
ただいま、渋谷PARCO「ほぼ日曜日」で
絶賛開催中の「どっち?展」。
キボリノコンノさんの木彫り作品を
クイズ形式でたのしむイベントです。
ほぼ日曜日でおこなったイベントの中でも、
メディアで取り上げていただいた数は
歴代ナンバーワン!の話題ぶりですよ。
木彫り作品がもっとたのしく見られるように、
木彫りファンの糸井重里によるクイズ体験と、
キボリノコンノさんとの対談をお届けします。
「どっち?展」は3月10日(日)まで、
ほぼ日曜日でお待ちしてますね。
- 糸井
- 仏像にも木彫りのものはありますよね。
コンノさんが見るとしたら、
どのくらいの解像度で見てるんでしょう。
大昔の仏像ってデフォルメがきついじゃないですか。
- コンノ
- 自分にはできない表現だなとは思います。
- 糸井
- あ、なるほど、なるほど。
- コンノ
- ぼくの場合、見えているものを
見えたままに作るのは得意なんですけど、
自分でイメージして、ここが強いから、
ここを大きく見せるっていう
デフォルメの表現はできなくて。
- 糸井
- 仁王様が目をひんむいていたりね。
- コンノ
- よく作るなぁーと思います。
お寺とかに行って仏像を見ると、
驚きというか、感動がありますね。
こういう作り方できるんだーって。
- 糸井
- 別の人種なんですね。
- コンノ
- 自分の世界にはない表現です。
- 糸井
- この会場に並んでいるものを作ってから、
そんなに日が経ってないっていうのが、
まずはおかしいんです(笑)。
最初は2年ぐらい前ですか。
- コンノ
- 2021年の9月からなので、
2年とちょっと前ですね。
- 糸井
- コロナのおかげですか?
- コンノ
- コロナ前まで趣味で卓球をしていたんですけど、
ほんと毎日、週7でやってました(笑)。
でも、コロナで全くできなくなっちゃって、
なにか家の中でできないかなって
ずーっと探しながら生活していたんです。
ある日、家でコーヒーを挽いている時に、
コーヒー豆の質感が、木っぽいなぁって。
- 糸井
- うんうん。
- コンノ
- コーヒー豆を木で作ったら、
そっくりになるんじゃないかなというのが、
本当に最初のきっかけです。
木彫りをやるぞっていう気持ちはなくて、
やってみたら難しくなくそっくりにできて。
あ、これおもしろいなあって。
- 糸井
- そこから年月があまり経ってないのに、
いろんなことができちゃってるんだから。
そのしつこさって、なんだろう。
コンノさんに暇な時間ってないですよね。
- コンノ
- まったくないですね。
- 糸井
- ご家族の反応はどうなんでしょう。
- コンノ
- 妻は、好きにしていいよって言ってくれます。
お互いに好きなことを
好きにやるっていう感じでいたので、
ぼくが今やってる木彫りについても、
感想は言ってくれますけど、
そこに意見をする感じはないです。
- 糸井
- ああ、よかったですね。
普通こんなことをやっていたら、
つぎ込むエネルギーの分量が凄いから、
家庭を疎かにしてないかなぁと思って。
- コンノ
- (笑)
- 糸井
- だってね、この木彫りを1個作るのに、
人はただ見るだけですけど、
作ってる人にはとんでもない
プロセスがかかっていますよね。
たとえば、マカロンを作るとしても、
木をマカロンが作れる大きさに切るところから
はじまって、そこからどうするんですか。
- コンノ
- ぼくの場合、ベルトサンダーっていう
紙やすりが回転してるような機械に木を当てるので、
けっこう一気に削れていくんですよ。
ある程度近い形まで持っていったら、
そこからは本物を横に並べて、
彫刻してひたすら寄せていくんです。
- 糸井
- 刀を持っているんですか?
- コンノ
- 彫刻刀と、ミニルーターといって、
歯医者さんが歯を削るような機械で彫刻しています。
- 糸井
- AとBがニアリーイコールであるっていう
等式を作っているわけですね。
- コンノ
- そうです、そうです。
- 糸井
- ああ、わかった!
等式の魔術師なんだ。
- コンノ
- 等式の魔術師!
