昨年、一昨年とたいへん好評いただいたので、
ことしもやります、年末年始の恒例企画、
「私のほぼ日プレイリスト」。
ほぼ日刊イトイ新聞の膨大なアーカイブの中から、
「音楽のプレイリスト」をつくるみたいに、
おすすめコンテンツを選んでしまうこの企画、
今回の選者は、ほぼ日刊イトイ新聞の読みものを
編集している、10人の書き手の乗組員です。
ということで、3年目のテーマは「自薦」!!
24年のほぼ日ヒストリーの中から、自ら担当した、
とっておきのコンテンツをたっぷりご紹介します。
12/26(月)から1/5(木)まで11日間の毎日更新。
この年末年始に、どうぞおたのしみください。

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1 平野慎也のプレイリスト 2022-12-26-MON

ハレの日にぴったりな読みもの。

ほぼにちわ。
年末年始も「ほぼ日」を訪ねていただき、
ありがとうございます。
ほぼ日編集部の平野慎也です。
冬休みに入った「ほぼ日」がお送りする
年末年始の読み直し企画、
「私のほぼ日プレイリスト」はじまります!

3年目を迎えるこの企画、
これまではふだん私たちが
お世話になっている方々にお願いして、
コンテンツを選んでいただきましたが、
ことしはすべて「自薦」です。

「ほぼ日刊イトイ新聞」の読みものを
編集している乗組員のおのおのが、
自分で担当したコンテンツから
改めてご紹介したい読みものを選びました。
24年分もあるアーカイブからのおすすめです。
お気に入りの企画、思い入れの強い読みもの、
時間があれば読んでほしいコンテンツ、
選び方にもそれぞれ個性が出ているはずですよ。

本日12月26日から1月5日まで、
年末年始の11日間、どどんと毎日更新です。
こたつでぬくぬくしながら、
おもちが蒸されるのを待ちながら、
大掃除の手を休めながら、
初詣の長い行列に並びながら、
ごゆるりとおつきあいくださいね。

さあ、前置きはここまで。
それでは平野のプレイリストから
「ほぼ日プレイリスト」はじまりますっ!

    \パンパカパーン!/

トップバッターの大役を仰せつかったので、
ファンファーレを鳴らしてみました。
こういうのを照れもせずに鳴らせるのが平野です。
キーボードでは出しにくい
「\」も慣れた手つきで変換できます。
さて、ぼくは「ほぼ日」の読みもので
ことばやスポーツの企画に携わることが多く、
イトイさんの対談企画もよく担当しています。

ちょうどいい機会をいただいたので
過去の担当コンテンツを見直してみたところ、
「おめでたい企画」の比率が
ずいぶんと高いことに気づきました。
ほぼ日手帳も担当しているからなのか、
「新年おめでとう」「発売記念」「初対面」
「ハッピーバースデー」「◯周年お祝い」
みたいなことばかりなのです。

以前、編集部の先輩である永田と、
そのことについて話していました。
日常に「ハレ」と「ケ」があるように、
読みものにも「ハレ」と「ケ」はあって、
平野の担当は「ハレ」ばかりではないか、と。

そうだそうだ、たしかに平野ってやつは
ファンファーレを鳴らしがちだ。
でもほら、これからは年末年始ですよ。
きのうまでメリークリスマスだった街にも
門松やしめ縄が飾られて、
「ハレ」な気分になりつつありませんか。
まだ年内の仕事が納まっていない方も、
紅白歌合戦の曲順を調べてみたり、
おもちは何個にしようとか考えたりしても
よいのではないでしょうか。

ということで、どれを読んでもカロリー高め、
「ハレの日にぴったりな読みもの」9個です。

こちらの対談は、ぼくがほぼ日に入社して、
はじめて編集したイトイさんの対談企画です。
「ほぼ日手帳2016」の発売記念イベントで
作詞家の松本隆さんを迎えてのトークでした。
松本さんとイトイさんは
同世代で共通の知人も多いのに、
ここが初対面という奇跡のめぐり合わせでした。
ふつう、トークショーの前って
打ち合わせとかすると思いますよね。
なーんにもしないんです、ほぼ日。
びっくりしましたよ、20代の平野は。
そんな、どう転ぶかわからないトークショーに
ポンと新人を寄越すほぼ日、おそろしい。
松本隆さんと妹さんのランドセルのエピソードが
いま読んでもいいなあと思います。

 

2016年、さる年の新春企画です。
京都大学総長でゴリラの権威・山極寿一先生を
お迎えしての対談でした。
「ほぼ日」の受付にいるゴリラを
山極先生の隣に座るように連れてきて、
社内のありったけの木を会場に並べたところ、
こちらの下心が見事に伝わって、
「このゴリラがマウンテンゴリラである理由」
という解説からはじめてくださいました。
おめでたい話は、おめでたい場づくりから。
正月らしい話は特にしていないのですが
山極先生はどんな話でも
ゴリラの話につなげてくださるので、
この日をきっかけに
ぼくもゴリラが好きになりました。
ちなみに、この対談の第7回で、
ほぼ日の行動指針である
「やさしく、つよく、おもしろく」という
ことばが初登場しています。

2015年のラグビーワールドカップで
イトイさんがテレビでたまたま観たという、
南アフリカからの大金星。
そこから「にわかラグビーファン」の企画が
はじまって、もう7年が経ちました。
「RUGBY NIWAKA DE GOMEN」グッズや、
観戦イベント、五郎丸歩さんとの新春対談
『Number』とつくるラグビー特集号もありました。
あれこれと立体的に展開されていき、
「プロデューサーとしての糸井重里」を
間近で体感させてもらったのがラグビーです。
「ほぼ日」にとっての中竹竜二さんは、
ラグビーを噛み砕いて教えてくださる先生です。
中竹さんに教わった観戦ポイントには
知的なおもしろさと動物的な本能があって、
素人のぼくらが「おもしろいなあ!」と
感じたことがそのまま反映されています。
2023年はフランスでのワールドカップですね。
「にわか」の初心が凝縮されたこのコンテンツは、
ワールドカップに向けての準備運動におすすめです。

