前へ目次ページへ次へ

vol.2 2種類のナッツをセットにして食べる。

生まれ持ってナッツの特殊能力を有する私に、
ある日、強い組織のちからが働き、
ミッションがくだった。
神秘の香ばしさに包まれた
「4つの緑色の箱」を開けて、
それぞれのナッツをたしかめろという。
魅惑のフレイバーを味わいながら、
私は1つ目の箱を終了させた‥‥。

というのが、前回までのあらすじである。

ただ「ナッツを食って原稿を書く」というだけだと
作業がぼんやりしてきそうなので、
自分を鼓舞すべく状況を劇的に書いてみた。

さて、2つ目の箱を開けよう。
メモにはこう走り書きされている。

24時間、ナッツでサプリセット

ぱかっと開けてみると、緑色の箱の内部は、
やはり6つに区切られている。
ひとつひとつの区画には
異なるナッツが収められていて、
その構造は最初の箱と変わらない。
しかし、メモによれば、最初の箱とこの箱は、
コンセプトがまったく異なるようだ。

わかりやすくいうと、この
「24時間、ナッツでサプリセット」の箱は、
2種類のナッツをセットにして食べる、
というふうにセレクトされているらしい。

資料を読んでみると、
この箱のナッツは管理栄養士の
豊永彩子さんがプロデュースしたもので、
午前に食べる2種類のナッツ、
午後に食べる2種類のナッツ、
夜に食べる2種類のナッツ、
という組み合わせで構成されているようだ。

わあ、なんだかたのしそう。
いや、それ以前にやはり、おいしそう。
なにしろ1つ目の箱の6種類のナッツが
ことごとくおいしかったからね。
2つ目の箱は、最初の箱のように
「ふーむ、どれどれ?」と探るようにではなく、
「来た来た来た来た」と期待を高めながら
チェックしているぼくです。

まず、「午前のナッツ」として選ばれた
2種類のナッツを紹介しよう。
セレクトされたのはカシューナッツとピスタチオ。
カシューナッツは最初の箱にも
入っていたから知っている。
肉厚で大きくて柔らかく、
コクと甘みのあるインド産。
これね、超おいしいです。無条件。あっぱれ。

「午前のナッツ」のもう1種類は、ピスタチオ。
特徴としては、このピスタチオには殻がない。
しかし、粒のひとつひとつはフレッシュな緑色で、
明らかに鮮度が保たれているようである。
はじめてのそれを、ひとつつまんで食べてみる。

あーー、いいですね。

独特の苦味のようなものがあるが、
それこそがピスタチオをピスタチオたらしめる。

なるほど、この2種類の組み合わせは見事だ。
カシューナッツはふっくらとしていて、
まるで白いご飯のようにさまざまな味を受け止める。
一方、ピスタチオは小粒の後味に
ぴーんと張り詰めるような独特の風合いがあって、
ふたつを交互に食べるなら、
これはかなり食事に近いように思う。
ナッツの食感をごはんで例えてすみません。
ともあれ、「午前のナッツ」、お見事なり。

そうすると、「午後のナッツ」が気になりますね。
いや、食べたいというだけなんですけどね。

「午後のナッツ」の1種類目は、
来ました、ご存知、アーモンドです。
しかし、最初の箱と違って、こちらは殻なし。
食べると、カリッと香ばしいものの、
「木の実っぽさ」がきちんと残ってるんですよね。
このバランスのアーモンドはなかなかないと思う。

さて、そのアーモンドの
相方のナッツはヘーゼルナッツ。
あ、これもはじめてのナッツだ。
そもそも、ヘーゼルナッツって、
チョコレートとの組み合わせで
食べることはあるものの、
単独で手に取ることはあまりない。
しかし、食べてみると、不思議と親しみを感じる。
すこしクセがあるけれども、この特徴的な味を、
けっこう昔からぼくらはお菓子のなかで知っている。

ゆたかで親しみのあるアーモンドと、
ちょっとクセのあるヘーゼルナッツの組み合わせ。
こちらもナイスコンビじゃないですか。

じゃあ、最後は「夜のナッツ」です。
提案された組み合わせは、
ピーカンとくるみなのですが、
このふたつのコンビは、
いままでのふたつとちょっと違う。

これまでのふたつには見事な相性が感じられた。
もっとわかりやすくいうと、タイプが違った。
主人公の刑事とバディ役の刑事の性格が違うように、
個性が違うからこそコンビネーションとして
掛け算になる、というような組み合わせだった。

しかし、「くるみとピーカン」は違う。

いや、もちろん、くるみとピーカンは味が違うし、
それぞれにしっかりと個性がある。
けれども、ふたつを組み合わせたとき、
それらは補い合うというより、どっちも主張する。
デコとボコというよりはデコとデコで、
そこがなんだか不思議とクセになる。

いってみれば、
「くるみ&ピーカン」は、笑い飯である。
サンドウィッチマンでもなく、
フットボールアワーでもなく、
笑い飯としてどんどん両ボケしていくのである。
顔が鳥で身体が人の
「鳥人(とりじん)」なのである。
やあ、ぼくは鳥人だよともだちになろう、なのである。

わけのわからない説明になりましたが、
2つ目の箱は、組合わせのおもしろさ。
しかし、身も蓋もないことをいえば、
ひとつひとつがしっかりおいしいので、
どれをどう食べてもいいかもよ?

笑い飯のネタでは
ハッピバースデーの歌のやつも好きです。

(3箱目につづく)

(3箱目につづく)

2020-10-19-MON

前へ目次ページへ次へ
  • デリな生活のたのしみ展
    ナッツ!ナッツ!ナッツ!
    Groovy Nuts × ほぼ日

    日本初のナッツ専門店として、
    2014年にオープンしたグルーヴィーナッツ。
    店内には、世界中から仕入れた「木の実」が
    博物館のように並んでいて、
    ひと粒、ひとつぶ、姿も味もさまざま。

    今回「デリな生活のたのしみ展」のために
    とくべつなセットを4つ、用意していただきました。
    ぜひ、お召し上がりくださいね。