来年2024年版の
ほぼ日ホワイトボードカレンダーのために、
本当に素敵な月の数字を描いてくださった、
絵本作家の酒井駒子さん。
描いてみてどんなふうに感じたか‥‥
というお話から、
絵のお仕事全般についての話題まで。
「毎回、何かを発見しないといけない」
というその創作論には、
とくに、しずかなすごみを感じました。
なお、東京と京都のTOBICHIでは、
今回の「数字」の原画展も開催します!
素敵なオリジナルグッズもつくりました。
ぜひ、足をお運びください。
インタビュー係は、ほぼ日奥野です。

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──
酒井さんが描いてくださった数字って、
オーソドックスで
すごくきれいなかたちで、好きです。
酒井
数字そのものは、
戦前くらいの外国のカレンダーの数字を、
参考にしました。
イギリスだったと思うんですけど。

──
わあ、そうでしたか。
酒井
スタンプっぽくしたいなって思っていて。
わたし、年賀状を書くときに
「2023」みたいなスタンプをつくって、
ぺたっと押したりしてたので、
そういう感じでつくろうと思ったんです。
──
なるほど。その雰囲気はありますね!
酒井
でも、最初、いったん描き終えたときに
「これでいいのかなあ?」って
よくわからなかったので、
時間を置いてから
もう一回、見返してみたりもしました。
──
そうなんですね。
やっぱり「寝かす」のは重要ですか。
酒井
はい、重要だと思います。
描いてすぐにパッと渡しちゃうのは、
何か危険な感じがします(笑)。
──
ふふふ(笑)。一晩、寝て起きたら、
気持ちが変わったりとか?
酒井
そのときの気持ちでつくったものが、
あとから見返すと、
ちょっとおかしいぞみたいなことが
あったりとか、逆に、
こりゃあだめだなあと思ってたのに、
少し時間を置いたら
「あれっ? そんなに悪くないかー」
ということもあります。
──
おお、両方があるんですね。
でも酒井さんの数字を拝見した瞬間、
「あー、これ以外にはない!」
というほど、
われわれには、
バチッと来た感があったんです。
酒井
ありがとうございます。

──
ちなみに、これまで、酒井さんって
カレンダーとのお付き合いって
どんな感じでしたか。
カレンダーを使う人と使わない人が
いると思うんですけど。
酒井
使ってましたけど、
わたしは、ぜんぜん、ふつうですよ。
わたしの作業机の横に掛かっていて、
「あ、この日までに
この仕事を終わらせるんだな」って。
──
つまり「締め切り」を教えてくれる、
そういう存在だったと。
酒井
そんなに細かく書き込んでもなくて、
「あ、もうすぐだな」って(笑)。
──
これは何の根拠もないんですけれど、
酒井さんって
「締め切りをきちんと守る」
という勝手なイメージがあるんです。
締め切り‥‥守ってますか?
これが、おかしな質問であることは
重々承知のうえでですが(笑)。
酒井
はい(笑)、守るほうだと思います。
絵本の場合は時間がかかるというか、
進行が読めないので
「締め切りって、つくらなくっても
大丈夫ですか?」って、
完成したところでお渡しするのでも
いいかたちでお願いしていますが、
でも、雑誌とか、
ほかの方の本の装画とかのお仕事は、
わりとちゃんと守る方だと思います。
──
まさにそういうイメージだったんで、
よかったです‥‥っていうのも
ヘンですけど(笑)、よかったです。
酒井
はい(笑)。
──
この仕事をしてることもあって
たまに「数字」のことを考えるんですが、
不思議だなあと思うんです。
人には「好きな数字」ってありますけど、
あれもよく考えると不思議だし。
酒井
はい、わたしは「2」とか、
白鳥に似てたりしていて楽しいなあって
思うんですけど、
好きな数字って、明確な理由というより
「なんとなく好き」って感じですもんね。

──
数を表す記号のはずなのに、
何となくの「意味」を感じたりしますし、
人によっては
数字に「色」がついてたりするそうだし。
過去に描いていただいた作家さんには
「数字は、自画像みたいだ」
という感想をくださった方もいました。
酒井
そうなんですか。
──
画家の笹尾光彦さんなんですけれど、
つまり数字って、
誰にでも描けて、誰にでも読めるし、
空気みたいなもんじゃないですか。
それだけに
「自分がバレると思った」‥‥って。
酒井
なるほど。
──
「絵画表現における自画像とは、
自分をすべて出さなければ描けない。
そこに自分がぜんぶ入ってしまう。
それまで培ってきたものが、
あったとすればそのまま出るし、
何にもなかったら、
何にもないということが、出ちゃう」
って。
で、その点がまさに
「数字の場合も、同じでした」って。
酒井
へええ‥‥。
──
でも、言われてみれば、
過去のホワイトボードカレンダーの
月の数字を見ると、
モチーフは同じ「数字」なのに、
どの数字も、描いてくださった
アーティストのみなさんだなあって。
今回の数字も、
まさに「酒井駒子さんの数字」です!
酒井
そうなっていたら、うれしいです。

(終わります)

2023-12-07-THU

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  • 酒井駒子さんが
    「月の数字」を描いてくださった
    「ほぼ日ホワイトボードカレンダー」

    の発売を記念して、
    TOBICHI東京・TOBICHI京都の両会場で
    酒井さんの展覧会を同時開催します!

    会期は12月8日(金)~12月24日(日)。
    メインの展示は
    もちろん「月の数字」の原画です。
    TOBICHI東京では
    壁掛けカレンダー用の原画を、
    TOBICHI京都では
    卓上カレンダー用の原画を、それぞれ展示。
    ポストカードやマスキングテープなど
    今回の展覧会ためにつくった
    オリジナルグッズも販売いたします

    また、こちらのページにて

    一枚一枚、額装してお届けする
    月の数字の「複製原画」を
    数量限定で受注販売する予定なのですが、
    その現物も展示します。
    (複製原画は、酒井さんの直筆サインと
    エディションナンバー入り!です!)
    くわしくは、TOBICHI東京京都のページで。
    ぜひぜひ、足をお運びくださいね。