
インターネットのあらゆる場所で
ヒットを連発するオモコロが、
新しい事業「オモコロ出版」を始めます。
Webメディアのオモコロがなぜ、
いま紙の本をつくるのでしょうか。
そもそもオモコロはどんな環境で、
おもしろコンテンツを
生みまくっているのでしょうか。
気になる、気になりすぎるということで、
オモコロを運営する
株式会社バーグハンバーグバーグ社長の長島さんに
お聞きしました!
長島さん、オモコロ出版ってどんな事業なんですか?
この授業の動画は、
「ほぼ日の學校」で全編ご覧いただけます。
- ──
- 長島さんが社長をされている
株式会社バーグハンバーグバーグでは、
オモコロというメディアを
運営されています。
もともとWebメディアとして始まった
オモコロですが、いまはYouTubeなど、
いろんな分野で活躍されていますね。
- 長島
- ありがとうございます。
- ──
- そんなオモコロが、
出版事業「オモコロ出版」を
始めると聞いて、おもしろそう、
ぜひお話をうかがいたいと思い、
スッとご依頼をしたら、
スッと受けていただけました。
ありがとうございます。
最初に、自己紹介から
お願いしてもよいでしょうか。
- 長島
- よろしくお願いします。
株式会社バーグハンバーグバーグの
代表をしております、長島と申します。
オモコロは、ゆるく笑える
漫画や記事といったWebコンテンツが
更新されるメディアです。
去年、20周年を迎えたので、
人によってオモコロと聞いて思い浮かぶ
代表的な記事がけっこう違ったりします。
ぼくの場合は「船の上で謝罪会見をすれば
イカが釣れるんじゃないか」
という検証記事が、最初に思い浮かびます。
- ──
- フラッシュを焚くから(笑)。
- 長島
- そうそう。
だから、イカが光に
寄って来るんじゃないかって‥‥
あとは「外科医さんが手術道具を使ったら、
サンマをキレイに食べられるんじゃないか」とか。
そういう、ほんとに誰の得にも
ならないような記事を載せています。
- ──
- (笑)
- 長島
- めちゃめちゃ労力をかけて
しょうもない検証をするというのは、
オモコロらしさだと思っています。
そんな記事のなかに、大ヒットとなった
『変な家』のようなものも
たまに混ざっています。
そんなメディアですね。
- ──
- 人気作
『本を読んだことがない32歳が
はじめて本を読む』も、
オモコロ発の本なんですよね。
- 長島
- はい。かつ、著者ふたりは
バーグハンバーグバーグの
社員でもあります。
みくのしんというライターが
珍しいリアクションをする人で、
しかも本を読んだことがないということに、
もうひとりのライター、
かまどが目をつけて、
おもしろく読みやすい本ができました。 - ぼく自身が働くのは、
バーグハンバーグバーグで6社目なんです。
もともとはアナログレコードの販売店
などにいました。
ひょんなことから、
ニコニコ動画のドワンゴに転職し、
そこからネット業界のいろいろな会社で
プロモーションなどを担当し、
いまに至ります。
- ──
- それまでは、「社長」というお仕事は
なさっていなかったんですよね。
- 長島
- そうです。
広告の営業職や企画職をしたり、
ライセンスの事業に携わったり、
さまざまな職種を転々としてました。
- ──
- バーグハンバーグバーグで、
社長になられたきっかけはあるんですか。
- 長島
- 前の社長が退任したタイミングで‥‥
まあ、消去法ですかね。
- ──
- あはははは。
- 長島
- うちの会社は、
おもしろいものを考えたり
つくったりするのが好きなクリエイターが
多いんですが、計算が得意な人は
あんまりいなかったんです。
そこで、消去法でぼくが選ばれたところが
大きいです。
- ──
- 計算力で選ばれたんですか(笑)。
長島さんのご著書『センスは5%』では、
オモコロというメディアを運営するうえで、
これだけ「当たり前のこと」をやってるよ、
ということが書かれていました。
- 長島
- めちゃくちゃおっしゃる通りです。
- ──
- あまりにも「当たり前」のことが
書いてあって。
「いま、これだけ大きいメディアを
つくるなら、こんな飛び道具があるよ」
といったことは
一切書いていなくて(笑)。
- 長島
- まさに、そうなんですよ。
- ──
- 当たり前のことを淡々とできるのが、
長島さんなんですかね。
- 長島
- そうだと思います。
ネット業界の社長というと、
突飛なことをしなければいけない
イメージがあるかもしれませんが、
ぼくは当たり前のことをやってきた結果、
いまのポジションにいたんです。
そのことを知って安心していただきたいな、
という気持ちがありました。
- ──
- 読んで、この本に書かれている
当たり前のことを、オモコロのような
おもしろい集団のなかで実践すると、
こんなに効果が出るんだという
驚きもありました。
長島さんが社長となって
全体を仕切る前のオモコロでは、
「みんな、電話は取らないようにしてた」
そうですね。
そのころといまを比べると、
長島さんがされたことは「当たり前」でも、
社内には大きな効果が
あったんじゃないかなと思います。
- 長島
