
こんにちは。ほぼ日の松本です。
私は人と暮らすことに興味があります。
でも、うまくできる自信がありません。
そこで、さまざまな形で人と一緒に
暮らしている人たちに、お話をうかがうことにしました。
最初に登場いただくのは、中学からの同級生であり、
17年間一軒家で同居しているお笑いコンビ、
カナメストーンさんです。
自分たちの信じる「おもしろい」を体現し続けるおふたり。
そのハッピーでシュールな仲の良さは、
揺るぎない覚悟と柔らかい心のもとに生まれていました。
互いを尊重しながらおもしろがる
ふたりの暮らしぶりを知れば、
誰かと一緒に生きる不安が、希望に変わるかもしれません。
- ──
- 「これはほかの人には
真似できないだろうな」
ということは、たとえばどんなことですか。
- 零士
- ほかの芸人のコンビとかじゃなく、
全員に真似できないことですか。
- ──
- はい、世界のすべてのふたり組に
真似できないことは。
- 零士
- すべてのふたりにとって
真似できないこと‥‥
ふたりとも超おもしろいところ(笑)。
- 山口
- いー?!
- ──
- そうでした。失礼しました。
- 零士
- いや、あながち冗談ではなくて、
自分たちで「超おもしろい」と言うと
生意気に聞こえると思うんですが、
「おもしろい」って、
俺らのなかではめっちゃ重要なんです。
おもしろいことがあれば、
けっこうなんでも許せちゃうところが
あります。
俺が山口を、山口が俺を
笑わせるっていうことに関しては、
ほかの誰にも真似できないんじゃないかなと
思いますね。
- 山口
- お客さんにウケるのはムズいけどね。
- 零士
- お互いだけならね。
- 山口
- ツボがわかってるから。
- ──
- 笑いのツボを共有しているんですね。
- 零士
- 山口に出会ったとき、
それがめっちゃうれしかったんです。
それまで、俺だけが「おもしろいな」と
感じていたことを、
山口もおもしろいと思っていた
瞬間があって。
「えっ? 自分以外にも
同じツボの人がいたんだ、うれし!」
という感覚でした。
- ──
- その感覚がずっと続いているのは
最高ですね。
逆に「これならカナメストーンの
メンバーじゃない人も真似できるかも」
ということはありますか。
- 零士
- マジで、飯は大事だと思います。
うまいものをふたりで食いに行くと、
すげえいい気がするんですよ。
「うまっ」「うまいねえ」って
言い合えたら、
なんだかめっちゃよくないですか。
- 山口
- あと、映画に一緒に行くとか。
- 零士
- そうだね、映画もね。
- 山口
- パチンコとか。
- 零士
- パチンコとかもね。
- 山口
- 服を買いに行くとか。
- 零士
- そういう楽しいことをふたりでやったら、
自然と楽しいんじゃないでしょうか。
- 山口
- あと、俺らは「お互いだけが味方」
みたいなところがあるから、
もしイヤなことがあっても、
お互いじゃなくて
別のもののせいにしたりするんです。
それは、カナメストーンの
メンバーじゃなくても、
全員できることかもしれない。
- 零士
- スベったら、お互いじゃなくて
お客さんのせいにしたりね(笑)。
だから、相手の「結果じゃないところ」を
見てあげられたらいいんだと思います。
たとえばどちらかがミスったとしても、
「でもあいつ、がんばってたしな」って。
本番ウケなかっただけで、
がんばっている姿はちゃんとお互いに
知っているじゃないですか。
- ──
- たしかに‥‥。
なんだか泣きそうになってきました。
- 零士
- 泣くような話じゃないです。
スベった話です。
- ──
- 結果だけ見てうまくいった・
うまくいってないじゃなくて、
過程を見るのが大事。
- 零士
- がんばっていた過程を見てたら、
失敗しても責める気になれないですもんね。
- 山口
- みなさんにも、そうやって
「がんばってたね」って
言ってくれる人がいるでしょ。
- 零士
- ううん、いないよ。
- 山口
- ナニッ?!
