマは「へんてこなコンテンツ」です。

1998年6月6日から25年+半年の間、
一日も休まないで更新を続けてきた
ほぼ日刊イトイ新聞ですから、
へんてこな企画はたくさんあります。
何をするにしても、ほぼ日がやると
へんてこなことがどこかに入るんですよね。
「やさしく、つよく、おもしろく。」の
まさに「おもしろく」がそこにあって、
そんな企画を自分も作りたいな、
と思うたびに「お前がやるんだよ」が
グサッと刺さります。ひぇーっ、すいません。
愛すべき、へんてこコンテンツを7つ選んでみました。
「お前がやるんだよ」を背負いながら言いますが、
どうかしてますよ、これを作った先輩たちは。


最初に選んだコンテンツは
「ほぼ日手帳」が誕生した、この企画。
これが一般的な手帳メーカーだったら、
2001年の話し合いや進捗報告のページって
残っていないと思うんですよ。
しかも、手帳をゼロから制作して、
この記事を更新し続けていたのが、
当時大学生のあややさんっていう。
20年以上先の未来から見ているぼくらは
評論家みたいな分析もできるかもしれませんが、
それにしたってこの丸裸な進行ぶり。

ほぼ日手帳は今年、
累計販売部数1000万部を突破して
あらためてこのコンテンツを読んだのですが、
そうか、自分たちはここからはじまったのか。
うーむ‥‥、へんてこ。

要は、会社の歯科検診なんですよ。
今でも年に一度の歯科検診はあるのですが、
最近入った乗組員から
「歯医者さん以外の場所で
歯を診てもらうのがなんだか不思議で」
という話を聞きました。
2010年のこのコンテンツは
全11回のマンガあり、茶番劇ありの
ドタバタコンテンツで、
読んでいておもしろいのですが、
虫歯が1本見つかっただけでも、
ここまでおおっぴらに、
おもしろおかしく発信できるなんて。

そうそう、歯にまつわるコンテンツといえば
「みちこですが、1週間後に親しらずを抜きます。」
これも、おもしろくて好きな企画です。
こういう乗組員の個性が出る企画は
もっとあってもいいと思うんですよね。
「お前がやるんだよ」。あっ、はいーっ。

ちょうど今の時期にぴったり、大そうじです。
地獄orアライブの
「地獄」は不要なものを置くゴミ置き場。
「アライブ」は地獄から救い出したもの。
2003年のイトイさんの言葉から
生まれたものですが、
20年経った2023年の今でも、
「地獄orアライブ」という文化は続いています。
事務所が引っ越しても、上場しても、
乗組員の数が100人を超えても継承されていて、
あたりまえのようになっているので
新入社員のみんなは理解しているのかは、謎。

イナザキさんが入社してしばらくしてからも
地獄の仕組みを知らなそうだったので、
教えてあげたんですよ。
「平野さんはぼくが知らないことを
ちょうどいいタイミングで教えてくれるから
RPGの村人みたいですね」
と言われました。いっしょに冒険してくれよ。

本当にへんてこな会社ですし、
これを中継しようっていうのもへんてこです。
週末に大そうじをしようと思っているみなさん、
どうぞ、ご家庭に地獄のご用意を。

なんの気なしに読みはじめてみたら、
思ってもみない場所へ連れて行かれる、
いいインタビューだなと思うんです。
奥野さんは巴山(ハヤマ)くんの近況を
どこまで知っていたんでしょうね。
「マンガ好きの奥野さんの友達が、
ソテツの種に水をあげ続けて芽を出した」
ということだけは知って読むのですが、
なにかが起きそうな予感があります。

読みすすめていくと巴山くんの内面が
気になっていくようになるんです。
著名人とか、人気の職業とか、SNSで話題、
みたいなインタビューと違って、
人選も、題材もへんてこなんですよね。
奥野さんが積み重ねてきた信頼があるから成り立つ、
読後感のいい読みものです。

先ほどご紹介したような
「歯科検診」や「地獄orアライブ」は
ほぼ日に長く伝わる社内の恒例行事で、
創刊11周年の記念企画として生まれた
「イべんとう」は、
乗組員みんなが参加するおたのしみ企画です。
今年もイトイさんのお誕生日に
社内だけで開催されていたんですよ。

大丸東京の地下弁当売場にみんなで行って、
2000円の予算でお弁当を買って、
その魅力を語り合うという、この企画。
イトイさんによる趣旨の説明と、
お祭りとしてワイワイ参加する乗組員。
食後の講評を読んでいると、
お買いものという作品を鑑賞しているような
気分になれるからふしぎです。
ああ、またおいしい弁当が食べたいなあ。
‥‥あ、いやちがうんだよ、
お前が企画するんだよ。

2003年の6月6日にイトイさんから届いた
「スケジュールを切ってください。
(この「切って」というのは業界用語っぽいなぁ)」
という社内メールがきっかけなんだとか。
で、そこから6月9日には募集がはじまり、
その翌日にはコンテンツがはじまっています。
こんなにスピーディーに企画がはじまり、
人の投稿に刺激されて投稿が盛り上がっていく。
ああ、当時のメールボックスを見てみたい。

ほぼ日の商品で最初に買ったのが、
この「オトナ語の謎」の本でした。
就活生だった自分にとって、
はじめて触れる社会がおもしろく思えて、
数年前に出ていたこの本を注文したのです。
そんなことしていたから、
新卒の就活は大失敗したんですけどね。

オトナ語、20年も経っているのに
意外と古びていないように感じるのですが、
会社で使われることばって
そんなに変化してないんですかね。

最後はこちら。
へんてこofへんてこ企画が
「ほぼ日刊イトイ新聞」のはじまり。
1998年6月6日、創刊の日のページを
再現したページがあるんですよ。
いまならスイスイ見られますが、
当時のインターネット環境だったら
ピーガラガラからはじめないと。
初日からずらりと並んだコンテンツ。
それぞれにオリジナルの「おさる」がいて、
「いま知ってほしいことなど」という
ほぼ日創刊当初の鉄則も書かれています。

あらゆるところで49歳のイトイさんによる
「みんなに伝えたいんだ!」という
強い動機のあるテキストが読めます。
これが今でも残っているんですから、
まだ若いぼくは、やらなきゃなぁと。


以上、平野の選ぶへんてこコンテンツでした。
きっと、ほぼ日を読んでいただいている
みなさんそれぞれに
「これこそがへんてこ企画だ」
というものがあるかもしれませんね。
そんな過去のコンテンツを思い出したら、
ぜひ検索してみてくださいね。
これまでのコンテンツが、
今でもたーっぷり残っていますから。

明日も、プレイリストは続きます。
どうぞおたのしみに〜!

(つづきます)

2023-12-29-FRI

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