- 糸井
- なんかおれ、
コピーライターみたいになっちゃった(笑)。
つまり、コンノさんはイコールにするのが
すごく得意なんですね。
- コンノ
- ああ、そうなんですよ。
完成までの間に作業工程はない感じで、
ただ寄せているだけなんですよ。
- 糸井
- 形だけだったらそうでしょうけど、
色については考えなきゃなりませんよね。
- コンノ
- そうですね、たしかに。
色はなかなか一発で思い通りにはいかないです。
- 糸井
- 色の方が難しいんだ。
- コンノ
- 色は難しいです。
たとえば、本物の食パンだったら、
食パンの生地の部分って
ただ見えている色を作っても、
木彫りでは同じ色に見えないんですよ。
- 糸井
- そうでしょうね。
- コンノ
- 実際には光を通す透け感があったり、
気泡の穴がプツプツ空いていて陰影がつくので、
実物と同じ色で作っても表現できないんです。
- 糸井
- それは色じゃないんですもんね。
- コンノ
- 人間が見てる、見え方なんです。
だから、同じにしていくっていうのは、
すごく難しいんですよ。
- 糸井
- 色っていうものは、ない。
そこまでいかないとだめですね。
- コンノ
- ほんとに「ない」んですよね。
- 糸井
- つまりお前の見ているもののことを、
色と言ってるんだと。
ああ、かっこいい!
それって完全に哲学ですよ。
- コンノ
- 絵の具で描かれた色を表現するんだったら、
たぶんできると思うんですね。
でも、質感も形も違うものに
見えている色を表現すると、
塗り方や、色の濃さの調整とか、水分量とか‥‥。
- 糸井
- ひとりでそれを、
寄らないなぁと思いながら見てたんだ。
- コンノ
- どうしよう、どうしようって
いつも本当に思うんです。
- 糸井
- この場にある材料だけでは無理だから、
何かを買ってこなきゃいけないなって
思うこともあるわけですよね。
その時はその時でたのしいんじゃない?
- コンノ
- はい、たのしいですね。
最初の頃は、グラデーションが
うまくできなかったんですよ。
筆で絵の具を塗ろうとすると、
筆のタッチが出るじゃないですか。
- 糸井
- 出ますね。
- コンノ
- そうするとグラデーションの表現が
なかなか難しいんですよ。
色と色の境目が難しくて。
今なら絵の具でもなんとかできるんですけど、
最初の頃は技術もなかったんで、
できなくって、どうしようと思ってました。
絵描きの知識もなくて、
グラデーションって普段なら
どういう場面で見るんだろうなって思って、
気づいたのが、お化粧だったんです。
- 糸井
- はあー、お化粧か。
- コンノ
- 妻のお化粧を見ていると、
グラデーションがあるじゃないですか。
それって、どうやってやってるんだろうって。
道具の名前もよくわからないんですが、
アイシャドウをスポンジみたいなもので
塗っていくのを見て、これ、使えそうだなって。
お化粧品を買いに行って使ってました。
- 糸井
- なんて言う道具かもわかんないけども。
- コンノ
- いまでも知らないんですよ(笑)。
いろいろ買って試しに塗ってみて、
ここ、焼き目のグラデーションに
合いそうだなっていう塗り方をしたりして。
本当に、知識がないから
逆にできたんじゃないかなと思います。
- 糸井
- 知識があったら、
こういう時はあれを使うんだよって
答えがありますもんね。
つまり、答えのあるものっていうのは、
部品を入れたにしか過ぎなくて、
コンノさんの考えでは、部品の話をしないでくれと。
おれは寄せることだけを考えてるんだから。
- コンノ
- 手段はなんでもいいんですよ。
そこにたどり着ければ。
- 糸井
- みんな、部品で考えてるんですよね。
それは世界もそうできてますよ、今は。
(つづきます)
2024-03-02-SAT
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「どっち?展」は、3月10日(日)まで!
渋谷PARCOの8階「ほぼ日曜日」で
キボリノコンノさんの著書『どっち?』の
出版記念イベント「どっち?展」を開催中。
木彫りの作品と、本物を並べて
「木彫りはどっち?」とクイズ形式で
作品をたのしむような展覧会です。
クイズが全部で20問、合計24点満点のうち、
あなたは何点を出せるかな?
多くの方にご来場いただいているこのイベントも、
3月10日(日)が最終日です。
気になっていた方、後で行こうと思っていた方、
あと少しで終わっちゃうので、お見逃しなく!キボリノコンノ クイズ型展覧会
「どっち?展」
期間:2024年1月26日(金)-2024年3月10日(日)
場所:ほぼ日曜日
時間:11:00~20:00
備考:当日会場にて受付いたします。
事前予約制ではございません。
入場料:700円(小学生以下無料)
詳細は「ほぼ日曜日」のページで。ほぼ日のYouTubeチャンネル「ほぼベリTUBE」の
メンバーが「どっち?展」の体験レポート!
