
こんにちは。ほぼ日の松本です。
私は人と暮らすことに興味があります。
でも、うまくできる自信がありません。
そこで、さまざまな形で人と一緒に
暮らしている人たちに、お話をうかがうことにしました。
最初に登場いただくのは、中学からの同級生であり、
17年間一軒家で同居しているお笑いコンビ、
カナメストーンさんです。
自分たちの信じる「おもしろい」を体現し続けるおふたり。
そのハッピーでシュールな仲の良さは、
揺るぎない覚悟と柔らかい心のもとに生まれていました。
互いを尊重しながらおもしろがる
ふたりの暮らしぶりを知れば、
誰かと一緒に生きる不安が、希望に変わるかもしれません。
- ──
- 「相手がちょっと機嫌悪そうだな」
というときは、
どうされてるんですか。
- 零士
- どうだろうな。
少なくとも、俺のせいでもっと
機嫌悪くなるようなことはしたくない
という気持ちですね。
生きてたら、どうしても、いろいろと
ストレスがかかるときはあるから。
- 山口
- 全員抱えるもんだからね、ストレスは。
- 零士
- だから、相手の機嫌をとろうとかは、
別に思わない。お互い大人だしね。
- 山口
- そう。そこは、
うまく自分で切り替えるしかないと
思ってる。
刺激しないようにしよう、
という気遣いはあるにしても。
- ──
- 無理に干渉せず、待つんですね。
- 零士
- そうです、あんまり干渉しないです。
- 山口
- もう、一緒に起きて、
一緒に移動するから‥‥
- 零士
- 「やるしかないでしょ」なんだよな。
機嫌悪くても収録は始まるし、
ライブは始まるし。
- 山口
- 別に「こういうときはこうしよう」とか
決まってるわけでもないし、自然にね。
- 零士
- たぶんお互い、いい意味で、
相手のことより
自分に気持ちが向いてるんです。
自分の機嫌が悪かったら、
「やべ、どうやって機嫌戻して、
いちばんいいコンディションに
持っていこう」と考えるみたいな。
お互いそのスタンスだなってことは、
最近すごく感じます。
- 山口
- まあ、多少のことがあっても、
死なねえしな。
- 零士
- 「死ぬわけじゃねえ」っていうのは、
めっちゃあるな。
なにかイヤなことあってもな、
別に死ぬわけじゃねえからな。
- 山口
- 「俺らは間違ってない」
という自信があるのも
大きいかもしれないです。
- 零士
- 変な自信があると、突き進めるからね。
- ──
- 相手が不機嫌なときに、
「これ自分のせいかな」と
思ってしまうことはないですか。
- 零士
- ぼくはそう思うときもあります。
「あれ言うべきじゃなかったかもな。
俺、別にそういうつもりで言ってないけど、
イヤな意味で伝わってしまってる
可能性もあるな」って。
でも、そうなったらもう言います。
「さっきああ言ったけど、
マジで他意はないからね」とか。
人との関係で「あれ? なんでいま、
こんな感じになっちゃってるんだろう」
と思うとき、たまにあるじゃないですか。
それって、そのまま聞きゃいいし、
言えばいいって俺は思っちゃうんですよ。
自分のなかだけで
「こっちがなにかしたのかな」と
相手の気持ちを想像してしまうと、
歪みが生まれる気がするんです。
- 山口
- 人間はね。
- 零士
- 人間ってね。
想像で関係がこじれてしまうのは
もったいないし、
黙っていていい方向に行くことは
あまりないと思うんです。
- 山口
- ないよね。
- 零士
- 「やべえかも、俺の言ったことが
こういうふうにとられちゃったかも」
とぐるぐる考えるよりは、
「そんなつもりじゃないからね」と
言ったほうが、
すっきり次に進めるじゃないですか。
原因が俺じゃなくて別のことだった場合は、
たぶん、山口がムカついてることには
俺もムカつくので、
「たしかにな」と同じ方向を向ける。
だから、聞いたほうが早いし、