- いや、もう、革命を起こしたような
もんですよ(笑)。
ぼくが入る前、弊社では
電話を取らなかっただけじゃなくて、
会議っていうものがなかったので。
- ──
- 会議が(笑)。
- 長島
- そこでぼくは、ちゃんと「会議」
というものを‥‥
ほんとにね、ここで改まって
お話しするようなことじゃないんですけど。
- ──
- いやいや、大事なことです。
その、電話を取らなかった時代は、
コンテンツ依頼の電話なども
取らなかったんですか。
- 長島
- そうなんですよ。依頼の電話に出たら、
その仕事を担当しなければ
いけなかったから、
みんな電話出なくなっちゃって(笑)。
だからぼくは
「電話に出た人を担当にするんじゃなくて、
担当は順番で回すから、
いったん電話には出て」
「いったんメールも返して」
みたいなことを言いました。
- ──
- 担当制にしたんですね。
- 長島
- そうです。
それまではみんな、向いていない仕事まで
「電話を取ったから」と
担当していたんですよね。
なので、クリエイティブが得意な人と、
お客さんと話すのが得意な人などで
担当を分けて、「組織」をつくりました。
- ──
- だからこそ、
才能がならされるんじゃなくて、
特徴的なライターさんはそのまま
個性を生かしてプロのお仕事ができる環境に
なったんですね。
ご本には
「クセのあるライターさんもいるなかで、
どんなふうに働いてもらうんですか」
という質問に対して
「相手を木村拓哉のように扱う」と
書いてありました。
- 長島
- そうですよ、もう丁寧に丁寧に。
ぼくはキムタクが大好きで、
キムタクに「あれやれ、これやれ」とは
言わないと思うんですね。
きっと「申し訳ないんですけど、
これやってくれませんか」というふうな
コミュニケーションを取ります。
そこで、誰に対しても、
相手がキムタクであるかのように
接することを心掛けています。
- ──
- それは、ライターさんに限らず、
全員に対して。
- 長島
- そうです。
たとえば、経理担当の方が、
バーグハンバーグバーグには
一昨年に初めて入ってくれたんですよ。
それまではぼくとかがやっていて。
- ──
- えー?!
- 長島
- つまり、いわゆる一般の会社で
当たり前のようにある仕事も、
うちの会社ではオンリーワンなんです。
ほんとに整理整頓みたいなことを
やらないやつらばっかりなので。
- ──
- あはははは。
- 長島
- そこに、たとえば掃除ができる人、
経理ができる人がひとりでもいると、
その人はもうプロフェッショナルで、
貴重な存在なんです。
なので、丁寧に丁寧に接しております。
- ──
- それぞれが「誰もできなかった仕事を
やってくれる人」なんですね。
- 長島
- そして、やっぱりうちの雰囲気を
受け止めてくれる人じゃなければ、
「入りたい」とも思わないでしょうし、
ぼくらもそういった方に入ってほしいと
思っているので、
一緒に働いてくれる人のことは
心からすごいと思っています。
- ──
- 外から見ると、いろんな個性の
ライターさんがいらっしゃる会社を
まとめ上げる社長というのは、
「辣腕のプロデューサー」
みたいなイメージがありましたが、
そんな感じではないんですね。
- 長島
- ないですね。
個性をまとめているつもりはないです。
どんなにおいしい案件をいただいても、
やっぱり社員やクリエイターの気持ちが
乗らないと、
けっこう断っちゃったりもします。
そのような意味では、
自分たちのペースでやってますね。
- ──
- ご著書や動画から
長島さんのお人柄を拝見すると、
社長という立場でもまったく
えらそうではないのが印象的でした。
「えらそう」と思われるのも、
「おもしろくない人」と思われるのも困る
という、難しい立場ですよね。
- 長島
- そうなんですよ。
えらそうだと思われたら、絶対損なんです。
やっぱり、生意気なやつ
推したくないじゃないですか。
しかも、ぼくって「オジ」じゃないですか。
オジで生意気なやつって。
- ──
- オジ(笑)。
- 長島
- おもしろい人と思ってもらえたら
それに越したことはないですけれども、
自分でおもしろい人を演出しても、
ちょっと見てられないと思いますし。
天然でおもしろい人を
やれたらいいんですけども、
いかんせんぼくなんかは養殖ものですから、
なかなか天然には近づけないです。
- ──
- 「これしかできなかったんだろうな」
という、天然のすごい才能を持った方も、
オモコロにはたくさん
いらっしゃいますもんね。
(明日に続きます)
2026-09-08-TUE
-
オモコロ出版第1弾が発売されます!
オモコロ出版からの1冊目として、
オモコロライターのかまどさん、
みくのしんさんによる読書シリーズの第3弾
『本が読めない34歳がはじめてごんぎつねを読む』が、
2026年9月10日(木)に発売されます。特別編として、
『変な絵』などの著者である雨穴さんと
かまどさん・みくのしんさんによる
対談も収録されています。
帯には、雨穴さん、原宿さん、
ダ・ヴィンチ・恐山さん、
ARuFaさんの4名によるコメントを掲載。
「オモコロ総出でお届けする渾身の一冊」です。
