
災害が起こったとき、
私たちはどんな選択を迫られるのでしょうか。
ほぼ日乗組員9人で、
防災研究者の廣井悠先生等が開発した
「KUG(帰宅困難者支援施設運営ゲーム)」に取り組み、
災害時の行動を具体的に想像してみました。
帰宅困難者による混乱を生まないため、できるだけ
社内に人を滞留させることを第一に考えましたが、
いざ引き留めようとするとさまざまな難しさが明らかに。
強制力のある結論を出すものではないので、
ひとつの例として、乗組員たちの決断を
追っていただけたらうれしいです。
それでは、ゲームスタート!

大都市防災研究者、廣井悠先生と
SOMPOリスクマネジメント㈱が共同開発した、
帰宅困難者を受け入れ・滞留させる施設のための
図上訓練キットです。
架空の事業所のBCP要員(緊急事態発生時に、
事業継続を担うために指定された職員)として、
起こったトラブルへの対応を決めていきます。
今回は「都市で日中に地震が起こった」
という設定で取り組みました。
また、ファシリテーターとして、廣井悠先生と
SOMPOリスクマネジメントの宮田桜子さんに
進行いただきました。
- 地震発生当日の昼過ぎです。
備蓄品の食料を配り終えたところで、
心配なできごとが。
イベント③〈発災当日13:45〉
管理部人事総務課の後藤さん(社員番号110)が、
急な体調不良を訴えています。
明らかに熱があり、体がだるく、
においを感じないそうです
(感染症の疑いがあります)。
- あやや
- 7階だと、
なにかあったときにすぐに出入りできなくて
大変だから、いちばん低い2階に隔離部屋をつくる?
(ほぼ日神田ビルの1階は店舗のため、
隔離できる部屋がありません)
- かのう
- うーん。
3階の対策本部に行くとき、
必ず2階を通らないといけないから、
少し不安ですね。
- やまと
- できれば3階より上の階に隔離したいけれど、
4、5、6階には
ちょうどいい大きさの部屋がないのか。
いったん、2階に隔離するしかないかもね。 
- のなか
- 「2階に隔離部屋をつくったので、
体調の悪い人は言ってね」と、
社内にアナウンスしておこう。
- 方針
- 2階に隔離部屋をつくり、
社内にアナウンスする。
- しもー
- 7階の会議室は、
壁に沿ってソファがあるから寝られるし、
窓の開閉もできるから換気しやすいですね。
- さくま
- うん、ばっちりだと思う。
近くの病院が受け入れてくれるか、
情報を手に入れたいね。
- やすな
- たしかに。どこを見ればわかるかな?
区役所のSNSとか、かな?
- さくま
- あとは、コミュニティラジオなら
発信していそうだね。
どこで医療関連の情報が入手できるか、
事前に調べておけばよかったな。
- 方針
- 7階に隔離部屋をつくる。
医療情報の入手方法を事前に知っておくようにする。
イベント④〈発災当日15:00〉
東西線の中央駅からクマ駅までが復旧しました。
営業部営業2課の内田さん(社員番号187)と
技術部技術1課の渡辺さん(社員番号219)から
要望です。
「ペットが心配なので帰りたい」
必要な対応を検討してください。


- やまと
- いまはシミュレーションだから
引き留めようと思うけど、実際、
ペットを心配している人に
「帰らないで」って言えるかな。
- あやや
- 言いづらいね。
でも、このふたりを帰したのがきっかけで、
復旧した東西線のユーザーも全員帰ってしまったら、
電車が大変な混雑になっちゃう‥‥。
きつい役目だけど、
ここは私たちがふんばらなきゃいけないね。
- やまと
- うーーーん、そうだね、心を鬼にして引き留めよう。
- 方針
- 内田さん、田辺さんのふたりと、
帰らなくて済むように相談する。
- さくま
- もし渡辺さんの家が停電していたら、
熱帯魚の水槽の水温調整機能が
止まってしまっているかもしれない。
- しもー
- 心配だね。
- ゆーないと
- だけど、内田さんも渡辺さんも自宅が遠いし、
まだ電車が復旧してない場所だから、
歩いて帰るのは大変なんじゃないかな。
- やすな
- ほんとですね。
申し訳ないけれど、
中央駅からクマ駅の範囲内に自宅がない人は、
ひとまず社内に留まってもらったほうが、
本人たちにとっても安全そうです。 
- さくま
- 中央駅からクマ駅のあいだにある
キツネ駅やシカ駅が最寄りの人は、
徐々に帰っていいことにしますか?
- ゆーないと
- うん、何時ごろ帰すかが大事な気がする。
夜ごはんのあとだと、
会社のなかの食料が減っちゃうから、
帰ると決めた人には、
ごはんを食べる前に帰ってもらったほうがいいかも。 
- さくま
- たしかに!
- 方針
- 内田さん、田辺さんのふたりと、
帰らなくて済むように相談する。
(中央駅からクマ駅のあいだに自宅がある人は、
夕方ごろ帰ってOKとする?)。
(明日に続きます。次回、再び大きな地震が)
2025-08-19-TUE