糸井重里が監修し、企画、設定、全シナリオを手掛けた
RPG『MOTHER』シリーズ。
そのことばをすべて収録した本を
2020年12月に発売したことをきっかけに、
立ち上げたのが「ほぼ日MOTHERプロジェクト」です。
『MOTHER』にまつわるコンテンツや
アイテムをつくっている本プロジェクトのなかから、
代表的なアイテムの
つくり手のお話や現場のようすをお伝えします。

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MOTHERのひがさ #02 宇宙や医療など、先端素材をつくる東レならではの傘。

 
レーシングカーにも使われるカーボンで、傘を。
──
骨がカーボンファイバーっていうのも、
この日傘のポイントなんですよね。
カーボンファイバーっていうのは?
山口
カーボンは非常に軽量(鉄の1/4)で、
高弾性率、錆びない。
複合材にすることで
しなりが生まれますので、
傘にはそうとう適した素材です。
今回の傘ではカーボンを
手軽に体感いただきたかったので、
東レのカーボンは
使っていないんですけども(笑)。

──
強度もある?
山口
強度もありますね。
カーボンも東レが独自に生み出した素材です。
1971年に初めてパイロットプラント、
小さな生産設備を動かしたところから歴史があって。
──
パイオニアなんですね。
普通だと何に使われているんですか?
山口
身近なところだと、
釣り竿とかゴルフのシャフトとか。
自転車のフレームも
カーボンでできてるものが増えていますね。
ちょっと高い自転車ですけどね。
それから、有名になったのは飛行機の機体。
機体の胴体部分とか
羽の部分の材をカーボンにしてますね。
──
軽くて丈夫で、っていうことですか?
山口
そうですね。
今、軽くて強度が高いものっていうと、
真っ先にカーボンが出てくるような感じですね。
だからロボットのパーツとか自動車のパーツとか、
最たるものはレーシングカーとか。
──
いろんなものに加工できるんですか。
山口
そうですね。
少し細かい話になりますが、
カーボン繊維そのものや、
その繊維でできた織物などに樹脂を含浸させ、
その状態で熱とか圧とかを加えて成型していく。
その成型物で必要な個所の強度を出していきます。
──
伝統工芸、漆の技法に乾漆ってありますよね。
漆を浸した生地を型に貼って成形して
仏像を作ったり、同じやり方でお椀も作る。
すごく軽くて丈夫で。
ちょっとそれを連想しました。
山口
ありますね、確かに。
考え方はとても似ていますね。
──
強い風が吹いても耐えられるいうことですね?
山口
カーボン骨だとしなる分、
受けた力を逃がすことができるんで有利です。
一方で、力が逃げにくい金属製の骨だと、
つなぎ目などの弱い部分に力が集中して、
曲がったら、曲がりっぱなしになってしまうんですけど、
カーボンやグラスファイバーは、ポヨヨーンとなる。

 
日々の研究開発は、宇宙にも、傘にも。
──
これ、骨の部分って全部カーボンなんですか?
山口
はい、骨とシャフト部分は全部カーボンです。
──
そのカーボンという素材を最初に作った、
開発したのが東レなんですね。
山口
炭素繊維の量産化に始めて成功したのが東レ、
ということですね。
──
なるほど、カーボンファイバー、
日本語にすれば炭素繊維。
もとは石油ですか?
山口
石油由来と言ったほうがいいでしょうね。
アクリル系の樹脂でできた繊維を焼いたもの。
──
焼く?
山口
アクリル系繊維を高温で炭化させています。
私は炭素繊維の専門家ではないので、
原理や製造方法の厳密な説明となると荷が重いんですが、
改質が起きてるんだと思いますね。
──
はあ〜。
それで丈夫になる。
山口
東レってもともと繊維の会社ですから、
人造繊維をたくさんやってるんですよね。
レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル…。
その中のアクリルの技術を転用していった、
それが炭素繊維です。
その技術を作っていったのが東レなんですよね。
──
そういう発明? って、
どうやって気づくんでしょうね。
すごいですね。
山口
化学屋なんです、東レって。
研究や実験というのが東レのベースにあって。
──
今でも研究開発には力を入れてらっしゃる?
山口
東レって、毎年採用する人間の中でも
理系出身者の割合がかなり高いんですよ。
実際、僕らの世代は理系比率のほうが高かった。
そういう社員たちが研究施設や工場に行って、
いろんな研究や生産に携わってるんです。
今も当然、変わってないですね。
日本にも、世界中にも研究機関施設や工場がありますし、
みんなそれぞれに、日々、研究。
そして、何よりも安全第一。

──
すごいですね。
今アルテミス計画が盛り上がってますけど、
何かそちらでも活躍しそうですね、東レさん。
山口
アルテミス計画の機材みたいなものには、
かなりカーボンが使われてると聞いています。
部品でね、部品で使われてるはず。
──
東レさんは宇宙に関わるような
研究開発もやっているんですねえ。
そして、東レのグループ会社のメーカー商社が
東レインターナショナルさんですが、
商社が傘も作って、
一般の消費者に向けて販売するって、
すごく珍しいんじゃないですか?
山口
東レは家庭用浄水器とか、
メガネ拭きなんかは以前からやってますね。
そういう一般の消費者に向けた商品を
大切にする気質は、
脈々とつづいているのかもしれません。

(つづきます。)

MOTHERのひがさ
16,500円(税込)

 

素材
・傘生地:ポリエステル100%
・シャフト:カーボンファイバー

サイズ
親骨の長さ:60cm

重さ
本体:約280g
傘袋:20g

骨の本数
8本骨

生産国
中国


※たのしみ展会場で先行販売をします。

Model:
Leo Holderman / Mika Lotta

Stylist:
Yutaka Aoki

Hair makeup:
Shoko Narita

Photographer:
Kyosuke Azuma(Styled Images)
/ Hiroyuki Oe(Product Detail)

 

生活のたのしみ展2026「MOTHERのSUMMER」には、
ニュープロダクトがたくさん並びます。

2026-05-13-WED

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