来年2024年版の
ほぼ日ホワイトボードカレンダーのために、
本当に素敵な月の数字を描いてくださった、
絵本作家の酒井駒子さん。
描いてみてどんなふうに感じたか‥‥
というお話から、
絵のお仕事全般についての話題まで。
「毎回、何かを発見しないといけない」
というその創作論には、
とくに、しずかなすごみを感じました。
なお、東京と京都のTOBICHIでは、
今回の「数字」の原画展も開催します!
素敵なオリジナルグッズもつくりました。
ぜひ、足をお運びください。
インタビュー係は、ほぼ日奥野です。

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──
ちょっと、今回のカレンダーの話から
外れるかもしれないんですが、
酒井さんって、
絵がお好きなわけですよね‥‥
いや、当然だと思いますけど(笑)。
酒井
はい(笑)。
──
つまり、ずっと描いているんですか。
毎日毎日?
酒井
そうですね、絵本とかのお仕事って、
本当に1年とかやってたりしますし。
──
うわあ、そうか、1年もかけて‥‥。
もちろん大変だとは思いますが、
あこがれます、そういうお仕事。
酒井
いえいえ、描いている間は、
まあ‥‥いったりきたりしてるんです。
描いても描いてもぜんぜんダメだって、
そういう期間も長かったりするし。

──
そうなんですか。
酒井
その間に、挿画とかのお仕事‥‥
ちゃんと「締め切り」のあるお仕事が、
入ってきたりするんで、
1年くらいはかかっちゃうんです。
──
ぼくらのカレンダーの月の数字も、
その合間に描いてくださったんですね。
ちなみに、お仕事以外に、
ただ好きで描いたりする絵というのも、
あったりするんですか。
酒井
あんまり描かないです。
──
あ、そうですか。
酒井
はい。絵本のお仕事が、
わたしの「好きなこと」ではあるから。
でも、ときどきぜんぜん関係ない絵を
描いた方がいいのかなあ。
絵本編集者の土井章史さんの
トムズボックスで、
ちっちゃな絵の個展をやってた時期も
あるんですけど、
でも、最近はやってないから‥‥、
またやりたいなあとは思ってるんです。
──
描いても描いてもぜんぜんだめな時期、
というフェーズが、
酒井さんにもあったんですね‥‥。
でも、そうですよね。
創作って一筋縄ではいかないですよね。
酒井
この絵本、ぜんぜん終わらないな‥‥
みたいな(笑)。
描いても描いても、なかなか
最後まで行かない時期ってありますね。
暗澹たる気持ちで日々を過ごすことが、
毎回どこかでやってきます(笑)。
──
毎回! ですか。そうですか‥‥!
酒井さんの絵本づくりって、
物語がだいたい先にあるわけですよね。
酒井
ええ。
──
ようするに、「物語」というものが
最後までできている状態で、
絵を描きはじめるんだと思うんですが。
酒井
はい。他の方の絵本の場合はもちろん、
自分の本のときも、
テキスト自体は完成している‥‥
自分としては
完成しているつもりでいるんですけど。

──
でも、それでも、
なかなか先には進んでくれないもの?
酒井
テキストをつくるときにはもう、
だいたいの絵が頭の中にはあるんです。
だからまあ、物語と絵は、
ほとんど一緒にはできてるんですけど、
実際の絵に描き起こすときに、
頭の中のイメージとは
微妙な齟齬がうまれてしまったり‥‥。
──
でも、そこの、何ていうんでしょうね、
隘路(あいろ)、行き詰まりって、
いずれ「突破」できるものなんですか。
酒井
まあ、なんとかなるかなぁ(笑)。
──
おお~(笑)。
酒井
これまでは、
なんとかなってきた気がします。
でも毎回、綱渡りな気持ちです(笑)。
──
こういうときはこうすればいいとかいう
便利な方程式なんてないですもんね。
酒井
毎回、何かを発見しないといけないです。
──
それはつまり、ずっと考えていれば、
やがて「突破するアイディア」が湧くと。
酒井
いやあ、アイディアっていうほど
大げさなものじゃないような気がします。
単純に「表情が描けない」とかなので。
──
表情。
酒井
その場面に合う表情に、ならないんです。
頭の中にあるボヤッとしたイメージを、
「このアングルで」って
描こうとすると、何かがちがったり。
頭の中に描いていた構図が
まちがっていたということもよくあるし、
その間違いに気づくまでに
何ヶ月もかかっちゃったり、するんです。
──
何ヶ月! も!
酒井
はい、よくあります(笑)。

(続きます)

2023-12-06-WED

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  • 酒井駒子さんが
    「月の数字」を描いてくださった
    「ほぼ日ホワイトボードカレンダー」

    の発売を記念して、
    TOBICHI東京・TOBICHI京都の両会場で
    酒井さんの展覧会を同時開催します!

    会期は12月8日(金)~12月24日(日)。
    メインの展示は
    もちろん「月の数字」の原画です。
    TOBICHI東京では
    壁掛けカレンダー用の原画を、
    TOBICHI京都では
    卓上カレンダー用の原画を、それぞれ展示。
    ポストカードやマスキングテープなど
    今回の展覧会ためにつくった
    オリジナルグッズも販売いたします

    また、こちらのページにて

    一枚一枚、額装してお届けする
    月の数字の「複製原画」を
    数量限定で受注販売する予定なのですが、
    その現物も展示します。
    (複製原画は、酒井さんの直筆サインと
    エディションナンバー入り!です!)
    くわしくは、TOBICHI東京京都のページで。
    ぜひぜひ、足をお運びくださいね。