言ったほうが早いんです。
- ──
- わりと、思ったことは全部
口に出すんですね。
- 零士
- ぼくはもう、言ってしまいます。
なにか言ったことで
崩れるような関係じゃないっていう
自信もあるので。
ネタについてだったら、
俺も山口もおもしろくしたいだけだから、
最短でおもしろに行くには、
思ったことは言い合ったほうがいいんです。
- 山口
- そうね。
- 零士
- こっちに意地悪な気持ちさえなければ、
本当の気持ちは伝わると思ってます。
想像で、関係がイヤな感じになるのは
もったいないので。
- ──
- 勝手に頭のなかで
「相手はこう思ってるんだ」という
ストーリーをつくってしまうこと、
たしかにありますね。
- 零士
- しかも、だいたいマイナスなストーリーに
なるじゃないですか。
相手はまったくそんなこと思ってなかったり
するから、自分のつくったストーリーに
悩まされる時間はもったいないし、
自分も相手もかわいそうです。
- ──
- そうですよね。
勝手なファン目線の意見ですが、
おふたりご自身が、
カナメストーンという二人組の
ファンだと思うんです。
- 零士
- めっちゃ好きです、ぼくら。
カナメストーンのこと、めっちゃ好きです。
- 山口
- タシカニ.
- ──
- だからこそ「カナメストーンの仲が
悪くなるなんて考えられない」と、
仲良くいられる部分もあるのかなと。
- 零士
- たしかに、たしかに。
- 山口
- 仲が悪くなる未来は想像できないですね。
- 零士
- たぶん、ぼくたちは中学のときに
一緒に過ごしたことがデカいような
気もします。
だって、あの中学で一緒に育って、
あのサッカー部で一緒にやってきて、
田舎から出てきて
一緒に東京で勝負してるんだから、
ちょっとのことでは絆は壊れないよ、と。
- 山口
- 「友だち」という関係が
いちばん先頭にあるから。
- 零士
- そうだね。最近「友だちから
ビジネスパートナーに切り替わった瞬間」
を訊かれることが多いけど、
ないんですよね、それが。
- 山口
- ね。
- 零士
- 「友だちがなんかおもしろいことやってる」
という気持ちが強いです。
そこが崩れるのが、自分はいちばん
悲しいかもしれない。
だから絶対そこは守るというか、
守りたいというか。
- 山口
- そうなんだよなあ。
- ──
- 中学からの絆ですもんね。
おふたりが、
お互いを長く好きで居続けるために
大切だと思うことはなんですか。
- 零士
- 相手に違和感を感じたら、
遠慮なくイジることです。
- 山口
- 死ぬときは一緒だという強い絆。
- ──
- すごく大事なことを
聞かせていただきました。
ちなみに「友だちとしては最高なんだけど、
ビジネスパートナーとしては直してほしい」
というところも、なかったんですか。
- 零士
- ないんですよね。
- 山口
- 正解が難しいから。
- 零士
- そう、お笑いには
正解がないっていうことも、
俺らにとってはよかった気がします。
新しいことをやろうとしたら、
いままで考えてもいなかったようなことを
やったほうがいいし、
ミスっても全部プラスに働くのが
お笑いなので。
もしどちらかが遅刻ばかりしてたら
直してほしいと思うかもしれないですけど、
俺ら一緒に住んでるから、
どっちかが遅刻するってこともないし。
- 山口
- 絶対ないんだよ。
- 零士
- すべて、自分たちに合わせて
いってるんでしょうね。
だから、相手にどこかを直してほしい
っていうよりかは、一緒にちょっとずつ、
自分たちに合っている方向に
進んでいっている感覚です。
- ──
- 一緒に住み始めたときよりも、
いまの暮らし方のほうが、
より合っていますか。
- 零士
- 合ってますね、合ってます。
- 山口
- より楽しいもんな。
(明日に続きます)
2026-08-11-TUE