
こんにちは。ほぼ日の松本です。
私は人と暮らすことに興味があります。
でも、うまくできる自信がありません。
そこで、さまざまな形で人と一緒に
暮らしている人たちに、お話をうかがうことにしました。
最初に登場いただくのは、中学からの同級生であり、
17年間一軒家で同居しているお笑いコンビ、
カナメストーンさんです。
自分たちの信じる「おもしろい」を体現し続けるおふたり。
そのハッピーでシュールな仲の良さは、
揺るぎない覚悟と柔らかい心のもとに生まれていました。
互いを尊重しながらおもしろがる
ふたりの暮らしぶりを知れば、
誰かと一緒に生きる不安が、希望に変わるかもしれません。
- ──
- M-1決勝以降、大人気になられてから、
おうちでの過ごし方やおふたりで話すことは
変わりましたか?
- 零士
- 家で過ごす時間は減ったよね。
ドラマとかも、最近は
「1話だけ見て寝る?」って。
いままでは、ライブが終わったら、
酒飲みながら朝の4時くらいまで
ドラマ観たりしてましたけど。
忙しくなってそれはできなくなったけど、
この状況を目指してやってきたから、
生活が変化することが
イヤだというよりかは、
「カナメストーンの
第2ステージ始まったか」みたいな
ワクワクが大きいです。
「ここから俺らどうなるの?!」って、
自分たちが楽しみですね。
- 山口
- タシカニ.
- 零士
- それに、また戻ってきますよ、きっと。
いろいろ経験して、
じじいになったら絶対また、
ふたりでゆっくりする時間が来ると
思うんです。
- 山口
- 60とかでね。
- 零士
- 60とかになって、
「おお、Netflixでよ、あのドラマがよ」
とか、言ってると思います。
- ──
- 最高の未来ですね。
- 零士
- がんばった先には、
そんな楽しい未来が待ってるはず。
- 山口
- 俺らがこのまま60になったら、
すごいことだよね。
- 零士
- すごいよ、怖いよ。
いまよりなんか全然怖いよ。
怖くなりたいですね、もっと(笑)。
- ──
- おふたりは、
芸人という職業に救われたところが、
たぶんすごくあると思うのですが。
- 零士
- めっちゃあるっすね。
- 山口
- タシカニ.
- ──
- いまはセカンドステージと
おっしゃいましたが、
ファーストステージのとき、
思ったようにすぐに結果が出なかったという
期間も、ひとりよりふたりでいたほうが
ラクでしたか?
- 零士
- めっちゃラクでした。
一回も「俺らは大丈夫だ」という自信は
失ったことがないですね。
いくらライブでビリでも
「いや大丈夫、
俺らは絶対におもしろいから」って。
- 山口
- 2~3年はずっとビリだったね。
- 零士
- でも「やめよう」とはまったく
思わなかったです。
- ──
- カナメストーンというチームだから、
「大丈夫」があった。
- 零士
- チームだったのはデカいと思います。
- 山口
- 「俺らがおもしろくないなんてこと
ありえねえよ」ってな。
- 零士
- そう言い合ってました。
口にも出します、ぼくらは。
そうすると「あのくだり、
絶対おもしろいはずなのに、
なんでお客さんに
伝わらなかったんだろう」
と次に向かえるので。
「ダメだ」って捨てることも、勇気だしね。
- 山口
- そうね。
- 零士
- 「ウケねえ、ダメだ」と。
- 山口
- 「俺らは好きだけどねえ」って。
- 零士
- 「まだ世間には早いか」。
- 山口
- 「ゼロウケか」。
- 零士
- ゼロウケだったなあ(笑)。
- ──
- 暮らし始めた当初から、
わりとなんでも言い合える
関係だったんですか。
- 零士
- ちょっとずつそうなっていったかな。
たぶん、ほかの人は言わないけど、
相方だから言うこともあると思うんです。
ほかの人は、極端に言えば、
俺らの人生がどうなったって
別にいいじゃないですか。
でも俺ら自身は、
ふたりで一生やっていくんだから、
言ったほうがよくなることは
絶対に言うようにしてます。
- ──
- 覚悟ですね。
- 零士
- 覚悟はあります。
- 山口
- まあね。
- 零士
- 「ふたりでやっていくんだ」とか
「もっとおもしろくなるんだ」
という覚悟は、はい、めっちゃあります。
そこは本当に自信あります。
- 山口
- タシカニ.
