前へ目次ページへ次へ

#44 黒猫のすきま

この漫画のもとになった投稿

保育園の帰り道、
コドモは、
ご近所の仲良しのAくんBくん兄弟と
一緒に帰る。

Aくんと手を繋いでさっさと歩き出し、
小さなBくん置いてきぼりだったので、
わたしは手を繋いでいた。

帰宅後コドモはしゃくり上げて訴えた。
「お母ちゃんは、
〇〇ちゃんのママなのに
Bくんとお手々繋いでて寂しかった」

お手伝いもたくさんしてくれて、
ごっこ遊びではいつも先生役で、
保育園でも
歳下の子達のお世話が大好きで、
急にしっかりしてきたなぁと思ったけど、
まだ生まれて数年だもんね。

ごめん、お母ちゃんが悪かった。

(春巻き/いつかの「今日のざんげ室」より

 

 

数十年前、20代のころ。
友人Aちゃんのお父さんが急逝された。

お通夜に行って帰宅すると、
狭いアパートで物音がする。

ドキドキしながらそっと入って
電気をつけると、
黒猫がニャーニャー鳴きながら
こちらをじっと見ている。

「ど、どこから入ったの?」
とか言いながら、
玄関から出て行ってもらった。

たぶん、ちょっと開けていた
お風呂の窓から入ったのかと考えながら、
少し落ち着いて黒猫の顔を思い出した。

大きな瞳が
Aちゃんの亡くなったお父さんを
思い出させた。

遊びに行くと
「いつもAちゃんと仲良くしてくれて
ありがとうね~」
と、大きな声で話しかけてくれた。

「Aちゃんとこれからも仲良くしてね」
と、最後に
伝えにきてくださったのかもしれないと、
勝手だけど思われて、一人で泣いた。

(像90/いつかの「今日のいぬ・ねこ」より

 

 

先日、友だちの息子くんの結婚式に呼ばれた。
ただの友だちではない。
14歳のころから40年あまりの友だちで、
その息子くんの出産に立ち会い、
産まれた瞬間から
ずっとずっと見守ってきた大切な息子くんだ。

結婚式の途中、
花嫁さんがお色直しの退場のときに
付き添いの人がサプライズで呼ばれていた。

弟さんと縁のある女性が呼ばれ、
女性は嬉し泣きをしていた。

そうだよね、泣いちゃうよねなんて感動していた
新郎退場のときの付き添いに、
なんと、わたしの名前が呼ばれた。

もう前に出ながら大泣きして、
付き添いながら涙が止まらなかった。

ほんとに優しい子に育ったね。
何度も何度も思い、涙が止まらなかった。

(57歳、親戚のようなおばちゃんより/
いつかの「今日のコドモ」より

 

 

家族4人布団を並べて川の字で寝ています。

長男次男は
布団と布団の間で寝るのが落ち着くそう。

長男が言いました。
一人で寝るようになったら
この気持ちいい「すきま」もなくなっちゃうんだね。
みんなでいるからできる「すきま」なんだね。

そっか、ひとつだけではできないのが「すきま」か。
家族みんなで隣り合うからこそできるそこは
君たちの安全基地だったんだね。

もうすぐ部屋を手に入れる君たちは
「すきま」を巣立っていくんだ。

その先には大きな「よはく」が待っているよ。
それはそれできっといいものだよ。

(すみえ/いつかの「今日のコドモ」より

2026-04-04-SAT

前へ目次ページへ次へ
  •  

    エピソード、募集中です。

    あなたの心のなかにある大切な思い出や
    忘れられないエピソードを
    よろしければ、メールで教えてください。

    編集部で大切に拝読させていただき、
    今日さんとも相談のうえ、
    採用された投稿は
    今日さんに漫画にしていただきます。

    あるていど「長さ」のある文章のほうが
    物語にしやすいかもしれません。
    みなさんのご応募を、お待ちしています。

    投稿はこちらから

  •  

    「今日の小ネタ劇場」とは

    2005年から連載を開始した読者投稿コンテンツです。2022年時点ですでに17年以上、「今日のコドモ」「今日のダンナ」「今日のじーばー」「今日の気になるあいつ」….などの20以上のカテゴリから、日替わりで毎日欠かさず3ネタを更新してきました。アーカイブを残していないため、その日のネタは、その日にしか読めません。2016年には、過去の傑作から選りすぐって書籍化もされました。ほぼ日に来たら、まずはここからという読者も多い、大人気のコーナーです。今日の「今日のコドモ」は、こちらからどうぞ。

    >「今日のコドモ」

  •  

    今日マチ子

    漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題となる。文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に4度選出。戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。2014年に手塚治虫文化賞新生賞、2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門を受賞。『みつあみの神様』は短編アニメ化され海外で23部門賞受賞。コロナ禍の日常を絵日記のように描いた近著『Distance わたしの#stayhome日記』が、2022年1月『報道ステーション』にて特集された。

  • 漫画:今日マチ子

    編集:奥野武範(ほぼ日)

    デザイン:杉本奈穂(ほぼ日)

    感謝:「今日の小ネタ劇場」を愛する
    すべてのみなさま