フードスタイリストの飯島奈美さんがプロデュース、
デザイナーの児玉洋樹さんといっしょにつくった
ジップエプロン、ジレエプロン、シャツエプロン。
使いやすさとかっこよさ、かわいらしさで
たいへん好評をいただいています。
肩に重さがかかりにくいので長時間着ていてラク、
ポケットやループなど実用的なアイデアがいっぱい、
着たまま外出できるエプロンらしからぬファッション性で、
家庭での用途はもちろんのこと、
料理や家事関係の仕事をしているかたなど、
プロのかたがたも仕事着として着ているんです。
このコンテンツでは、そんなプロのみなさんに、
着心地、使い心地をおたずねしました。
登場するのは飯島奈美さんの事務所
「7days kitchen」のみなさん、
東京・池袋のハンバーガーショップの長谷川シェフ、
プロの片づけ集団である
「TEAMたけまな」のみなさんです。

前へ目次ページへ次へ

02  ハンバーガーレストラン「No.18」 長谷川敬洋さん

東京・池袋駅の西口から徒歩10分、
ちょっと隠れ家っぽいエリアに、
オーナーシェフの長谷川敬洋さんが切り盛りする
人気のハンバーガーレストラン
「No.18」(なんばーじゅうはち)があります。

カウンターとテーブルを合わせて13席という
こぢんまりした店内ですが、
照明器具やドアのしつらい、壁の塗り、飾られたアートが、
気取らない、居心地のよい雰囲気をつくっています。
「がつんとしているのに品がよく、
脂っこくないからぺろりと食べられちゃう」
ハンバーガーの味のよさが評判で、
11時のオープン前から行列ができることもあるのだそう。
(毎日、売り切れ仕舞いで、夕方には閉店です。
テイクアウトはやっておりません。)

長谷川さんは1982年生まれ。
ちいさな厨房のなか、大きな身体をうごかして、
渾身でハンバーガーをつくっています。
朝はやくから出勤し下調理をすすめ、
夕方、店を閉めたあとは
翌日のための仕込みをしているという長谷川さん。
お客さまがいらっしゃる時間だけでなく、
店にいる裏方の時間にも、
ほぼ着けているのがジップエプロンです。
ハンバーガーづくりのだいじな相棒なのですね。

長谷川さんがこのエプロンを
使ってくださっていると教えてくださったのは、
デザイナーの児玉洋樹さんでした。
池袋は、学生時代から地元に近い繁華街。
ふらっと入ったのがご縁で、
ハンバーガーのおいしさにやみつきになり、
通いつづけるうちに親しくなったのだそうです。

「まず、ハンバーガーの美しさにノックアウトされて。
レタスを畳んで挟んでいるところとか、
アボカドの切り方の芸術性とかに驚いちゃったんです。
きれいなだけじゃなくて、めちゃくちゃおいしいんですよ。
パティも、牛肉の塊から筋と脂を取って、
赤身だけを庖丁で叩いてミンチにしているって、
まるでフレンチのステーク・アッシェなんですよね。
しかもソースがフレンチ仕込みで、
ほんのちょっと和のテイストもある。
とんでもなく手間がかかるつくり方だし、
その結果の味が、抜群にうまかったんです」

ちなみに児玉さんのハンバーガー好きは筋金入り。
最初に長谷川さんと仲よくなったきっかけは、
「バンズの焼き方談義」だったんですって。

長谷川さんが使っているのは有名な「峰屋」のバンズ。
ちょっとしっとりしているゆえ、
鉄板で焼くと表面は焦げても
中まで火が通りにくいのだそうです。
全体をカリッと焼くのにオーブンを使い、
しかもドアをすこし開けながら加熱して、
湿気を逃がしているんですって。

「どうしてオーブンを開けてるの? 
へえ、そんなことしているなんて、すごいですね! 
って言ったら、そんなこと訊くお客さん、
いないですよって笑われちゃった」

そんなマニアックな会話から距離が縮まり、
しかも当時の児玉さんの勤務先と、
長谷川さんが住んでいたところが近く、
「道でバッタリ会ったりしているうちに、
だんだん仲よくなっちゃって」。
長谷川さんが美大出身でファッションにも詳しく、
おたがいのInstagramをフォローするようになり、
長谷川さんがこのエプロンを「発見」してくださったとか。

「発表されたときに知って、めっちゃいい! 
欲しいなって思ったんです」
と長谷川さん。
発売を待って、すぐに購入してくださいました。

ちなみに、それまで使っていたエプロンについては
「とにかく肩が凝っていたんですよ」。
1日で少なくとも12時間ぐらい
エプロンを着けているので、
肩凝りが痛いなんてもんじゃなく、それを通り越して、
首から頭から、背中まで
バキバキになっちゃっていたのだそうです。

なるほど肩凝りって料理人共通の悩みなのですね。
プロデュースした飯島奈美さんも
そのことをまずおっしゃっていました。
(シャツ的に着るコックコートって、
肩凝りを防ぐという意味もあるのでしょうね。
そういえば日本の「かっぽう着」も!)

