皇居東御苑と神田の境界辺り、
平川門交差点の横断歩道を歩いていたときのこと。
道路は中央分離帯で分かれているけれど、
横断歩道と近い分離帯だけは植栽されておらず、
そこにノースポールの花が咲いていた。

小さなお花畑みたいだ。
車はビュンビュン通り過ぎて、
誰も気づかない。
いや、横断歩道を渡る人も、
ほとんどは通り過ぎるだろう。
ぼくだって偶然気づいたのだ。

神田で「あっ！」という植物を見つけたとき、
いままでは意味を探そうとしてきた。
ここに生えているのはどうしてだろう。
こういう気持ちなんじゃないのかな。
それが花なら花言葉も一緒に、
神田のまちと結びつけられないかなと。
しかし、最近はそのように考え方に、
ちょっぴり無理があるような気がしてきた。

神田の中で同じ道を歩くことが増えて、
あたらしい意味を探しづらくなってきたのだ。
この日よりも以前、
同じ横断歩道を歩いたときには気づかなかっただけで、
ノースポールの花はすでに、
咲いていたかもしれない。
次回、同じく渡ったら、
花は枯れてしまって何も感じないかもしれない。
ならば、花を見つけたことの意味よりも、
ここに咲いていた、
という事実だけで十分なのではないだろうか、と。
それ以上も以下もない、
素直なままでいいんじゃないかな、って。

というわけで、ノースポールの花は、
見つけようが見つけまいが、
撮ろうが撮らまいが、
きっとここに咲いていた。
どうしてここに咲いているのかは、
さっぱり分からない。
でも、白くて可愛らしい花だなあ。
サプライズハッピー！ 嬉しい！
という話である。