- ──
- おふたりがおうちで
どんなふうに過ごされているかを、
間取り図を描いて教えていただきたくて。
- 山口
- 1階と2階の間取りを描けばいいのかな。
- ──
- はい、街裏ぴんくさんではなくて。
- 零士
- 街裏ぴんくさん描きそうですよね。
- ──
- パネルはいっぱいあるので、
街裏ぴんくさんを描いていただいても
大丈夫なんですけど。
▲山口さんは絵が得意で、とくに街裏ぴんくさんの後頭部を描くのが得意です。
- 山口
- 不動産屋さんでよく見る間取り図とは
ちょっと違う絵を描きたいね。
透明と思って描くか。
- 零士
- すごい言葉が出たね。
「透明と思って描く」。
- 山口
- 上から見る感じで、奥行きも表現して。
- 零士
- めっちゃわかりやすいね。
山口、絵が得意だからね。
絵を描くのは山口に任せましょう。
- ──
- 本当に補い合っているというか、
ふたりでひとつという感じですね。
- 零士
- そうですね。補い合ってます。
- ──
- 自立するためには、自分ひとりでも
いろいろできるように
ならなきゃいけないのかなと
思うことがあるのですが、
おふたりは「自立」について
どう考えますか。
- 零士
- それも、覚悟な気がします。
- ──
- 全部ひとりでやらなきゃいけない
わけではなくて、
ふたりで同じ覚悟を持って
一緒にやっていく、ということでしょうか。
- 零士
- それもありますし、
たとえば相手が、やってほしいことを
やらなかったときの覚悟も
必要だと思うんです。
「やってほしい」と言うのも、
言わないで別の方法を探すのも覚悟だし。
相手にあまり期待しなければいいのかな。
- ──
- 期待しない。
- 零士
- 細かいことだと、
「自分がこう言ったら
こう返ってくるだろう」と期待して
しゃべり始めたとき、
思っていた答えが返ってこなかったら、
歪みが生まれるじゃないですか。
相手からなにが来てもいいという
気持ちでいれば、
歪みは生まれないのかなと思ったりします。
難しいですけどね。
- ──
- 人間に期待するかしないか問題、
ありますよね。
完全に相手を諦めちゃうと、
寂しくなりますし。
- 零士
- そう。だから、その案配はムズいっすね。
「諦める」っていう言葉だと
ネガティブな感じになっちゃうけど、
「受け入れる」とも言えるじゃないですか。
相手を動かすことはできなくて、
なにを言うかも、なにかを言われたときに
どんな気持ちになるかも
自分のなかのことだから、
全部、自分による気がしますね。
でも、意識して自分の感じ方を
コントロールできるようになった
わけじゃなくて、時間の積み重ねによって
自然といまのバランスになったと思います。
結局、最終的には
「ふたりで生きていくしかない」っていう
覚悟が大事だったのかもしれないです。
- 零士
- このあいだ、うれしかったことがあって。
初めて千鳥さんと
お仕事させてもらったあと、
大悟さんに「あのときけっこう、
覚悟決めてきたやろ」って
言ってもらえたんです。
で、その4日後にM-1の決勝があって、
ぼくらが敗者復活で
勝ち上がることができて。
そのとき、大悟さん
「やっぱり、ああやって覚悟決めてるやつは
行くんやな」と
思ってくださってたそうなんです。
自分たちがやってきたことを「覚悟」と
言っていただいたのが
めっちゃうれしかったですし、
覚悟って大事なんだ、と
改めて気づかされました。
- ──
- 生活は判断の連続であり、
覚悟を決めることの連続ですもんね。
- 零士
- そうですね。でも、常に覚悟を決めて
「この判断で合ってるか」と考えていると
疲れちゃうから、
「判断がミスってたとしても正解だ」と
思える心も必要だと思います。
- ──
- 心。ああ、たしかに。
- 零士
- 「思ってたのとは違うけど、結果、
よかった」と思える心があれば、大丈夫。
諦めちゃうともったいないからね。
- ──
- 覚悟と心ですね。
- 零士
- そのバランスだと思います。
(明日に続きます)
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