ファッション好きな長谷川さん、
「ふつうに服っぽいのもいいなって思って」とも。
そうなんです、児玉さんは服飾デザイナーですし、
このエプロン、服飾専門の、
立体造形が得意な縫製工場で、
洋服としてつくっているんです。

「それで、きっとこれは着け心地が違うだろうと、
購入したんです」

実際に着た感想は、
「めっちゃラク!」。
エプロンを着けているという感覚ではなく、
カジュアルな服を着ているような、自然な感覚だったそう。

長谷川さん、じっさいに仕事に使ってみてからは、
どんな感想をお持ちになりましたか。

「このエプロンって『邪魔にならない』んです。
逆に言うとこれまで着けていたエプロンって
肩凝りをはじめ、何か気になっていたんでしょうね。
このエプロンはまずそこがいい。
でもぼくにはこんなに工夫されたポケットは
使いこなせないかも? と思ったんですけれど、
じっさい着てみるとフライパンをつかむ鍋つかみが入るし、
伝票とペンもすっぽり入るから、
キッチンだけじゃなくホールの仕事にも便利なんですよ。
電話を子機で受けて、忙しいからそのままポケットに、
なんてこともあります」

ポケットに子機! なるほど。
前開きがダブルジップで、
下からも開けられる仕様についてはいかがでしょう。

「これが便利なんですよ。
ぼく、調理中にオーブンを使ったりして、
厨房の中でしゃがむ姿勢をとることが多いんです。
ふつうのエプロンだとちょっと邪魔になるところ、
これなら、ジップで下のほうを開けておけば、
すごく足さばきがいいんです」

このダブルジップのいいところを、
ちゃーんと理解して使いこなしてくださっている! 
嬉しいです。

この日、食べさせていただいた
「アボカドチーズバーガー」、
とってもおいしかったです。
長谷川さん、どうもありがとうございました。
ジップエプロン、長くご愛用ください!


profile
はせがわ・たかひろ

1982年生まれ。
武蔵野美術大学空間演出デザイン学科で店舗設計を学ぶ。
「店舗は、デザインだけでなく、お客さまが入って運営し、
初めて完成するものではないか? それを見届けたい」
という思いから、
自ら運営する店舗を持ちたいと料理人になることを決意。
和食、フレンチの店で修業ののち、
好きだったハンバーガーでのレストランの起業を決意、
東京のハンバーガー専門店で修業し、
2014年に独立、『No.18』を創業。
目標は「ハンバーガーでのミシュランの星獲得」。
デザイナーからひとこと
長谷川さんとエプロンについて語るとき、
こだわり(ネガティブな意味じゃないです)を
賞賛する意味で『ヘンタイ』という
言葉を使う私ですが、
長谷川さんはまさにその称号にふさわしい
ヘンタイ料理人だと思っています。
長谷川さんとの出会いは、
オープン間もない頃のお店(今とは違う場所でした)に
偶然通りかかり、何故か勘が働き入店したのがきっかけ。
それからのくだりはコンテンツの通りなのですが、
そんな長谷川さんが
私のデザインしたエプロンに興味を持ってくれて、
『欲しい!』と連絡いただいたときは、
素直に嬉しかったのを覚えています。
そして同時に、彼の「こうじゃなくちゃ」を
満たせるエプロンはコレしかないだろうと思ったのも事実。
厨房でも、ホールでも適応する
このエプロン自体の実用性の高さは
何も心配していなかったのですが、
美大出身の長谷川さんですから、
見栄え、というか、
「らしさ」みたいな部分を
きっと求めるだろうと思っており、
しかもそれは実際着てみないと
分からない部分だったので、少しだけ心配だったのです。
しかしながら
実際に彼がNHKの番組『激突メシあがれ』
審査員として出演し、
このエプロンを着こなしている様を見たときの
あまりの似合いっぷりに、
やはり彼にとってのエプロンはコレしかない! 
と確信しました。
それくらいこのエプロンを着た彼は
プロフェッショナルとして堂々と見えてました。
そんなジップエプロンですが、
ぼくも長谷川さんと同じ色を愛用中です。
個人的にはこのモデルのユニセックス感と
前を開けると羽織りもの的に使えるところが
とても好きです。
もしこれを読まれていて、
バーベキューや家のキッチンで使うエプロンが欲しい、
っていう男性がいましたら是非おススメしたいです。
もちろん、長谷川さんのような
食のプロは言わずもがなです。
lelillデザイナー 児玉洋樹

(つづきます)

2025-09-02-TUE

前へ目次ページへ次へ