 

福山雅治さんが主演を務めた映画
『SCOOP!』(大根仁監督)のために
イトイさんが書いたキャッチコピー、
「ごめん。馬鹿で悪かったな。」がきっかけで
実現した対談企画です。
福山さんのラジオにゲスト出演をしたので、
ホストは質問役になってしまいがちですが、
そこは、さすがの福山さん。
ただのインタビューではなく、
福山さんの人生観・仕事観も凝縮されていて、
ICレコーダーを握りしめているだけの平野は
クラクラしてしまいました。
ついでの余談ですが、あれから6年、
この収録日からぼくは福山さんの真似をして
風呂上がりにT字ワイパーで掃除しています。

 

ほぼ日の「おちつけ」という商品は、
2019年から販売をはじめました。
デビューに合わせて「おちつけ」の書を手掛けた
石川九楊さんとの対談コンテンツ
明石家さんまさんに
「おちつけ」を届けに行くコンテンツなど
盛りだくさんだったのですが、
こちらの座談会は振り返る機会も
少なそうなのでよろしければどうぞ。
この座談会の参加者は、
「マイ フェイバリット おちつかない同僚」
というメンバーだったので、
集まって話せたのもいい思い出です。

 

雑誌『Sports Graphic Number』の
1000号を記念したイベントを、
渋谷パルコで開催する予定だったんです。
過去1000号の表紙を並べたり
歴代の編集長の言葉があり、
競技者や監督などのトークショーがあり、
雑誌のアーカイブも座って読めるという
スポーツ好きにはたまらない
空間をつくろうとしていたんです。

ところがです、新型コロナウイルスが
流行しはじめた時期と重なってしまい
イベントそのものが中止になってしまいました。
展示に向けた制作物を作って、
「あと少しで全部が報われるぞ!」という時期に
イベントどころか外出もできなくなりました。
落ち込みました。
日の目を見ることもないのか、と。
そこから「オンラインミュージアム」という
かたちを変えて、できることをしました。

藤田さん、近藤さん、榎本さんは、
トークイベントでご登場いただく予定だった
スポーツカメラマンのみなさんです。
スポーツの写真に言葉が組み合わさって、
『Number』ができています。
いまではもう通巻1064号にもなっていますが、
今度はまた違ったかたちで
ごいっしょできるとうれしいです。

 

『Number』の1000号をお祝いする企画の
締めくくりが、この企画でした。
松岡修造さんが「ほぼ日」にいらっしゃるなら、
と気合を入れて特設ステージを整え、
乗組員の観覧も盛大に募集して、
マイクのテストや動画での収録もして、
写真は『Number』のスポーツカメラマン座談会に
出演いただいた近藤篤さんに依頼をして、
準備万端でお迎えしようとしたんです。
そう、準備していたんですよ。

ところが修造さん、ヘアメイク中にも関わらず
髪にワックスをつけたまま立ち上がり、
パリッとキマったコナカのスーツ姿で
執務スペースをずんずんと歩いていきます。
「きみたち、『ほぼ』なの?」
「『ほぼ』ってる? 『ほぼ』ってる?」
と語りかけながら進んでいく修造さんを
平野は走って追いかけているわけですが、
頭の中では「ここもコンテンツにしなきゃ」です。
考えていたプランは消え去ったのですが、
社内のみんなが、一気に惹き込まれました。
そんな修造さんのお話を聞きながら
ずっとタイトルを考えていました。
「松岡修造のポジティブ道」
修造さんの手書き文字をいただきました。

 

秀島史香さんとイトイのこの対談は、
ほぼ日手帳2019の発売記念イベントでの
トークイベントでした。
秀島さんの話題の振り方って、
さすがラジオDJということもあって
どこをとっても明るいんです。
秀島さん本来のチャーミングさと
好奇心旺盛な性格もあるのですが、
銀座ロフトの会場の雰囲気がよかったんです。

じつはこの日、
東京に大きな台風が上陸しかけていて
イベントの開催もピンチでした。
そのため、お客さんも集まるかどうか。
用意していた席は無事に埋まりましたが、
その日の銀座ロフトには全然お客さんがいなくて、
トークの会場だけが賑わっていました。
おかげさまで会場に一体感が生まれて
「こうして集まってくれたみんな」が
ひとつのチームとして場ができました。

 

元プロ野球選手、山本昌さんへのインタビューです。
プロ野球界で数々の最年長記録を持つ
「レジェンド」のお話をうかがいました。
外見や投球スタイルからは
「おちついている人」と思われがちな山本昌さんは、
じつはめちゃくちゃ緊張する人でした。
投球する日のメンタルや、
現役最後の引退試合の話をうかがっていると、
ただ野球を観るだけのぼくにも
緊張が乗り移ってくるような感覚に陥りました。

ひとつだけ絶対に聞こうと決めていたのが
「野球の神様」のお話でした。
抽象的な話で、人によって価値観も異なるだけに、
現役32年の記録を持つ山本昌さんが話すと、
そこには強い説得力がありました。

このインタビュー、
「おちつけ」という商品とは直接関係ないのですが
おもしろいお話が聞けて大満足でした。
ほぼ日の「おちつけ」はとても独特な商品で、
おちついている人、おちついていない人、
どちらのお話も聞けてしまうんです。
今後も「おちつけ」を建て前に、
おもしろいことができたらと思います。

(つづきます)

2022-12-26-MON

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