- 零士
- いや、いるいる(笑)。
すいません、いますよね。
お互い言い合ったらいいですしね。
自分から「がんばってたね」と言ったら、
ほかの人にも言ってもらえる気がします。
それに、相手が見てくれてると思ったら、
自然とその人のことを見るようになると
思うんです。
まず、自分が相手の喜ぶことを
するようにしたら、いつの間にか、
いちばんもらえる人になるんだと思う。
- 山口
- あと、スベったり失敗しても、
そのことをおもしろがるのは大事だね。
- 零士
- そう。その考え方は、
誰かと一緒に暮らすうえで以外でも、
生きるのを楽しむために、
持っておくといいんじゃないかな。
- ──
- おふたりはすごく気が合っていると
思うのですが、性格においては、
違うところもきっとありますよね。
- 零士
- 全然あります。
半分一緒、半分正反対だなって、
俺はずっと思ってます。
- ──
- 自分と違うところを、
どのように受け入れているのでしょうか。
- 零士
- これも、きっと
お笑いのおかげだと思います。
正反対なところがあるからこそ、
ツッコめるじゃないですか。
- 山口
- 自分と違う部分について
「そうじゃなくてこうしろ」って
押し付けたらダメだね。
- 零士
- お互いに干渉しないっていうことにも
つながるのかもしれないです。
俺らのなかに、口にはしていないけど、
「最低限、これはダサいから
しないほうがいいよな」ということが、
たぶんあるんです。
それさえ守っていれば、
あとはもう、おもしろければいい。
- 山口
- うん、おもしろきゃいいな。
- ──
- おふたりのおうちのトイレのドアに
「カナメストーンの約束事」が
貼ってあるじゃないですか。
- 山口
- モチロン.
- 零士
- よく知ってますね、ありがとうございます。
- ──
- すみません、ただのファンなんです。
あれはおふたりで暮らすとなったときに
決めたんですか。
- 零士
- そうです。あれはたぶん、
サンドウィッチマンさんの影響だよね。
- 山口
- 憧れだね。
サンドウィッチマンさんの本
『敗者復活』に、コンビの約束事があると
書かれていたのを読んで、
「真似するか」って。
- 零士
- 山口が大学のときに読んでたんだよね。
それまで、山口はまったく
お笑いを見てなくて。
- 山口
- なにも知らなかった。
- 零士
- 山口、M-1すらもほぼ知らなかったんです。
それなのにカナメストーンで
お笑いをやることになったから、
「お笑い勉強する」って、
サンドさんの本を買ったんだよな。
- 山口
- M-1で優勝した人の本だから、
間違いないと思って。
- 零士
- いま思えば、『敗者復活』を最初に読んで
お笑い始めて、俺らも2025年のM-1で
敗者復活できたんだな。
- 山口
- タシカニ.
- 零士
- しかも、サンドさんも板橋で。
- 山口
- タシカニ.
- 零士
- 『ワンピース』ばりの伏線が
張られてたのかもしれない。
- 山口
- 芸歴0年目から。
- ──
- 当時の約束事はずっと守っているんですか。
- 山口
- 一個だけ守れてないんです。
- 零士
- 一個だけな。
- 山口
- 「かしゆかと会う」っていう。
- 零士
- 「かしゆかと会う」ということは
まだできてないね。
会ってみたいな、かしゆかと。
- ──
- それ以外は守れてるって、すごいですね。
- 零士
- たぶん守れてると思います。
でもいいんですよ、守れていても
守れていなくても、いまが大事だから。
- ──
- 最近、カナメさん人気の勢いがすごいから、
そろそろかしゆかさんとも会えそうですね。
- 零士
- ありがとうございます(笑)。
(明日に続きます)
2026-08-14-FRI